トップ>不動産トピックス>住宅の除却等が進まない場合、平成45年の空き家率は30.2%、空き家数は約2,150万戸に
(株)野村総合研究所(以下NRI)はこのたび、「2018年、2023年、2028年および2033年における日本の総住宅数・空き家数・空き家率(総住宅数に占める空き家の割合)の予測」を発表した。
国立社会保障・人口問題研究所が公表している「日本の世帯数の将来推計(全国推計)」(平成25年1月推計)によると、一般世帯の総数は平成31年(2019年)までは増加を続け、5,306万5千世帯でピークを迎えるが、その後は減少に転じ、平成37年(2025年)には5,243万9千世帯に、平成47年(2035年)には4,955万5千世帯にまで減少すると見込まれている。これを受けて、NRIでは「空き家率の上昇を抑えるためには、世帯数の減少に応じて、総住宅数も減らしていく必要がある」と指摘している。
住宅数について見てみると、国土交通省の「建築着工統計調査報告」(平成26年度分)によると平成26年度の新設住宅着工戸数は 88万470戸(前年度比10.8%減)で、5年ぶりの減少となった。NRIの予測では、「平成42年度(2030年度)までに新設住宅着工戸数が53万戸に減少する」と見込んでいるが、「新設住宅着工戸数が減少しても、それを上回るスピードで世帯数の減少が見込まれる」とも指摘。
平成25年(2013年)の総住宅数は6,062万9千戸、空き家数は819万6千戸、空き家率は13.5%だったが、既存住宅の除却や、住宅用途以外への有効活用が進まなければ、平成45年(2033年)には総住宅数7,106万7千戸、空き家数2,146万6千戸、空き家率30.2%に上昇する(図)とNRIでは予測している。
※(株)野村総合研究所 「2018年、2023年、2028年および2033年における日本の総住宅数・空き家数・空き家率(総住宅数に占める空き家の割合)の予測」
NRIでは、空き家数や空き家率の増加により「住環境の悪化や行政コストの増大など、さまざまな問題が生じる可能性がある」と見ている。また、空き家数や空き家率の増加を抑制するためには、「出生率向上をはじめとした人口減少への対策や、活用価値が低下した住宅の除却、中古住宅流通市場の整備、複数戸の住宅を1戸の住宅にリフォームやリノベーションする減築、コンパクトシティの実現などを積極的に進めていく必要がある」と提言している。