トップ>不動産トピックス>住宅維持への不安1位は「耐震」だが、7割弱が住宅の検査・診断「経験なし」
積水化学工業(株)の調査研究機関である(株)住環境研究所はこのたび、ミニニュースレター「リフォーム市場実態調査」を発表した。30万円以上のリフォーム経験がある一戸建て居住者を対象として、平成25年8月にアンケート調査を実施し、519件の有効回答を得たもの。
現在の住まいの将来像について複数回答で聞いたところ、最も多かったのは「一生住む」(66.1%)だった。また、住宅維持に対する不安要因(複数回答)は「耐震」(34.1%)が最も多く、次いで「床下(基礎含む)」(18.3%)、「内装関係」(16.4%)の順となった(図1)。耐震性への不安を築年数別に見ると、「築10年以上20年未満」では28.0%、「築20年以上30年未満」では34.7%、「築30年以上」では48.7%と、築年数が古いほど、耐震性に不安を感じる割合が高かった。
同研究所では「耐震リフォームを行うには、自分の家の耐震性能がどのくらいあるのかの調査が第1歩」と考えているが、「住宅の検査・診断経験」について聞いたところ、「経験なし」が68.2%と7割弱を占め、「経験あり」(26.8%)は3割弱にとどまる結果となった。「経験あり」を築年数別に見ると、「築10年以上20年未満」が29.8%、「築20年以上30年未満」が25.3%、「築30年以上」が23.5%となり、築年数が古いほど、住宅の検査・診断経験が低かった。同研究所が行ったインタビューによると、住宅の検査・診断を行わない理由は「誰に頼んだらよいか分からない」「信頼できる業者が分からない」ことが、主な理由だという。
※(株)住環境研究所 「リフォーム市場実態調査」より転載
リフォーム工事の内容を複数回答で聞いたところ、最も多かったのは「外装の変更(屋根の葺き替え・外装の塗り替え等)」(61.3%)で、次いで「住宅設備(キッチン・お風呂・トイレ・洗面台)の変更」(47.0%)、「内装の変更(壁紙・床の張り替え等)」(38.7%)の順となった(図2)。耐震性への不安が高いにも関わらず、「耐震補強工事」は4.6%にとどまった。耐震補強工事を築年数別に見ると、「築10年以上20年未満」は1.4%、「築20年以上30年未満」は2.7%、「築30年以上」は10.9%となり、「築30年を超えると実施度が高まっている」と同研究所では指摘している。
耐震補強工事を実施しない理由をインタビューで聞いたところ、「過去の地震経験から必要性を感じない」「費用が高く、工事メリットが分からない」「工事の際の荷物の移動が面倒くさい」「耐震工事のきっかけが無く放置している」といった声が挙がったという。
※(株)住環境研究所 「リフォーム市場実態調査」より転載