トップ>不動産トピックス>7割弱が「自分が巨大地震に遭う」と想定、震災後に対策を行うも「事後防災対策」が多い
日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(以下、木耐協)は3月6日、「耐震診断受診者の意識に関する調査データ」を発表した。平成23年12月1日~平成24年8月31日に木耐協で耐震診断を実施した人のうち、診断後に送付したアンケートに返信した693人の回答から、東日本大震災以降に行った対策や地震に対する意識、耐震診断の結果についてどのように感じたかなどについて、結果を分析したもの。
「日本国内で、10~20年以内に“阪神淡路大震災・東日本大震災”クラスの地震が再度発生すると思うか」との問いには、538人が「はい」と回答しており、全体の88.05%が地震発生を想定していることがわかった。平成16年8月に実施した調査でも、類似の質問に対して「今後大地震が発生すると思う」と回答した人は91.68%と、どちらも90%前後であることから、木耐協では「地震発生を想定している人の割合が非常に高いことがわかる」と見ている。
さらに、「“阪神淡路大震災・東日本大震災”クラスの地震に、自身が遭うと思うか」については、69.35%(405人)が「はい」と回答。平成16年8月の同内容の調査では「はい」と回答した人は58.96%で、「目に見えて割合が増加」している。一方で30.65%(179人)は「いいえ」と回答しており、木耐協では「約30%の人は『自分とは関係ない』と考えている点も、耐震化を推進する上で変えていかなければならない」としている。
災害発生時に提供される災害伝言ダイヤル(171)や災害用伝言板については、「知っているが、テスト利用はしていない」(68.28%・437人)が最も多く、「大部分の人が知っている」が、「テスト利用は少数」という結果になった。
「東日本大震災以降、自身や家族間で何か具体的に行ったことはあるか」を複数回答で聞いたところ、最も多いのは「家具の転倒防止をした」(45.74%・295人)で、次いで「防災・避難グッズを用意した」(45.12%・291人)、「食料備蓄をするようにした」(36.43%・235人)の順となった(図1)。「特になし」(9.30%・60人)を除くと、何らかの具体的な対策を行った人は90%を超える結果となった。
具体的な対策の内容を、「家具の転倒防止」「耐震補強工事」などの「事前防災」と、「防災・避難グッズ」「食料備蓄」「緊急避難所を確認」といった「事後防災」に分けると、全体的に「事後防災対策」をしている人が多いことから、木耐協では、「被災後の準備ももちろん重要」としたうえで、「地震後の準備が役立つのは『地震で生き残った後』であり、最も重要なのは『地震が発生した時にいかに自分の命を守るか』」であるため、「積極的に事前防災としての耐震補強を推進していく」としている。
耐震診断結果については、36.40%(210人)が「安心した」と回答する一方で、「不安になった・非常に不安になった」は約60%(「不安になった」50.09%・289人、「非常に不安になった」10.23%・59人)を占めた。耐震診断の評点別に見ると、「安心した」のうち71.43%(150人)は、耐震基準を満たしていない「評点1.0未満」だった。これについて木耐協では、「評点が低くても耐震診断を実施することにより、どの程度耐震性が不足しているのか、またどうすれば耐震性を改善できるのかがわかるため、自宅の耐震性が全くわからないことが原因である『何となく不安だ』という状態ではなくなる」ためと分析している。
次に、「評点1.0未満」だった493人について補強工事を実施した割合を調べると、「安心した」人では34.67%、「不安になった+非常に不安になった」人では36.15%となり(図2)、工事実施率に大きな差異は見られなかった。木耐協では、「耐震診断の結果に対する感じ方は評点によって様々だが、実際に工事をするかどうかは、結果に対する『感じ方』ではなく、『評点』によって決まることがわかる」と見ている。
※日本木造住宅耐震補強事業者協同組合 「耐震診断受診者の意識に関する調査データ」