トップ>不動産トピックス>東日本大震災のマンション被害、東北・関東で「なし」または「軽微」が97%
(社)高層住宅管理業協会はこのたび、「東日本大震災の被災状況について(続報)」を発表した。同協会が平成23年3月に調査した東北6県(青森県、秋田県、岩手県、宮城県、福島県、山形県)への追加調査と、新たに関東1都6県(茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)への調査を実施し、結果をまとめたもの。同協会の会員407社のうち250社が受託するマンション3万6,629組合・4万6,365棟・232万7,400戸を集計対象としている。
東北・関東におけるマンションの建物本体被害は、「大破」(建て替えが必要な致命的被害)が0棟、「中破」(大規模な補強・補修が必要)が44棟(0.09%)、「小破」(タイル剥離・ひび割れ等相当な補修が必要)が1,184棟(2.55%)、「軽微」(外観上はほとんど損傷なし、または極めて軽微)が7,477棟(16.13%)で、「被害なし」は3万7,660棟(81.23%)だった(表2)。被害判定は、建築学会の「被災度区分」を基準としている。
建物本体が60分の1以上傾いたものはなく、建物本体が躯体の破損により一時的に使用不能になったものもなかったが、宮城県では、津波により1階部分が浸水する被害が16棟あった。
また、建築基準法の耐震基準が異なる、旧・旧耐震基準(~昭和46年)、旧耐震基準(昭和47年~昭和56年)、新耐震基準(昭和57年~)別に同協会が分析したところ、「建物の被害状況に阪神・淡路大震災のような経年数や耐震基準別の被災傾向は見られない」という(表1)。
エリア別に見ると、東北6県(1,612組合・1,642棟・9万3,401戸)の建物本体被害は、「大破」が0棟、「中破」が26棟(1.58%)、「小破」が283棟(17.24%)、「軽微」が1,024棟(62.36%)、「被害なし」が309棟(18.82%)となり、「軽微」または「被害なし」は合計で80%を超えている。県別では、宮城県での被害が多く、「中破」「小破」で272棟だった。
関東1都6県(3万5,017組合・4万4,723棟・223万3,999戸)の建物本体被害でも、「大破」は0棟。「中破」は18棟(0.04%)、「小破」は901棟(2.01%)、「軽微」は6,453棟(14.43%)、「被害なし」は3万7,351棟(83.52%)で、約98%が「軽微」または「被害なし」だった。「軽微」が62.36%の東北と比べると、「被害なし」が83.52%と被害は小さくなっている。ただし、部位別にみると、特に千葉県で液状化が原因と見られる被害が合わせて520棟と突出している。
※部位と代表的な被害については、「建物本体」建物本体の一部住戸のみが破損により一時的に使用不能になったもの、「付属建物」付属建物(集会所・立体駐車場・自走式駐車場等)が傾き、または躯体の破損により使用不能になったもの、「駐車機械」タワー型駐車場、機械式駐車場等の駐車機械が損壊し、使用不能になったもの、「外構・インフラ」受水槽、受変電設備・引込電柱、地下埋設物等のライフラインが損壊し、管理組合による復旧等のための工事が必要になったもの
※(社)高層住宅管理業協会 「東日本大震災の被災状況について(続報)」