トップ>不動産トピックス>現在の耐震基準を満たさない木造一戸建て住宅が約9割
日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(以下、木耐協)はこのたび、「木造住宅の耐震診断に関する調査データ」を発表した。木耐協が平成18年4月1日~平成22年11月30日に実施した耐震診断のうち、結果の詳細を把握している1万1,121件について分析を行ったもの。
耐震診断の対象となるのは、昭和25年~平成12年5月までに着工された2階建て以下の木造一戸建て住宅。
診断の結果、現在の耐震基準に適合しない住宅が89.47%を占める結果となった(図1)。前回調査時(調査期間は平成18年4月1日~平成22年6月30日、1万5,352件)は85.52%で、木耐協では、耐震基準を満たさない建物が増えた原因を「劣化による評点の悪化などが考えられる」と見ており、「住宅をより長く、よりよい状態で使うためにも、定期的なメンテナンス等の実施が必要」としている。診断対象の住宅を、建築基準法が改正された昭和56年で分けてみると、改正前の昭和55年以前に着工された建物については96.38%が、改正後の昭和56年以降でも82.14%の建物が、耐震性に問題ありという結果になった。
耐震診断の結果を受けて、耐震補強工事を実施した場合の平均施工金額は約148万円で、前回調査時の約149万円から大きな変化はなかった。
※日本木造住宅耐震補強事業者協同組合 「木造住宅の耐震診断に関する調査データ」より抜粋
木耐協では、分析対象である1万1,121件について、診断を行った地域に耐震補強工事の助成制度が設けられているかどうかによって、耐震診断や補強工事を実施する割合に違いがあるかどうかを調査した。
自治体別に耐震診断受付件数を比較したところ、耐震補強工事に対する助成制度がある自治体では9,985件(89.79%)、助成制度がない自治体では1,136件(10.21%)となった(図2)。木耐協は、「全国1,750の市区町村のうち、耐震改修の助成制度を設けている自治体の数は957市区町村(54.7%:平成22年4月現在)となっており、助成制度のある自治体からの申し込みが非常に多くなっている」と分析している。助成制度の有無別に工事実施率、平均施工金額を見ても、「工事実施率全体・平均施工金額とも『助成制度あり』が『助成制度なし』を若干上回る結果」となり、木耐協では「耐震化の促進において自治体の助成制度が与える影響が大きい」としている。
なお、自治体が実施している耐震改修の助成制度については、当サイトの「住環境を調べる-住宅関連助成など」で調べることができます。
※政令指定都市と3大都市圏が対象です。
※日本木造住宅耐震補強事業者協同組合 「木造住宅の耐震診断に関する調査データ」より抜粋