トップ>不動産トピックス>賃貸借契約の更新料、地域によって意識や設定の有無・料金に大きな差
住宅・不動産情報ポータルサイト「HOME'S」を運営する(株)ネクストは10月8日、大阪高等裁判所から8月27日に出された更新料問題についての判決を受けて実施した、不動産業界の意識・実態緊急調査の結果を発表した。賃貸仲介業を営むHOME’S会員の不動産会社に対して、9月8~15日にインターネット上でアンケートを行ったもの。有効回答数は1,796件だった。
8月27日、賃貸住宅の「更新料」の特約の有効性について争われた訴訟の控訴審で、大阪高等裁判所が「入居者の利益を一方的に害すもので、消費者契約法に照らし無効だ」と判断、一審の京都地方裁判所の判決を変更し、貸主側に敷金の一部を含む45万5,000円の返還を命じる逆転判決を言い渡した。
この判決に対し、全体の33.5%が「消費者の立場に寄りすぎた判決であり、妥当ではないと思う」、30.9%が「判決は妥当だが、今回のケースはイレギュラーだと思う」と回答している。特に、当該地域である京都府では、「消費者の立場に寄りすぎた判決であり、妥当ではないと思う」と回答した不動産会社が75.9%にのぼった(図1)。
図1:大阪高等裁判所判決に対する反応(地域別比較)
※住宅・不動産情報ポータルサイト HOME'S調べ
賃貸借契約更新時の更新料については、地域によって設定の有無に差があることも分かった。首都圏では93.2%、京都府では87.0%が「更新料のみ」または「更新料と更新事務手数料の両方」を設定している。一方で、「更新料も更新事務手数料も取っていない」との回答は、北海道では87.5%、京都府を除く近畿地方では76.3%だった(図2)。
更新料を設定していると回答した不動産会社に対して更新料の金額について質問したところ、首都圏では90.6%が「家賃の1ヶ月分」と回答した。しかし京都府では52.4%が「家賃の2ヶ月分」と回答している。
全体の過半数である56.7%が、更新料は「昔からの商慣習」によるものととらえており、(株)ネクストでは「更新料設定有無に加えてその金額設定にも地域差があり、賃貸借契約に伴う制度や金額については、全国規模で平準化されていない状況がうかがえる」と指摘している。
図2:賃貸借契約更新時の更新料設定の有無
※住宅・不動産情報ポータルサイト HOME'S調べ