トップ>不動産トピックス>景気悪化により不動産市場が停滞、街並みや景観、環境、安全への意識が高まる
国土交通省は「平成20年度土地に関する動向」及び「平成21年度土地に関する基本的施策」(土地白書)を国会に報告した。土地白書は、土地基本法に基づき国会に報告するもので、地価、土地利用、土地取引その他の土地に関する動向、政府が土地に関する動向を考慮して講じようとする基本的な施策などで構成されている。
「平成20年度土地に関する動向」では、平成19年8月のいわゆるサブプライム危機に端を発する世界金融危機により景気が急速に悪化し、不動産業をはじめ、企業の資金調達環境が悪化するとともに、不動産証券化の対象不動産の資産総額が大幅に減少、不動産を原資産とする投資信託であるJリートの投資口価格が大きく下落するなど、住宅・不動産市場において「経済活動が停滞」としている。
地価・土地取引の動向としては、全国的に地価が下落傾向にあり、土地の売買による所有権移転登記の件数が三大都市圏(東京圏、名古屋圏、大阪圏)の各圏及び地方圏すべての地域で減少している。
このような現状に対し、「住宅・不動産市場活性化のための緊急対策」を取りまとめる一方、環境不動産の普及や災害履歴などの情報提供といった「新しい不動産価値の創出」、空き地・空き家の適正な管理、歴史的街並みや古民家などの保全といった「守るべき不動産価値の保全」などを、土地政策の中長期的な取り組みとして位置づけている。
土地白書によると、街並みや景観、環境配慮型住宅への関心の高まりや、安全・安心を重視した居住地選択など土地に対する意識が変化してきたと分析している。
例えば、個人の土地に関する意識調査で、街並みや景観の向上・保全に対する関心については、「関心がある」(36.2%)、「どちらかといえば関心がある」(35.5%)の合計が7割を超えた(図1)。これは前年から7.7%増加しているもので、関心が高まっていることが分かる。
また、「既に、何らかの環境に配慮された設計や設備の導入がされている」(12.5%)、「環境に配慮された住宅の取得や改修、設備の導入に興味がある」(56.5%)など、環境問題への関心の高まりを示す意向がみられる。安全・安心に配慮した住宅への対応や検討意向についても、「既に、何らかの安全・安心に配慮した住宅に居住している」(27.5%)、「安全・安心に配慮した設備の導入や改修、安全・安心に配慮した住宅への移転を検討したい」(36.2%)となっており(図2)、「相当程度の関心が存在する」としている。