トップ>国土交通省・最新の動き>VOL.61 個人住宅の賃貸流通の促進に関する検討会
2013年12月11日
国土交通省では、既存の住宅ストックを活用した賃貸流通市場の整備を図ることを目的として、利用可能な空き家を含め個人住宅の賃貸流通を促進する上で必要な課題の分析や、ガイドラインの策定等の必要な方策の検討を行うため、「個人住宅の賃貸流通の促進に関する検討会」を設置しました。
今回はその取り組みについて、紹介します。
近年、我が国においては、良質な住宅ストックを適切に管理し、長く大切に利用する社会を実現することが、住宅政策の重要な課題となっています。
全国の空き家の総数(平成20年)は約760万戸、そのうち個人住宅が約270万戸で、増加の一途をたどっており、適切な管理が行われない住宅は、防犯、防災、衛生、景観など環境面で大きな問題を生じています。地方自治体の中には、管理条例の制定など地域の課題に応じた取り組みが広がりつつあり、国土交通省においても、これまで社会資本整備交付金等を活用した空き家の改修や除却の支援等を実施してきたところです。
一方で、質の高い既存住宅ストックを活用した賃貸流通や住み替えの促進は、居住の選択肢を広げ、住生活の向上に寄与します。特に、地方部においては定住促進やUIJターンの受け皿として、空き家の活用が期待され、先進的な自治体は、空き家バンクによる情報提供や、事業者間連携の推進、借り上げによる住宅提供など独自の取り組みを積極的に展開しています。
しかしながら、個人住宅の賃貸流通や空き家管理については、賃貸用物件と比べて取引ルールが明確でなく、所有者も遠隔地居住であったり、事業経験がないなど、事業者との連携が広く進んでいるとは言えず、市場の形成はまだ不十分な状態にあります。
そこで、個人住宅を適切に管理し、賃貸流通を促進するためのルールを整備し、賃貸住宅市場の整備を図ることが求められています。
以上のような状況を踏まえ、国土交通省住宅局では、今般、利用可能な空き家を含め個人住宅の賃貸流通を促進する上で必要な課題の分析や、ガイドラインの策定等の必要な方策の検討を行うため、有識者による検討会を設置しました。
本検討会では、「空き家を含めた個人住宅の賃貸流通を促進する上で必要となる課題の分析」「上記課題を踏まえ、個人住宅の賃貸流通に必要なルール、ガイドライン等の策定」などを主な検討事項として、検討を進めていきます。
平成25年10月までに、2回の検討会が開催され、「空き家バンクに登録したい、あるいは賃貸したい、という申し出がない限り、所有者にたどりつくことができない」、「近年は敷金が取れず、また、善管注意義務を果たさない入居者が増えたため、補修費用などがかさみ、数年は利益が出ないケースもある」、「自分では移住や住み替えに関する情報を集めることができない方に対して、移住・住み替えをワンストップでコーディネートする人材が必要ではないか」など、各委員より様々な意見が出されました。
また自治体や一般社団法人移住・住みかえ支援機構等、各委員から移住促進のための空き家活用事業やマイホーム借り上げ制度などの事例が紹介され、課題の抽出・整理を進めています。
平成26年3月頃に以下の最終とりまとめやガイドライン策定を行うことを目標に、今後も引き続き議論を重ねていきます。
・個人住宅の賃貸流通を促進するために必要な方策のとりまとめ(検討会報告書)
・住宅の管理が適切に行われるための手引き(管理ルールを定めたガイドライン)の作成
・賃貸借契約が適切に行われるための手引き(取引ルールを定めたガイドライン)の作成
・一般所有者、消費者向けの普及啓発、情報提供冊子の作成
※執筆の内容は、2013年11月末時点によるものです。