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事業者間連携による新たなビジネスモデルの構築について・不動産に関する多様なニーズに対応すべく全国14の連携協議会が活動を展開

2013年10月9日

Report
国土交通省 土地・建設産業局 不動産業課
 

消費者が安心して中古住宅の取引を行うことができる不動産流通市場を整備し、不動産取引を活性化することを目的に、事業者間連携による新たなビジネスモデルの構築を図る全国14の協議会が7月に選定され、各地域で活動を開始しています。
今回はその取り組みについて、紹介します。

取り組みの背景・目的

近年、消費者の中古住宅に対する意識は大きく変化しています。人口減少・少子高齢化が進行するとともに、住宅の主な一次取得者層である30歳代の平均年収や金融資産が減少する一方で、昭和56年以降の新耐震基準を満たした住宅や長期優良住宅に代表されるような性能面でも優れた住宅のストックが着実に増加しています。これらの影響もあり、これまでのように新築にこだわらず住宅の本質的価値を見極めた上で、自身の生活スタイル・ニーズに合った住宅を購入しようとする消費者が増加していると言われています。

一方で、消費者は中古住宅の購入に当たって、建物の品質やリフォーム費用、保証やアフターサービス等に関して様々な不安を感じており、そのことが購入の妨げになっているケースも多いと指摘されています。このような中古住宅に対する不安の解消については、実際の不動産取引の場で消費者と直に接する宅地建物取引業者(以下、宅建業者)が重要な役割を担っています。しかし、宅建業者は、不動産取引に関する契約や法律などの専門的知識や経験を有しているものの、建築施工技術等については必ずしも十分な知見を有しているとは限りません。そこで、宅建業者がリフォームやインスペクション(建物検査・診断)等に従事する他の事業者と連携・協力し、不足している専門性やノウハウを補完、向上させることで、消費者が安心して中古住宅の取引を行うことのできる不動産流通市場を整備していくことが重要です。

取り組みの内容

不動産業課では、平成24年度より予算措置を講じ、先進的な不動産流通ビジネスモデルの育成・支援と成功事例の普及を目的として、宅建業者を中心とする不動産関連事業者の連携による新たなビジネスモデルの検討や普及活動に対する支援を実施しています。具体的には、宅建業者やリフォーム業者、インスペクション業者、瑕疵保険(かしほけん)法人、不動産鑑定士、金融機関などの団体や個別の企業が連携して、消費者にワンストップで各種サービスを提供できる体制を構築したり、パッケージ商品を開発、普及するなどして、中古住宅の購入を検討する消費者の安心感や満足感を高められるような新たなビジネスモデルを検討する協議会等の活動をサポートしています。

平成25年度には、本事業を通じて既に全国14の地域で連携協議会が立ち上がっており、各地域の市場の特性や、消費者のニーズに対応した具体的な取り組みが始まっています。例えば、首都圏既存住宅流通推進協議会では宅建業者、建築業者等向けに「既存住宅アドバイザー・インスペクター講習会」等を開催し、流通場面で連携して瑕疵(かし)保険やフラット35適合証明書の発行等のサービスを消費者に案内できる人材を育成し、サービスの提供体制を整備しています。また、近畿圏不動産流通活性化協議会では、建物検査、補修見積もり、白蟻点検・保証、住宅履歴保管、アフター点検等のサービスをまとめたパッケージ商品(「ワンステート」)を開発し、定額での提供を開始しています。このように、各協議会がそれぞれの地域で、消費者のニーズに応える様々な取り組みを行っています。

講習会、シンポジウムの開催について

また国土交通省では、平成25年10月より、不動産市場の現状や取引に必要な知識の共有と流通市場の拡大に向けた気運の醸成を目的として、民間有識者を講師に招き、「不動産流通市場活性化のための講習会」を全国11ヶ所で順次開催しています。さらに、平成26年3月には、14の地域連携協議会が事業成果報告を行うシンポジウムを開催する予定であり、各地域における先進的な取り組みを全国の事業者や消費者で共有し、不動産市場の整備・活性化に向けた取り組みのさらなる広がりを促進していきます。

 

※執筆の内容は、2013年9月末時点によるものです。

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