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エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)の一部改正について・エネルギー需給の早期安定化のため省エネ法の一部を改正

2012年4月11日

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国土交通省 土地・建設産業局 不動産業課
 

平成24年3月13日、「エネルギーの使用の合理化に関する法律(以下「省エネ法」という」)の一部を改正する法律案」が閣議決定され、経済産業省にて第180回通常国会に提出することとなりました。本法律案は、我が国経済の発展のためにエネルギー需給の早期安定化が不可欠であることから、供給体制の強化に万全を期した上で、需要サイドにおいて、持続可能な省エネを進めていく観点から所要の措置を講じるものです。今回は本改正の概要についてご紹介いたします。

省エネ法の概要

(1)省エネ法とは
「省エネ法」は、石油危機を契機として昭和54年に制定された法律であり、「内外のエネルギーをめぐる経済的社会的環境に応じた燃料資源の有効な利用の確保」と「工場・事業場、輸送※1、建築物、機械器具についてのエネルギーの使用の合理化を総合的に進めるための必要な措置を講ずる」ことなどを目的に制定されました。
※1:輸送分野については、平成17年改正時に導入。

(2)省エネ法におけるエネルギーとは
エネルギーとは、一般的にはすべての燃料、熱、電気を指して用いられる言葉ですが、省エネ法におけるエネルギーとは、以下に示す燃料、熱、電気を対象としています。廃棄物からの回収エネルギーや風力、太陽光等の非化石エネルギーは対象となりません。

  • 原油及び揮発油(ガソリン)、重油、その他石油製品(ナフサ、灯油、軽油、石油アスファルト、石油コークス、石油ガス)
  • 可燃性天然ガス
  • 石炭及びコークス、その他石炭製品(コールタール、コークス炉ガス、高炉ガス、転炉ガス)
    であって、燃焼その他の用途(燃料電池による発電)に供するもの
  • 上記に示す燃料を熱源とする熱(蒸気、温水、冷水等)※2
    ※2:対象とならないもの:太陽熱及び地熱など、上記の燃料を熱源としない熱のみであることが特定できる場合の熱
  • 上記に示す燃料を起源とする電気※3
    ※3:対象とならないもの:太陽光発電、風力発電、廃棄物発電など、上記燃料を起源としない電気のみであることが特定できる場合の電気

(3) 省エネ法が規制する分野は
省エネ法が直接規制する事業分野としては、“工場等”(工場または事務所その他の事業場)、“輸送”、“住宅・建築物”、“機械器具”の4つがあり、それぞれ以下に示す事業者が規制の対象とされます。

省エネ法が規制する分野

※4:省エネ法の条文では“工場または事務所その他の事業場”を一括して「工場等」といいます。
※5:自家輸送を含みます。

今回の法律改正の概要

(1)法律改正の背景
エネルギーの需給の早期安定化と供給体制の強化のため、昨今は需要側において、普及が進みつつある蓄電池やエネルギー管理システム等が有効に活用されるよう、電力ピーク対策を円滑化する措置を講ずることが必要になっています。
また、近年、業務・家庭といった民生部門におけるエネルギー使用量が増加傾向にあることを踏まえ、産業部門だけでなく、民生部門においても省エネルギー対策を一層進めることが求められております。

(2)法律改正の内容
本法律案では、主として以下の措置を講じます。

  • 電力ピークの需要家側における対策(工場、輸送等)
    需要家が、従来の省エネ対策に加え、蓄電池やエネルギー管理システム(BEMS※6・HEMS※7)、自家発電、蓄熱式の空調、ガス空調等の活用等により、電力需要ピーク時の系統電力の使用を低減する取り組みを行った場合に、当該取組が評価される体系にします。
    ※6:BEMSとは、Building Energy Management System(ビルディングエネルギー管理システム)の略。業務用ビルや工場などの建物において、建物全体のエネルギー設備を統合的に監視し、自動制御することにより、省エネルギー化や運用の最適化を行う管理システム。
    ※7:HEMSとは、Home Energy Management System(ホームエネルギー管理システム)の略。家電機器や給湯機器など住宅内のエネルギー消費機器をネットワーク化し、自動制御することにより、家庭におけるエネルギー管理を支援するシステム。
  • 建築材料等に係るトップランナー制度※8の導入
    これまでのトップランナー制度は、エネルギーを消費する機械器具(乗用自動車、エアコン、テレビ、照明、冷蔵庫等23機器)が対象でしたが、今般、他の建築物や機器等のエネルギーの消費効率の向上に資する機器を新たにトップランナー制度の対象に追加します。具体的には、建築材料等(窓、断熱材、水回り設備等)を想定しており、企業の技術革新を促し、住宅 ・建築物の省エネ性能の底上げを図ります。
    ※8:トップランナー制度とは、エネルギー消費機器の製造・輸入事業者に対し、3~10年程度先に設定される目標年度において高い基準(トップランナー基準)を満たすことを求め、目標年度になると報告を求めてその達成状況を国が確認する制度です。

(3)法律改正の効果
今回の法律改正により、事業者は電力需要のピーク対策にこれまで以上に取り組みやすくなることが期待されます。また、特に住宅、建築物分野の省エネ性能の底上げが図られることにより、冷暖房や給湯を中心とする民生部門における省エネルギー化が進んでいくことが期待されます。

※執筆の内容は、2012年3月末時点によるものです。

国土交通省


省エネ法の改正について、詳しくは経済産業省のサイトを参照してください。


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