トップ>国土交通省・最新の動き>VOL.32 「節電」へのご協力のお願いについて
2011年6月29日
東日本大震災の影響により、東京電力及び東北電力管内の供給力が大幅に減少し大きな需給ギャップが生じました。これに対処するため、やむを得ない緊急措置として計画停電が実施されましたが、国民・産業界の皆様の節電への最大限の協力、取り組みの結果、需給バランスは改善し、計画停電は「不実施が原則」の状態へと移行しております。
しかしながら、電力の需給バランスは、今後夏に向けて、再び悪化する見込みであり、需給両面での抜本的な対策を講じなければ、計画停電の「不実施が原則」の状態を維持することができません。このままでは、国民生活や産業活動が疲弊し、震災からの復興と日本経済の再出発は望めない状況に陥ることが懸念されております。
これらの危機的な状況を踏まえ、政府の電力需給緊急対策本部においては、本年5月13日に「夏期の電力需給対策」を取りまとめ、需要面では、一律15%削減という需要抑制目標の下、大口需要家(契約電力500kW以上の事業者)・小口需要家(契約電力500kW未満の事業者)・家庭の部門ごとに対策を講じることとしています(図表参照)。
図表:電力需要の内訳
契約電力500kW以上の大口需要家における対策として、電気事業法第27条に基づき、今夏の電力需要が増加する見込みの期間・時間帯において、電力使用制限(昨夏の同期間における使用最大電力から15%削減)を実施することになりました。15%削減に向けては、既に多くの大口需要家の皆様に自主的な節電の取り組みを進めていただいておりますが、今回の措置は、こうした自主的な取り組みを尊重し、需要抑制の実効性及び需要家間の公平性を担保するため、補完的な措置として発動するものです。
(1)使用制限の対象者
東京電力及び東北電力並びにその供給区域内の特定規模電気事業者と、直接、需給契約を締結している大口需要家(契約電力が500kW以上)の方々が今回の使用制限の対象となります。なお、対象は、電気事業者との契約単位(需要設備単位)で判断されます。
例:同一企業において、A事業所(需要設備)とB事業所(需要設備)の契約電力それぞれが、500kW以上であれば、両事業所がそれぞれ使用制限の対象となります。以下の例では、C営業所は500kWに満たないため使用制限の対象外です。
(2)使用制限の期間・時間帯
使用制限を行う期間・時間帯は、以下の通りです。
・東京電力管内:平成23年7月1日~9月22日 9時~20時
・東北電力管内:平成23年7月1日~9月9日 9時~20時
※土曜日、日曜日、祝日を除きます。
(3)使用制限の内容
上述の使用制限の期間・時間帯において、原則、「昨年の上述期間・時間帯における使用最大電力の値(1時間単位)から15%削減した値」を上限として、使用電力を制限していただくことになります。
(4)適用除外・制限緩和
A:避難所や福島第一原子力発電所の周辺地域に立地する事業所等については、適用除外(制限がかからない)とします。
B:社会・経済活動に与える影響を最小化するため、電力の利用実態を踏まえ、個々の業種・業態に応じた一定の緩和措置を講じます。
・生命・身体の安全確保に不可欠な施設(病院、上下水道等)
・安定的な経済活動・社会生活に不可欠である一方、電力の使用形態から制限の一律適用が困難な施設(鉄道、クリーンルーム、データセンター等)
・被災地の復旧・復興に必要不可欠な施設(被災地の自治体庁舎等)
契約電力500kW未満の小口需要家は、具体的な抑制目標と、それぞれの事業の形態に適合した自主的な計画を策定し、公表することになっています。
政府は、小口需要家の取り組みを促すため、「節電行動計画の標準フォーマット」を活用した節電取り組みの周知等の処置を講じています。
参照サイト)小口需要家の節電対策について、詳しくは政府の節電ポータルサイト「節電.go.jp」参照
各家庭における節電対策に関する知識、注意点をまとめました。
(1)節電はいつすればよい?
特に7~9月の平日は冷房需要が増え、1日の中では14時頃に家庭を含む全体の電力需要が最も大きくなります。 1日を通じた節電を心がけつつ、特に日中(9時~20時)の節電をお願いいたします。
(2)どんな電気製品を使っている?
A:夏の日中(14時頃)には、在宅世帯は平均で約1,200Wの電力を消費しており、そのうちエアコンが約半分を占めています。
B:外出中の世帯でも、冷蔵庫、温水洗浄便座、待機電力などにより、平均で約340Wの電力を消費しています。
(3)主な電気製品の消費電力について
A:家庭には1,000Wを上回る電気製品がたくさんあります。
B:消費電力の大きい電気製品※は、平日の日中(9時~20時)を避けて使いましょう。
※温水洗浄便座、電気ポット、食器洗い乾燥機、オーブントースター、掃除機、ドライヤー、洗濯乾燥機(乾燥)、浴室乾燥機、ジャー炊飯器、電子レンジ 、アイロン、IHクッキングヒーター 等
(4)家庭の節電対策メニュー
家庭で取り組む対策をチェックし、「我が家の節電対策」を作りましょう。
エアコン | 削減率 | 削減消費電力 | |
---|---|---|---|
1 | 室温28℃を心がけましょう。 | 10% 130W
※設定温度を2度上げた場合
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2 | “すだれ”や“よしず”などで窓からの日差しを和らげましょう (エアコンの節電になります)。 |
10% 120W | |
3 | 無理のない範囲でエアコンを消して、扇風機を使いましょう。 | 50% 600W |
冷蔵庫 | 削減率 | 削減消費電力 | |
---|---|---|---|
4 | 冷蔵庫の設定を「強」から「中」に変え、扉を開ける時間をできるだけ減らし、食品をつめこまないようにしましょう。 | 2% 25W | |
照明 | 削減率 | 削減消費電力 | |
5 | 日中は照明を消して、夜間も照明をできるだけ減らしましょう。 | 5% 60W | |
テレビ | 削減率 | 削減消費電力 | |
6 | 省エネモードに設定するとともに画面の輝度を下げ、必要な時以外は消しましょう。 | 2% 25W
※標準→省エネモードに設定し、使用時間を2/3に減らした場合 |
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温水洗浄便座(暖房便座) | 削減率 | 削減消費電力 | |
7 | 便座保温・温水のオフ機能、タイマー節電機能があればこれらを利用しましょう。 |
いずれかの対策により
1%未満 5W |
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8 | 上記機能がなければコンセントからプラグを抜いておきましょう。 | ||
ジャー炊飯器 | 削減率 | 削減消費電力 | |
9 | 早朝にタイマー機能で一日分まとめて炊いて、冷蔵庫に保存しましょう。 | 2% 25W | |
待機電力 | 削減率 | 削減消費電力 | |
10 | リモコンの電源ではなく、本体の主電源を切りましょう。長時間使わない機器はコンセントからプラグを抜いておきましょう。 | 2% 25W |
※執筆の内容は、2011年6月末時点によるものです。