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宅地建物取引業法施行令の改正について 不動産取引時における重要事項説明項目の追加

2021年12月8日

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国土交通省 不動産・建設経済局 不動産業課
 

2021年3月31日に踏切道改良促進法等の一部を改正する法律(令和3年法律第9号)(改正法)が公布されたことに伴い、同年9月24日に宅地建物取引業法施行令(昭和39年政令第383号)の改正を含む踏切道改良促進法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令(令和3年政令第261号)が公布、同月25日から施行されました。これにより、不動産取引時における重要事項説明の項目が追加されましたので、今回は、本改正についてご紹介します。

重要事項説明について

宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号)第35条第1項第2号では、購入者等の不測の損害を防ぐため、宅地建物取引業者に対し、宅地建物に係る法令上の制限についての説明義務を課しており、具体的な法令上の制限については宅地建物取引業法施行令第3条で定めています。今般、同条を改正し、重要事項説明の項目として、「道路外滞留施設協定の承継効」と「災害応急対策施設管理協定の承継効」の2点を追加しました。

【図1 重要事項説明の項目例】

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【図1 重要事項説明の項目例】

宅地建物取引業法施行令の改正によって追加された項目

追加されることになった項目の内容は、下記(1)及び(2)のとおりです。

(1)道路外滞留施設協定の承継効(踏切道改良促進法第10条関係)

踏切道改良促進法(昭和36年法律第195号)第3条第1項では、国土交通大臣が、踏切道指定基準に該当する踏切道の中から、交通量や踏切事故の発生状況等を考慮し、改良する必要がある踏切道を指定するとされています。改正法により、当該指定があったときに作成することとされている地方踏切道改良計画や国踏切道改良計画には、一定の条件の下で、道路外滞留施設の整備又は管理に関する事項を記載することができることとされ、また、鉄道事業者及び道路管理者は道路外滞留施設所有者等との間において、滞留施設協定を締結し、公示をした上で、当該道路外滞留施設の整備又は管理を行うことができるとされました。当該協定は、公示があった後に道路外滞留施設所有者等となった者にも効力が及ぶため、協定の内容によっては、当該協定の存在を知らないまま第三者が道路外滞留施設所有者等となった場合、不測の損害をもたらす可能性があるため、当該協定の効力について、重要事項説明の項目に追加することとされました。

道路外滞留施設とは、踏切道に接続する道路に沿って設けられた通路その他の当該道路の区域外にある施設であって歩行者又は自転車利用者の滞留の用に供することができるものとして国土交通省令で定めるものをいいます。

(2)災害応急対策施設管理協定の承継効(道路法第48条の29の7関係)

今回の改正法により、道路法(昭和27年法律第180号)第48条の29の2では、国土交通大臣は、道路の附属物である自動車駐車場のうち、災害が発生した場合における円滑な避難又は緊急輸送の確保を図るため特に必要と認められるものについて、防災拠点自動車駐車場として指定することができることとされています。また、同法第48条の29の5では、道路管理者は、道路外災害応急対策施設所有者等との間において、一定の事項を定めた災害応急対策施設管理協定を締結して、公示をした上で、当該道路外災害応急対策施設の管理を行うことができることとされました。当該協定は、公示があった後に道路外災害応急対策施設所有者等となった者にも効力が及ぶため、協定の内容によっては、当該協定の存在を知らないまま第三者が施設所有者等となった場合、不測の損害をもたらす可能性があるため、当該協定の効力について、重要事項説明の項目に追加することとされました。

不動産取引時における適切な重要事項説明に向けて

不動産の取引は、動産の取引と比べて権利関係や取引条件が極めて複雑であり、それらを十分に調査、確認しないで契約を締結すると、当初予定していた利用ができないなど、契約条件を知らなかったことによる不測の損害を被ることとなります。そのような紛争が生ずるおそれを防止するため、今後も適切な重要事項説明がなされるよう努めてまいります。

※執筆の内容は、2021年11月末時点によるものです。

国土交通省


詳しくは、国土交通省ホームページ「宅地建物取引業についてー最近の宅地建物取引業法令の改正についてー」を参照ください。

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