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令和2年版土地白書について 「令和元年度土地に関する動向」及び「令和2年度土地に関する基本的施策」

2020年8月12日

Report
国土交通省 政策統括官付
 

2020年6月16日に「令和2年版土地白書」が閣議決定されましたので、今回はその内容についてご紹介します。

土地白書とは

土地白書は、土地基本法(平成元年法律第84号)の規定に基づき、土地に関する動向等について、毎年国会に報告しているもので、本年版は、「令和元年度土地に関する動向」と「令和2年度土地に関する基本的施策」の2つに分かれています。

まず、第1部「令和元年度土地に関する動向」については、第1章で地価を始めとする不動産市場等の動向や、土地問題に関する国民の意識調査結果等を報告しています。
次に、第2章では、人口減少社会での動向として、地域の活力の維持・向上や多様な事業ニーズやライフスタイル等に対応した土地・不動産活用の取組や、管理不全土地等の適正な利用・管理に関する取組を取り上げるとともに、今般の土地基本法等の改正と土地基本方針に基づく総合的土地政策の内容について報告しています。
第2部では、2019年度に政府が土地に関して講じた施策、第3部では、2020年度に政府が土地に関して講じようとする基本的施策について記述しています。
今回は「令和元年度土地に関する動向」のうち、第1部「土地に関する動向」についてご紹介します。

[第1部第1章] 2019年度の不動産市場等の動向の概要

国土交通省「地価公示」の結果について見ると、全国の平均変動率は、全用途は5年連続の上昇となり、用途別では、住宅地は3年連続、商業地は5年連続、工業地は4年連続の上昇となり、いずれも上昇基調を強めています。
三大都市圏の平均変動率で見ると、全用途・住宅地・商業地・工業地のいずれも各圏域で上昇が継続し、東京圏及び大阪圏では上昇基調を強めています。
地方圏では、全用途・住宅地は2年連続、商業地・工業地は3年連続の上昇となり、地方四市(札幌市・仙台市・広島市及び福岡市)では全ての用途で上昇が継続し、上昇基調を強めています。また、地方四市を除くその他の地域においても、全用途・商業地が平成4年以来28年ぶりに上昇、住宅地は平成8年から続いた下落から横ばいとなり、工業地は2年連続の上昇となりました。

【図表1 地価変動率の推移(年間)】

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図表1 地価変動率の推移(年間)

全国の宅地供給量の推移を見ると、2018年度の宅地供給量は5,967ha(2016年度比6.3%増)で、その内訳は、公的供給が407ha(2016年度比40%減)、民間供給が5,560ha(2016年度比13%増)となっており、近年は6,000ha前後で推移しています。

【図表2 全国の宅地供給量の推移】

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図表2 全国の宅地供給量の推移

[第1部第2章]人口減少社会における土地の利用と管理を巡る動向

本章では、土地基本法等の改正の機会をとらえ、人口減少社会における土地の利用と管理を巡る動向として、まず第1節において、新たな需要への対応や需要喚起による土地・不動産活用の取組、第2節で、管理不全土地等の現状と適正な利用・管理に関する取組、最後に第3節で、土地基本法等の改正内容と土地基本方針に基づく総合的土地政策を取り上げています。
なお、本章では、各節各項の題名等、一部を抜粋した記載のみとしていますので、詳細は土地白書の本文をご参照ください。

●第1節 新たな需要への対応や需要喚起による土地・不動産活用の取組

本節では、人口減少社会にあっても、都市の競争力の強化や魅力の向上、地域産業の活性化や雇用の創出、地域サービスの維持・向上など地域の活力の維持・向上に向けた土地・不動産活用の取組や、民間企業等におけるインターネットを介し活用可能な土地・不動産とのマッチングを行うことなどにより、多様な事業ニーズに対応した地域の遊休土地等を有効活用する取組や多様な世代・世帯のライフスタイルやワークスタイルに対応した住宅を供給する取組を取り上げています。

1.地域の活力の維持・向上に向けた土地・不動産活用の取組

(1) 都市の競争力強化・魅力の向上に向けた取組
(2) 地域産業の活性化・雇用の創出に向けた取組
(3) 中心市街地の活性化や地域サービスの維持・向上に向けた取組

2.多様な事業ニーズやライフスタイルに対応する土地・不動産活用の取組

【図表3 ターミナル駅周辺における再開発ビルの事例(東京都渋谷区)】 【図表4 観光地の再生に向けたまちづくりの 取組例(廃業ホテル跡地を活用した宿泊施設:山口県長門市)】
図表3 ターミナル駅周辺における再開発ビルの事例(東京都渋谷区)
資料:渋谷スクランブルスクエア(株)
図表4 観光地の再生に向けたまちづくりの取組例(廃業ホテル跡地を活用した宿泊施設:山口県長門市)
資料:(株)星野リゾート

【図表5 利用希望者とのマッチングによる遊休土地・スペースの有効活用】

図表3 ターミナル駅周辺における再開発ビルの事例(東京都渋谷区)
地域で不足する駐車場としての活用/資料:akippa(株)公表資料より国土交通省作成
図表4 観光地の再生に向けたまちづくりの取組例(廃業ホテル跡地を活用した宿泊施設:山口県長門市)
賑わいづくり等のためのフードトラックとしての活用/資料:(株)Mellow

●第2節 管理不全土地等の現状と適正な利用・管理に関する取組

我が国では、人口減少・少子高齢化に伴う土地利用ニーズの低下や土地の所有意識の希薄化等により空き地・空き家等の低未利用の不動産や所有者による適正な利用・管理が期待できない管理不全土地等の問題が顕在化しています。
一方で、地方公共団体においては、空き地等の低未利用の不動産や管理不全土地への対応として、条例等の制定をはじめ各種施策に取り組んでいるほか、地域住民や専門事業者等と連携して、土地の利用・管理に取り組む事例も見られています。
本節では、これらの管理不全土地等の現状を示すとともに、地方公共団体や地域住民等による土地の適正な利用・管理に関する取組を取り上げています。

【図表6 土地所有者が土地を管理していない理由】

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図表6 土地所有者が土地を管理していない理由

【図表7 市町村による空き地の利用・管理に関する施策】

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図表7 市町村による空き地の利用・管理に関する施策

【図表8 官民連携により広場として整備した空き地(山形県上山市)】

図表8 官民連携により広場として整備した空き地(山形県上山市)
資料:NPO法人かみのやまランドバンク

●第3節 土地基本法等の改正と土地基本方針に基づく総合的土地政策の推進

人口減少等の進展に伴う土地利用ニーズの低下等を背景に所有者不明土地や管理不全の土地への対応が喫緊の課題となる中、所有者不明土地対策等の観点から、人口減少社会に対応して土地政策を再構築するため、令和2年3月に平成元年の制定以来の土地基本法等の抜本改正が行われました。また、同年5月には、改正された土地基本法に基づき、土地政策全般の政府方針を定める「土地基本方針」が策定されました(令和2年5月26日閣議決定)。
本節では、土地基本法等の改正の内容とともに、人口減少社会に対応した、土地基本方針に基づく、新たな総合的土地政策の内容について紹介しています。

1.土地基本法等の改正

(1) 背景と経緯
(2) 土地基本法等の改正の内容

【図表9 土地の適正な利用・管理の確保(土地基本法の改正)】

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図表9 土地の適正な利用・管理の確保(土地基本法の改正)

2.土地基本方針に基づく総合的土地政策の推進

土地基本法の改正を受けて、令和2年5月26日に土地政策全般の政府方針として土地基本方針が閣議決定されました。今後、土地基本方針に基づき、人口減少社会に対応した新たな総合的土地政策を推進していくこととなります。
土地基本方針は、改正土地基本法に基づき、5項目の基本的事項で構成されており、法の改正趣旨に沿って、従来の土地の「利用」「取引」の観点に加えて、「管理」の観点が各計画や各施策に追加されるとともに、土地に関する施策の総合的かつ効率的な実施を図るために必要となる調査や情報提供等に関する基本的事項や、国・地方公共団体をはじめとする関係主体が一体となった施策の総合的な推進に関する基本的事項が定められています。

【図表10 土地基本方針の概要 】

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図表10 土地基本方針の概要 
資料:国土交通省

土地白書本文の公開について

今回は、土地に関する動向について概要を紹介しましたが、土地白書本文では各種統計データを用いたより詳細な分析と、政府の土地に関する基本的施策を記載しています。土地に関する動向や施策について理解を深める際の参考としていただければと思います。

※執筆の内容は、2020年7月末時点によるものです。

国土交通省


詳しくは、国土交通省ホームページ「土地白書」を参照ください。

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