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既存住宅販売量指数の初公表(試験運用)について 不動産情報の動向把握に資する新たなマクロ指標の整備

2020年6月10日

Report
国土交通省 土地・建設産業局 不動産市場整備課
 

この度国土交通省において、不動産市場における新たなマクロ指標として「既存住宅販売量指数」の試験運用を開始いたしましたのでご紹介いたします。

背景・現状

リーマンショック以降、IMF等から、G20諸国に対し、経済・金融に関する統計整備の要請があったことを受け、不動産市場の動向把握などを目的とした不動産価格指数(住宅・商業用不動産)を整備しました。
さらに、今後の不動産市場をより正確に把握するためには、価格のみならず、取引量や賃料等、多角的な指標による分析が必要となり、またIMF等からも新たな指標の整備を求められております。このため、国土交通省では、「不動産市場のマクロ・ミクロ的な分析向上に向けた研究会」(座長:清水千弘 日本大学スポーツ科学部教授・東京大学空間情報科学研究センター特任教授)での議論を経た上で、「既存住宅販売量指数」について整備し、2020年4月に初公表を行いました。  
当指数は、登記データを基に個人が購入した既存住宅の移転登記量を加工・指数化したものであり、試験運用として今後毎月下旬に公表を行っていく予定です。

既存住宅販売量指数の定義・概要
  • 建物の売買を原因とした所有権移転登記個数(登記データ)のうち、個人取得の住宅で既存住宅取引ではないものを除いたものとする。(図1参照)
  • なお、この中には総務省統計局が5年に1度実施している住宅・土地統計調査で把握可能な「既存住宅取引量」には含まれていない別荘、セカンドハウス、投資用物件等を含む。
  • 特に、個人による床面積30㎡未満のワンルームマンション取得が増大している現状に鑑み、マンションにおいて床面積30㎡未満の数値を含んだものと除去したものとを併用して公表する。
  • 公表に当たっては当初は速報値として公表し、以降データクリーニング作業を実施した上で、順次確報値へと更新を行う。
  • 各月の販売量における季節性を排除するため、月次指数において季節調整を行う。

【図1 既存住宅販売量指数 イメージ】

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図1 既存住宅販売量指数 イメージs

●2019年の既存住宅販売量指数(全国合計)は、前年比4.0%増の110.0、30㎡未満のマンションを除く合計は前年比3.8%増の104.3

【表1 既存住宅販売量指数 年次表】 ※2010年=100 各数値は速報値

  2019年 2018年 2017年 2016年
合計(戸建住宅・マンション) 110.0 105.7 105.7 104.0
合計(戸建住宅・30㎡未満除くマンション) 104.3 100.5 100.7 100.4

●2020年2月分の同指数は、季節調整値は前月比前月比1.7%減の109.5、 30㎡未満除く合計・季節調整値は前月比2.2%減の103.1

【表2 既存住宅販売量指数 月次表】 ※2010年平均=100 各数値は速報値

  2020年
2月
2020年
1月
2019年
12月
2019年
11月
合計(戸建住宅・マンション)季節調整値 109.5 111.4 108.1 105.3
同 原系列 96.9 83.6 116.3 103.2
合計(戸建住宅・30㎡未満除くマンション) 季節調整値 103.1 105.5 102.0 100.6
同 原系列 90.1 78.4 109.6 98.5
戸建住宅 季節調整値 106.8 108.8 104.9 104.8
同 原系列 90.7 77.5 119.5 104.3
マンション 季節調整値 112.6 113.4 111.5 104.6
同 原系列 103.2 89.7 113.0 102.1
マンション(30㎡未満除く)季節調整値 98.9 100.8 98.6 94.4
同 原系列 89.4 79.5 97.8 91.6


【図2 既存住宅販売量指数 合計】 ※2010年平均=100、季節調整値・速報値

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図3 既存住宅販売量指数 合計 マンションの30㎡未満除く

【図3 既存住宅販売量指数 合計 マンションの30㎡未満除く】

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図3 既存住宅販売量指数 合計 マンションの30㎡未満除く

【表3 2020年2月 既存住宅販売量指数 一覧】

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図2 既存住宅販売量指数 合計

※2010年平均=100 各数値は季節調整値・速報値

○ブロック

北海道地方:北海道 東北地方:青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島・新潟 関東地方:茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨 北陸地方:富山・石川・福井 中部地方:長野・静岡・岐阜・愛知・三重 近畿地方:滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山 中国地方:鳥取・島根・岡山・広島・山口 四国地方:徳島・香川・愛媛・高知 九州・沖縄地方:福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄

○都市圏

南関東圏:埼玉・千葉・東京・神奈川 名古屋圏:岐阜・愛知・三重 京阪神圏:京都・大阪・兵庫

今後について

既存住宅販売量指数については、現在速報値となっている各指数の確報化を行いつつ公表を継続し、試験運用から本格運用に向けて検討を進めてまいります。
国土交通省では今後も新たな指標につき検討を行い、不動産市場の透明化、活性化に努めてまいります。

※執筆の内容は、2020年5月末時点によるものです。



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