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小規模不動産特定共同事業を更に活用しやすくするための施策について 地域における不動産のリノベーション等の担い手の参入を促進

2019年7月10日

Report
国土交通省 土地・建設産業局 不動産市場整備課 不動産投資市場整備室
 
小規模不動産特定共同事業の創設

空き家・古民家等の再生事業に地域の不動産事業者等が幅広く参入できるようにするため、2017年の不動産特定共同事業法の改正により、小規模不動産特定共同事業が創設されました。小規模不動産特定共同事業とは、不動産特定共同事業契約を締結して不動産取引を行い、当該不動産取引から生じる利益を分配する事業等を指す不動産特定共同事業のうち、原則として投資家1人当たりの出資額が100万円以内、かつ、投資家が行う出資の合計額が1億円以内のものを指します。小規模不動産特定共同事業については、通常の不動産特定共同事業が許可制であるのに対し、5年の登録更新制が採用され、最低資本金も1,000万円に緩和されました。

国土交通省では、小規模不動産特定共同事業の普及・促進のため、参入希望者等への専門家派遣事業や、ネットワークの形成に資する地方協議会等を実施してまいりましたが、こうした場での参入希望者等のご意見等も踏まえ、小規模不動産特定共同事業をさらに活用しやすくするための施策を実施しております。

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図表1 小規模不動産特定共同事業の創設


小規模不動産特定共同事業に関する実務についての講習

不動産特定共同事業を行うためには、投資家への勧誘や契約内容の説明等について指導管理等を行う業務管理者を、事務所ごとに設置しなければなりません。不動産特定共同事業の業務管理者は、宅地建物取引士であることに加えて、以下のいずれかを満たす者である必要があります。このうち(2)については、少なくとも近年は実施されておらず、不動産特定共同事業の許可を申請する者は(1)又は(3)を満たす者を業務管理者としています。

(1) 不動産特定共同事業の業務に関し3年以上の実務の経験を有する者
(2) 主務大臣が指定する不動産特定共同事業に関する実務についての講習を修了した者
(3) これと同等以上の能力を有すると認められることを証明する事業(以下「登録証明事業」という。)による証明を受けている者

小規模不動産特定共同事業者についても同様の要件を満たす者を業務管理者として、事務所ごとに設置する必要がありますが、小規模不動産特定共同事業への参入を検討している地域の不動産事業者等においては、これらの人材を地域で確保し、新たに雇い入れることは困難でした。

そこで、業務管理者となり小規模不動産特定共同事業の業務の実施に関し必要な助言・指導その他の監督管理を適切に行うことができる人材を適切に養成し、小規模不動産特定共同事業への参入を促進するため、2019年5月16日付で小規模不動産特定共同事業に関する実務についての講習を指定するための基準を定めました。(令和元年国土交通省・金融庁告示第一号「小規模不動産特定共同事業に関する実務についての講習を指定するための基準等」)
本基準に基づき、(一財)日本ビルヂング経営センターからの指定の申請があり、審査の結果、同センターが実施する「小規模不動産特定共同事業業務管理者講習」を2019年5月29日付で「主務大臣が指定する小規模不動産特定共同事業に関する実務についての講習」として指定しました。(同センターが実施する詳細につきましては、同センターにお問い合わせください。
(参考: https://www.bmi.or.jp/information/2019stock-biz_2.html))

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図表2 小規模不動産特定共同事業 業務管理者講習の概要と効果


特例事業者の宅建保証協会への入会

小規模特例事業者は、不動産特定共同事業法に基づく特別目的会社(以下SPC)ですが、宅地建物取引業法上の宅地建物取引業者と見なされるため、原則として、SPCごとに1,000万円の営業保証金を供託する必要があります。小規模不動産特定共同事業の活用が期待される小口投資を活用した空き家、空き店舗、古民家等の再生事業においては、事業規模が小さく、1,000万円の営業保証金は大きな負担となっておりました。
国土交通省と(公社)不動産保証協会において、小規模特例事業者が保証協会に加入できる方策を検討し、2019年4月1日より、一定の要件を満たす小規模特例事業者の加入を認める措置がなされました。なお、一定の要件を満たす小規模特例事業者を除く特例事業者については、2019年4月1日より、(公社)全国宅地建物取引業保証協会においても加入が認められることとなりました。(詳細につきましては両保証協会へお問い合わせください。)

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図表3 小規模特例事業者の宅建保証協会への加入(イメージ)ン

※執筆の内容は、2019年6月末時点によるものです。

国土交通省


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