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ESG不動産投資のあり方検討会の開催について ESG不動産投資の促進に向け有識者による検討会を設置

2019年4月10日

Report
国土交通省 土地・建設産業局 不動産市場整備課・不動産業課
 

国土交通省は、我が国の不動産市場が、ESGやSDGsに沿った中長期的な投資を投資家から呼び込むために必要な環境整備について検討するため、「ESG不動産投資のあり方検討会」の初会合を2019年2月14日に開催しました。

ESG投資とSDGsをめぐる動向

ESG投資とは、投資家が投資先の企業に対して、ESG(環境・社会・ガバナンス)への配慮を求めるものです。2006年にUNEP FI(国連環境計画金融イニシアティブ)と国連グローバル・コンパクトが提供したESG投資のガイドラインである責任投資原則(PRI)の署名機関数は年々伸びてきており、2,227機関が署名しています(2018年12月時点)。PRIへの署名機関を国・地域別に見ると、米国、英国、フランスの順に多くなっています。日本では、67機関が署名しており(2018年12月時点)、2015年9月には、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が署名しました。
また、2015年には、国連において、2030年までに、貧困や気候変動など17の目標を達成することを目指した「持続可能な開発目標(SDGs)」が採択され、経済・社会・環境をめぐる広範な課題に総合的に取り組むことが重要とされています。

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図表1 ESGを取り巻く動きと不動産投資に関する国連等の取り組みの資料

不動産分野においては、PRIの中心メンバーである欧州の年金基金グループが、ESG要素を不動産投資判断・指標に活用することを目的として2009年にGRESB(Global Real Estate Sustainability Benchmark)を創設しました。GRESBは不動産会社・ファンド単位のESG評価制度で、調査参加者数は年々増加しています。日本では、2018年時点における61社、このうちJ-REITでは38社が参加しており、参加率はJ-REIT市場の約9割(時価総額ベース)となっています。

ESG不動産投資のあり方検討会

不動産ストックは、国民生活や経済成長を支える不可欠な基盤であり、その質を高めていくことは、国民生活の向上や経済活動の生産性向上に資する重要な課題です。
我が国では、人口減少や少子高齢化、地球温暖化対策、防災減災等の喫緊の諸課題へ対応することが求められており、これらの課題に対応した不動産の形成を進めるためには、不動産投資市場の魅力を高め、ESGやSDGsに沿った中長期的な投資を多様な投資家から安定的に呼び込むための環境整備が必要とされています。
これらの課題に対応するとともに、世界的な広がりを見せるESG投資の動きに我が国の不動産投資市場が後れを取らないよう検討を行うことを目的として、国土交通省は「ESG不動産投資のあり方検討会」を設置しました。本検討会は、ESG投資、経済学、建築、都市工学の専門家で構成されています。

「ESG不動産投資」には、ESG要因に配慮し、(1)不動産ファンドを含む民間企業が事業活動として行う投資と、(2)機関投資家が行う資産運用としての投資の2つがあります。
このような「ESG不動産投資」について、まず、我が国で進めるべき「ESG不動産投資」の概念形成を行います。短期的な収益の確保のみを優先する投資から、「ESG不動産投資」による中長期的なリターンの確保への転換を図れるかどうかを含め、諸論点について議論を行います。
また、企業の情報開示のあり方について、海外機関投資家等からの投資を呼び込むことを視野に検討します。

今後のスケジュール

今後は、2019年6月頃の中間とりまとめに向けて3回程度の検討会を開催し、不動産投資におけるESGやSDGsのあり方及び取り組みの推進のため、検討を行ってまいります。

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図表2 不動産投資におけるESGやSDGsのあり方検討会

※執筆の内容は、2019年3月末時点によるものです。

国土交通省


詳しくは、国土交通省のホームページ「ESG不動産投資のあり方検討会」を参照ください。

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