トップ>国土交通省・最新の動き>VOL.123 「2019年度予算概要」について
2019年2月13日
国土交通省は、来年度の予算概要を公表しました。今回は、2018年の住宅・不動産市場の状況を振り返るとともに、土地・建設産業局不動産業課に関係する予算事業(※)を紹介します。
※今後の国会で予算案が成立することが前提となります。
2018年の住宅・不動産市場は、継続する低金利環境の中、外国人観光客の増加、再開発事業等の進展による繁華性の向上等を背景とした不動産投資意欲の高まりにより、堅調に推移しました。
地価については、全用途平均では、1991年以来27年ぶりに下落から上昇に転じました。地価は2010年以降、回復傾向にあります。特に近年は地方四市(札幌市・仙台市・広島市・福岡市)の上昇が顕著であり、住宅地・商業地ともに三大都市圏を上回る上昇となっています。
不動産投資市場に目を向けますと、J-REITについては、2018年新たに4銘柄が東京証券取引所に上場、2018年11月末時点で61銘柄、時価総額は約13.2兆円となり、銘柄数・時価総額はともに増加傾向にあります。東証REIT指数は、2017年11月末においては約1,672ポイントでしたが、2018年11月末時点においては約1,817ポイントと約11%の上昇であり、マーケット状況は拡大傾向にあります。
また、住宅着工戸数については2018年1月から10月までの合計が78万戸と、前年同期比で2.9%の減少となっています。
不動産市場の透明化・取引の活性化を促進するため、官民それぞれが保有する情報を連携させ、不動産の賃料や利回りなどの不動産市場の動向を的確に把握するための環境整備をします。また、不動産流通市場において、物件の取引価格や管理情報が整理されず散逸している現状を踏まえ、官民保有の蓄積データが相互に連携できるよう、不動産固有IDの導入を含め、市場データを中心とした情報管理基盤の整備を検討し、消費者との情報窓口となる宅地建物取引業者が各データにアクセスできる仕組みの構築に向けた検討を行います。
主な内容は次の通りです。
●官民情報連携に向けた環境整備
●不動産流通市場における情報連携のあり方の検討
本格的な人口減少社会を迎え、有効活用されずに放置される空き家・空き地は増加傾向にあり、その対策は喫緊の政策課題となっていますが、このような遊休不動産について、地域連携による新たな需要の創出や流通促進等を支援します。また、管理不全の土地が増加し、周辺環境の悪化等の課題が生じていることから、土地の管理や利用に関し所有者が負うべき責務等について検討します。これらにより、空き家・空き地の有効活用・適正管理を促進し、社会全体の生産性向上等を推進します。
主な内容は次の通りです。
●空き家等の流通・活用促進に向けた地域活動の支援
●地域における空き地の有効活用・適正管理の促進等
2018年6月15日に住宅宿泊事業法が施行されましたが、我が国の不動産ストックを宿泊施設などに利活用するため、民泊管理業者(住宅宿泊管理業者)の生産性向上・人材育成を図っていくことが必要です。このため、民泊管理業等の業務実態を調査分析し、安全・安心かつ快適な民泊サービスの提供を促進します。
主な内容は次の通りです。
●民泊管理業等の業務実態把握のための調査検討
近年、サブリース業者による家賃保証を前提としたシェアハウス投資を巡るトラブル等、賃貸住宅に関するトラブルが社会的な問題となっているため、賃貸住宅管理業者のルール強化や、未登録業者の登録促進に向けた環境整備を行い、賃貸住宅管理業の適正化を図ります。また、不動産投資手法の多様化が進む中、個人投資家が適切に投資判断し、投資を行うことができる環境を整備することで、サブリースのトラブルを含む個人投資家の被害等を可能な限り防止するとともに、個人の適切な投資判断を促進し、質の高い投資を促進します。
主な内容は次の通りです。
●賃貸住宅管理業の適正化に向けた調査・検討
●賃貸住宅管理業者のルール強化・登録促進に向けた環境整備
●個人の不動産投資に関する調査・検討
以上、土地・建設産業局不動産業課に関係する2019年度の予算事業を紹介しました。本事業を通じて、不動産業の活性化に取り組んでまいります。
※執筆の内容は、2019年1月末時点によるものです。