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住宅宿泊事業法の施行について 民泊の健全な普及を図ることを目的とした住宅宿泊事業法がスタート

2018年9月12日

Report
国土交通省 土地・建設産業局 不動産業課
 

民泊サービスの適正な運営を確保しつつ、民泊の健全な普及を図ることを目的とした住宅宿泊事業法が平成30年6月15日に施行されました。今回は、住宅宿泊事業法に基づく届出及び登録等の状況、今後の住宅宿泊事業の届出促進に向けた取り組みについてご紹介します。

住宅宿泊事業法に基づく届出及び登録等の状況について

住宅宿泊事業の届出等の状況については、平成30年7月27日時点で把握しているところでは、住宅宿泊事業の届出の件数が6,603件、うち受理済み件数が5,235件、住宅宿泊管理業の登録の申請件数が1,124件、うち登録済み件数が989件、住宅宿泊仲介業の登録の申請件数が55件、うち登録済み件数が35件となっています。
自治体別では、(1)札幌市(873件)、(2)新宿区(550件)、(3)福岡県(363件)、(4)大阪市(341件)、(5)渋谷区(329件)、(6)豊島区(283件)、(7)沖縄県(261件)の順で届出件数が多くなっています。
この他、住宅宿泊事業は年間提供日数の上限を180日としている一方で、365日提供が可能な旅館業法上の簡易宿所の許可や特区民泊の認定の件数が増加しています。

  • 旅館業法に基づく簡易宿所の営業許可施設数<厚生労働省調査>
    平成28年3月末:27,169施設
    平成29年3月末:29,559施設
    平成30年3月末:32,556施設
  • 特区法に基づく特区民泊の認定施設(居室)数<内閣府HPより>
    平成29年3月27日:85施設(218居室)
    平成30年3月31日:666施設(1,994居室)
    平成30年6月01日:803施設(2,620居室)

図をクリックすると拡大表示されます
図表1 住宅宿泊事業法に基づく届出及び登録の状況一覧

住宅宿泊事業の届出促進に向けた取り組みについて

本年3月15日から受付が開始された住宅宿泊事業の届出に関しては、政府の規制改革推進会議において、届出に係る手続きの煩雑さが、届出が伸び悩んでいる一因となっているとの指摘もあることから、本年6月15日に閣議決定された規制改革実施計画において、システムを利用したオンラインでの届出を基本とするとともに添付書類の削減に取り組むよう関係自治体に要請することが盛り込まれたものであり、関係自治体に対して本年7月13日付で関係省庁連名での要請通知が発出されたところです。

具体的な要請通知の内容は以下のとおりです。

  1. 住宅宿泊事業の届出にあたっては、住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン)において、「民泊制度運営システムを利用して行うことを原則とする」(ガイドライン2-1.(1)①参照)とされているところ、書面での提出を求め、システムを利用した届出を実質的に認めていないなどの自治体もあることから、各自治体における届出手続きに関する手引き等においても、民泊制度運営システムを通じた届出が可能であることを明記すること等により、同システムの利用促進に努めること。
  2. 届出前の事前相談や事前協議を届出者の利便性向上や自治体の円滑な事務処理のため実施することも考えられるが、それにより届出者が届出を躊躇したり、かえって届出者の手続きの負担の増加となることのないよう留意すること。
  3. 2.のほか、各自治体において、届出手続きのためのガイドラインや手引が作成されている場合には、法令上の義務づけ事項と推奨事項の混同等、誤解が生じないよう正確で分かりやすい説明に努めること。
  4. 届出の際の添付書類について、各自治体によって法令で定めている書類に追加して提出を求めている場合があるが、行政部局間の情報共有等により確認可能と思われる事項を中心に、届出者の負担軽減の観点から、添付書類の簡素化や削減を行うことができないか検討を行うこと。
  5. 消防法令適合通知書の提出については、法令で定められた必須事項ではないが、ガイドラインにおいて、届出住宅が消防法令に適合していることを担保する等の目的から、住宅宿泊事業の届出時に併せて提出するよう求めている(ガイドライン2—1.(3)②参照)。
    しかしながら、届出受付時に同通知書の提出が間に合わなかった場合であっても、届出を受け付けた上でその他の事項についての確認作業を進めつつ、届出の受理までに同通知書が提出され消防法令への適合が確保されるのであれば、差し支えない。
    なお、この場合においては、住宅宿泊事業所管部局において、消防法令への適合確認手続きをすみやかに進めることを届出者に求めるとともに、消防部局との情報共有を適切に行うこととされたい。
    また、地域の実情に応じ、消防法令適合通知書を交付する以外の方法によることとしている場合にあっては、従前通り運用していただいて差し支えないこと。

また、関係自治体に対しての通知と併せて、住宅宿泊管理業者及び住宅宿泊仲介業者等に向けても、住宅宿泊事業の届出に係る協力を促す要請がされているところです。例えば、住宅宿泊管理業者においては、住宅宿泊事業の届出に必要な書類や住宅の所在する自治体の条例などについても理解を深め、家主から民泊の実施について相談を受けた場合には、届出に関し必要な情報提供を行うなど民泊の健全な普及に協力を求める要請内容となっております。

※執筆の内容は、2018年8月末時点によるものです。

国土交通省


住宅宿泊事業法及び住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン)等について、詳しくは国土交通省のサイト「住宅宿泊事業法」を参照ください。

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