トップ>国土交通省・最新の動き>VOL.115 平成30年度予算事業「空き家等の流通・活用促進事業」について
2018年6月13日
平成30年度予算事業として、昨年度から継続事業となります「地域の空き家・空き地の利活用モデル事業」の募集を開始致しました。今回はその取り組みについて、紹介します。
近年、全国の空き家の総数は増加の一途をたどっており、平成25年時点で空き家の総数は約820万戸、住宅ストック総数の13.5%を占めています。また、世帯が所有する空き地面積は、平成15年からの10年間で約1.4倍に増加しています。
空き家・空き地等の流通・利活用が進みにくい背景として、空き家・空き地等の有効活用・管理には、不動産取引の専門家である宅地建物取引業者の協力が不可欠ですが、地方公共団体と宅地建物取引業者等が連携・協力した取り組みは十分に全国的に広がっていないことが挙げられます。こうした現状において、不動産分野における生産性の向上を図り、我が国の経済成長に貢献していくためには、国民の未利用資産である空き家・空き地等の不動産ストックについて、需給のミスマッチの解消や新たな需要の創出等により、その流動性を高め、有効活用を推進する必要があります。
本事業では、地域の空き家・空き地等の利活用に取り組む地方公共団体と宅地建物取引業者等が連携したモデル事業者を募集し、その活動を支援し空き家・空き地等の流通促進を図ることを目的としています。
本取り組みでは、不動産取引の専門家である宅地建物取引業者のノウハウを活用し、先進的な取り組みを行う不動産業団体等の活動支援を実施します。想定される事例としては、リフォーム事業者との連携による移住希望者向けリフォーム提案、空き家化を未然に防ぐための遠隔地居住者向け相続不動産相談等です。宅地建物取引業者を中心として、地方公共団体、NPO団体、リフォーム業者等の団体や地域の企業が連携して、地域の不動産ストックである空き家等の流通・活用促進を図る不動産業団体等のモデル的な取り組みを支援します。
本年度は、上記のような取り組みに加え、ビッグデータやAI、IoT等の新技術を不動産流通分野で活用した取り組みも積極的に支援する対象としています。
なお、本事業は平成29年からの継続事業であり、平成29年度には、全国38事業を採択しました。これにより実際に流通・利活用に結びついた空き家・空き地等は54件となっています。(43件はすでに流通・利活用がされており、11件は具体的に調整中)具体の事業内容としては、所有者向けセミナーの開催等が24団体、事業者向けの研修等の実施が17団体、個別相談会の開催が25団体でした。その他、空き家の実態調査、自治体との空き家バンク協定、空き家管理サポーターの住民登録等の取り組みもありました。
このように、本年度も各協議会がそれぞれの地域で、消費者のニーズに応える様々な取り組みに支援を行っていきます。
平成30年度末には、採択された不動産業団体等が事業成果報告を行う発表会を開催する予定であり、各地域における優良事例を全国の事業者等で共有し、地域における効果的な流通モデルの構築・横展開を図ります。
※執筆の内容は、2018年5月末時点によるものです。