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改正宅地建物取引業法に関するQ&Aについて 改正により宅建業者の役割が強化されるインスペクション等に関するQ&Aを作成

2017年10月11日

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国土交通省 土地・建設産業局 不動産業課
 

宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号)を改正し、一部の規定が平成29年4月1日に施行されました。(平成29年4月1日施行以外の部分については、平成30年4月1日に施行されます。)宅地建物取引業法の改正について、「改正宅地建物取引業法に関するQ&A」を追加しましたのでお知らせ致します。

制度の背景

我が国が本格的な人口減少・少子高齢社会を迎える中、既存住宅流通市場の活性化は、国民資産である住宅ストックの有効活用、既存住宅流通市場の拡大による経済効果の発現、ライフステージに応じた住替えの円滑化による豊かな住生活の実現等の観点から重要な政策課題となっています。
一方、我が国の既存住宅の流通量は、年間17万戸前後と横ばいで推移しており、既存住宅の流通量が増加しない要因の一つとして、消費者が住宅の質を把握しづらい状況にあることが挙げられています。
このため、消費者が安心して既存住宅の取引を行える市場環境の整備を図り、既存住宅の流通を促進する必要があります。
また、近年、不動産取引に関連する制度等が専門化・高度化していることに鑑み、宅地建物取引業の業務に従事する者の資質の向上や、消費者利益の保護の一層の徹底を図る必要があります。
これらを踏まえ、宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号)を改正し、一部の改正規定が平成29年4月1日に施行されました。(なお、平成29年4月1日施行以外の部分については、平成30年4月1日に施行されます。)

欧米に比べて低い日本の既存住宅流通シェア

我が国の既存住宅流通シェアは平成25年時点で14.7%であり、流通シェアが8割を超えるアメリカやイギリス等と比べて極めて低い状況です。
このため、国土交通省では、平成37年に既存住宅流通市場の規模を倍増させるという目標を掲げ、各種の政策を進めています。今回の宅地建物取引業法の改正もその一環です。

図表1 既存住宅流通シェアの国際比較

インスペクションの活用が既存住宅流通促進のカギ

インスペクションとは、建物に生じたひび割れ、雨漏り等の事象の有無を把握するための調査のことです。専門家が、水平器やクラックスケールといった計測機器を用いて調査します。既存住宅の取引時にこうした調査を実施することにより、売主や購入予定者が、住宅の基礎・外壁等の状況を把握することが可能となります。取引の対象となる住宅の状態に関する正確な情報を十分に理解した上で、購入の意思決定や交渉ができるようになれば、安心して既存住宅の取引を行うことができます。売主にとっても、事前に住宅の状態を明らかにし、買主に納得してもらうことで、引き渡し後のトラブルを軽減する効果が期待できます。
既存住宅流通促進のためには、インスペクションの普及が重要と考えています。

図表2 インスペクションのイメージ

宅地建物取引業法改正により変わる既存住宅取引

今回の宅地建物取引業法の改正では、取引時に建物状況調査が活用されるよう、宅地建物取引業者(以下宅建業者)の役割を強化しています。
改正の一番のポイントは、宅建業者は、既存住宅に係る売買等の契約の締結前に行う重要事項説明のときに、建物状況調査(5講習機関の登録を受けた建築士が行うインスペクションのことであって、一定の要件を満たすもの)を実施しているかどうか、また、実施している場合には建物状況調査の結果を説明することとなる点です。また、宅建業者に媒介を依頼し、媒介契約を締結したときに、宅建業者は、インスペクション業者のあっせんの可否を示し、あっせんが可能な場合には、媒介依頼者(売主等)の意向を確認して、媒介契約にあっせんの有無を明記することになります。
このような法改正により、今後は、インスペクションの実施が広がってくるものと考えています。今後は、インスペクションが実施されているかどうか、インスペクション結果がどのようなものかということが、既存住宅の選択に大きく影響してくるかもしれません。

住宅の瑕疵(かし)保険の加入によりさらに安心

既存住宅の取引時に活用できるサービスとして、インスペクションのほかに、既存住宅売買瑕疵(かし)保険というものがあります。この保険にインスペクションの検査事業者が加入することで、仮に引き渡し後に不具合が発見された場合であっても、買主は一定の保証を確実に受けることができます。
法改正を契機に、インスペクションと併せて瑕疵保険も普及することで、より安心な取引が広まることを期待しています。

※執筆の内容は、2017年9月末時点によるものです。

国土交通省


詳しくは国土交通省ホームページ「改正宅地建物取引業法に関するQ&A」を参照ください。

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