トップ>国土交通省・最新の動き>VOL.102 「不動産取引における苦情紛争相談等の状況」について
2017年5月10日
宅地建物取引業者を監督する立場にある国土交通省には、不動産取引における苦情紛争相談等が寄せられています。そこで今回は、消費者の方への不動産取引時の注意喚起のため、不動産取引における苦情紛争相談等の状況についてご紹介します。
平成27年度に国土交通省(地方支分部局及び沖縄総合事務局を含む)及び都道府県の宅地建物取引業法主管部局の本局・本課(以下「宅地建物取引業法主管課」)並びに都道府県が設置する住宅相談所等の外部施設にて対応された宅地建物取引業者の関与する宅地建物取引に関する苦情・紛争に係る来庁相談件数は、対前年度比19件、0.9%増加の2,164件でした。
なお、このうちの1,527件については、宅地建物取引業法主管課にて対応されているものです。【図表1】
【図表1】国土交通省及び都道府県において取り扱われた苦情・紛争相談件数の推移
(1)全体件数
平成27年度に宅地建物取引業法主管課で対応された1,527件を原因別に見ると、「重要事項の説明等」(重要事項の不告知を含む。以下同じ)に関するものが513件と最も多く、次いで「契約の解除」(ローン不成立による契約解除を含む。以下同じ)の170件、「報酬」(高額報酬の請求を含む。以下同じ。)の103件、「瑕疵(かし)問題」(瑕疵補修を含む。以下同じ)の103件、「媒介に伴う書面の交付」の43件と続いています。
最も多い原因である「重要事項の説明等」は、平成27年度は2年振りに減少し、▲2.1%となりました。【図表2】
【図表2】 主要原因上位5項目の構成比推移<全体件数>
(2)売買に係る苦情・紛争相談件数
宅地建物取引業者自らが売主として関与した宅地建物の取引に関する苦情・紛争相談件数470件を原因別に見ると、「重要事項の説明等」に関するものが140件と最も多く、次いで「契約の解除」の80件、「瑕疵問題」の49件、「契約内容に係る書面の交付」の14件と続いています。
「重要事項の説明等」は、平成15年度には500件を超える件数の対応があり、以降も30%前後の高い比率で推移しています。
依然として、「重要事項の説明等」、「契約の解除」及び「瑕疵問題」の主要原因上位3要因で全体の約半数以上を占める状況が続いています。【図表3】
【図表3】主要原因上位5項目の構成比推移<売買>
(3)売買の媒介・代理に係る苦情・紛争相談件数
宅地建物取引業者が媒介又は代理として関与した宅地建物の売買に係る取引での苦情・紛争相談件数621件を原因別に見ると、「重要事項の説明等」に関するものが210件と最も多く、次いで「契約の解除」の73件、「報酬」の58件、「瑕疵」の48件と続いています。
売買の媒介・代理では、依然として「重要事項の説明等」が30%を超える比率で推移しています。また、報酬や媒介契約に係る書面の交付を巡る紛争など、媒介という取引形態特有の要因が依然として上位を占めています。【図表4】
【図表4】主要原因上位5項目の構成比推移<媒介・代理(売買)>
(4)賃貸の媒介・代理に係る苦情・紛争相談件数
宅地建物取引業者が媒介又は代理として関与した宅地建物の賃貸取引に関する苦情・紛争相談件数436件を原因別に見ると、「重要事項の説明等」に関するものが163件と最も多く、次いで「報酬」の45件、「預り金、申込証拠金等の返還」の28件、「契約内容に係る書面の交付」の20件と続いています。
「重要事項の説明等」は、全体の約3割を占めています。【図表5】
【図表5】主要原因上位5項目の構成比推移<媒介・代理(賃貸)>
今後とも、消費者の皆様が安心して不動産取引を行っていただけるよう、宅地建物取引業の適正な運営と宅地建物の公正な取引の確保に努めてまいります。
※執筆の内容は、2017年4月末時点によるものです