トップ>国土交通省・最新の動き>VOL.101 住宅セーフティネットの強化に向けて

国土交通省・最新の動き今までの掲載記事

住宅セーフティネットの強化に向けて 居住支援協議会等による支援強化や福祉・住宅行政の連携強化のための連絡協議会の設置

2017年4月12日

Report
国土交通省 住宅局 安心居住推進課
 

今後、我が国においては、単身高齢者について、今後10年間で100万世帯の増加が見込まれるなど、高齢者、低額所得者、子育て世帯等の住宅確保要配慮者について、安心して暮らせる住宅が確保できる住宅セーフティネット機能の強化が重要な政策課題となっております。そこで今回は、住宅セーフティネットの強化に向けた取り組みについてご紹介します。

新たな住宅セーフティネット制度の検討

住宅確保要配慮者の住宅セーフティネットについては、これまでも公営住宅をはじめとする公的賃貸住宅等の供給に対する支援を行ってきたところですが、公営住宅は、平成17年をピークに減少傾向にあり、地方公共団体の財政状況や将来の人口減少等から、今後も公営住宅の大幅な増加は見込めない状況にあります。一方で、住宅ストックの状況は、空き家・空き室が多く存在するとともに、引き続きその増加が見込まれていることから、こうした空き家・空き室の有効活用が課題となっています。

このような状況のもと、平成28年3月に閣議決定された「住生活基本計画(全国計画)」において「住宅確保要配慮者の増加に対応するため、空き家の活用を促進するとともに、民間賃貸住宅を活用した新たな仕組みの構築も含めた、住宅セーフティネット機能を強化すること」とされ、これを踏まえ平成28年4月に社会資本整備審議会の住宅宅地分科会に「新たな住宅セーフティネット検討小委員会」を設置し、制度の基本的な方向性などについて有識者による議論を行いました。
今般、この小委員会での議論等を踏まえ、平成29年2月に「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律の一部を改正する法律案(住宅セーフティネット法)」が閣議決定されたところです。法律案の具体的な内容としては、住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度の創設、生活保護受給者の代理納付を推進するための措置、居住支援協議会等による住宅確保要配慮者と民間賃貸住宅のマッチング・入居支援の強化などを行うこととしております。

この新たな住宅セーフティネット制度の実施、中でも居住支援協議会等による住宅確保要配慮者と民間賃貸住宅のマッチング・入居支援の強化に当たっては地方公共団体の住宅部局や福祉部局における対応に加え、不動産関係団体、福祉関係団体等とのより一層の協力が不可欠です。このため、平成28年12月に、国レベルにおいても国土交通省と厚生労働省による情報共有や協議を行う連絡協議会を設置したところです。

【新たな住宅セーフティネット制度のイメージ】

新たな住宅セーフティネット制度のイメージ

居住支援協議会等による支援の強化

居住支援協議会は、住宅セーフティネット法に基づき住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居の促進等を図るために、地方公共団体、居住支援団体や不動産関係団体が連携し設立できる協議会です。都道府県単位だけでなく、区市町村単位でも設立されており、平成29年2月末時点においては全国で64協議会(全都道府県及び17区市町)が設立されています。

居住支援協議会では、住宅確保要配慮者が入居可能な住宅の情報提供、住宅確保要配慮者と民間賃貸住宅のマッチング、家賃債務保証や見守りなどの居住支援サービスの紹介・情報提供などを行っています。地域の事情に応じたきめ細やかな入居円滑化の支援を実施するためには、区市町村レベルでの取り組みが重要であり、区市町村単位の居住支援協議会の設立や都道府県の協議会への区市町村の参画を推進しております。
さらに、法律案において、地域で中核的に居住支援を行うNPO法人や社会福祉法人等を居住支援法人として都道府県が指定することで、住宅情報の提供や入居相談などの実働的な活動を担えるようにすることとしております。

【居住支援協議会による支援の強化について】

居住支援協議会による支援の強化について

連絡協議会の開催状況について

前述したように、生活困窮者、高齢者、障害者、子育て世帯等のうち生活や住宅に配慮を要する方々の住まいの確保や生活の安定、自立の促進に係るセーフティネット機能の強化に向け、福祉行政と住宅行政のより一層の緊密な連携を図るため、国土交通省と厚生労働省で情報共有や協議を行う連絡協議会を平成28年12月に設置しました。

今後、連絡協議会において新たな住宅セーフティネット制度が実効的な取り組みとなるよう、住宅確保要配慮者の入居の円滑化や、各地域における居住支援協議会活動の充実に向けた方策について協議を行うとともに、国土交通省の住宅施策と厚生労働省の生活困窮者施策、高齢者施策、子育て施策等の連携のあり方について意見交換を行い効果的な施策の実現を図っていきます。

※執筆の内容は、2017年3月末時点によるものです。

国土交通省


ページトップ