トップ > 不動産トピックス > 2023年の住まい領域のトレンドキーワードは「平屋回帰」と予測
出典:(株)リクルート 「SUUMOトレンド発表会2023」
2023
5.17
(株)リクルートの住まい領域の調査研究機関であるSUUMOリサーチセンターは、このたび、「SUUMOトレンド発表会2023」において、2023年のトレンドキーワードを「平屋回帰」と発表した。
同社では、「人生100年時代、度重なる災害を経験し、先々のライフスタイルの変化が想定される中、変化に柔軟な家造りや将来設計の面からも“ミニマルな暮らし”に注目が集まっている」ことや、住宅資材・エネルギー価格の高騰やSDGsの採択により「脱炭素化・省エネ意識が高まったことで、初期コスト・ランニングコストともに低い、小さな平屋・コンパクト平屋へのニーズが増加している」ことなどから、「今改めて注目が集まるトレンド」として「平屋回帰」を挙げた。
同社が注文住宅建築者を対象として実施した調査(「注文住宅動向調査<注文住宅建築者>2022」より)によると、住宅のテーマについて検討したもの(複数回答)として「平屋の住宅」と回答した人の割合は、2018年は12.4%だったが、2019年は14.3%、2020年は15.2%、2021年は16.2%、2022年は17.9%と年々増加しており、「注文住宅建築者の平屋検討率は上昇傾向」だという。
全国の平屋の棟数・割合(国土交通省「建築着工統計調査/建築物着工統計」より)を見ると、2014年の3万2,827棟(全国1階~3階居住専用住居における平屋の割合7.6%)から2022年は5万7,022棟(同13.7%)に、いずれも増加している。
これらのことから、同社では、平屋へのニーズが拡大しているとしている。
また、同社では「平屋回帰」トレンドの背景として、「住関連価格の高騰」「所有から利用へ」「世帯構成の多様化」といった「社会の変化」と、「ミニマルライフへの志向変化」「SDGsへの関心向上」「身軽な暮らし体験」といった「人々の内面変化」を挙げており、「ライフスタイルの変化に合わせて住まいも最適化」したいという志向が表れていると見ている。
「平屋回帰」トレンドの背景
出典:(株)リクルート 「SUUMOトレンド発表会2023」
同社では、ニーズが増加している現代の「コンパクト平屋」を、「主拠点」と「主拠点に加える小屋やタイニーハウス」に分類している。
現代の「コンパクト平屋」の特徴
出典:(株)リクルート 「SUUMOトレンド発表会2023」
さらに、「主拠点」として「新築 高コスパ平屋」「リユース平屋」、「主拠点に加える小屋やタイニーハウス」として「サードプレイス平屋」があり、3種類に分類できるとしている。
一つ目の「新築 高コスパ平屋」は、太陽光発電、高断熱、高耐震等の機能性を追求しながらも、20坪前後・1,500万円前後の手の届きやすい価格の新築住宅。
二つ目の「リユース平屋」は、既存(中古)一戸建てを買い取ってリフォームしたり、昔ながらの日本家屋の2階部分を減築した住宅で、「地方都市で販売数を拡大している」という。
三つ目の「サードプレイス平屋」は、趣味などを楽しんだり、多拠点生活の拠点となるもので、試しやすい金額で「地方の平屋を改修したり、必要最低限の新築を建てるケース」だという。
なお、専有面積が40㎡~60㎡のローコスト平屋に興味がある2,560人を対象に、したい「暮らし方」を複数回答で聞いたところ※、「時間・心のゆとりを持った暮らし」(55.6%)、「健康的な暮らし」(53.4%)が過半数となり、同社では「ローコストな平屋に興味があると回答した人は『ゆとり』『健康的』な暮らしを求めている」と見ている。
※ | (株)リクルート「よのなか調査(生活者編)2022年」より、新たな住まいへの興味において、「専有面積が40㎡~60㎡のローコスト平屋に興味がある」と回答した人の回答率が特徴的に高かった項目を抜粋 |