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VOL.193令和6年版土地白書について

「令和5年度土地に関する動向」及び「令和6年度土地に関する基本的施策」

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  • 国土交通省
  • 不動産・建設経済局
  • 土地政策審議官部門
  • 土地政策課

2024

12.11

2024年6月18日に「令和6年版土地白書」が閣議決定されましたので、その概要について紹介します。

土地白書とは

土地白書は、土地基本法(平成元年法律第84号)の規定に基づき、土地に関する動向等について、毎年国会に報告しているもので、本年版は、「令和5年度土地に関する動向」、「令和5年度土地に関して講じた基本的施策」、「令和6年度土地に関する基本的施策」の3部から構成されています。
今回は第1部「土地に関する動向」について、概要を紹介します。

令和5年度の土地に関する動向

国土交通省「地価公示」により、2024年1月1日時点における全国の地価動向をみると、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも3年連続で上昇し、上昇率が拡大しました。
三大都市圏の平均変動率でみると、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも3年連続で上昇し、上昇率が拡大しました。東京圏、名古屋圏では、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも3年連続で上昇し、上昇率が拡大しており、大阪圏では、全用途平均・住宅地は3年連続、商業地は2年連続で上昇し、それぞれ上昇率が拡大しました。
地方圏では、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも3年連続で上昇し、全用途平均・商業地は上昇率が拡大し、住宅地は前年と同じ上昇率となりました。地方圏のうち地方四市(札幌市、仙台市、広島市及び福岡市)では、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも11年連続で上昇し、全用途平均・住宅地は上昇率が縮小しましたが、商業地は上昇率が拡大しました。地方四市を除くその他の地域では、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも2年連続で上昇し、上昇率が拡大しました。
全国の地価は、景気が緩やかに回復している中、地域や用途により差があるものの、三大都市圏・地方圏ともに上昇が継続するとともに、三大都市圏では上昇率が拡大し、地方圏でも上昇率が拡大傾向となるなど、上昇基調を強めています。
住宅地については、都市中心部や利便性・住環境に優れた地域などでは、住宅需要は堅調であり、地価上昇が継続しています。また、三大都市圏や地方四市の中心部における地価上昇に伴い、周辺部においても上昇の範囲が拡大しており、特に地方四市の周辺の市等では、高い上昇となった地点が見られます。
商業地については、都市部を中心に、人流回復を受けて店舗需要の回復傾向が続いたほか、オフィス需要も底堅く推移したことなどから、地価の回復傾向が進んでいます。再開発事業等が進展している地域では、利便性や賑わいの向上への期待感等から、地価上昇が継続しており、また、インバウンドを含めた観光客が回復した観光地や、人流回復が進む繁華街では、地価の大幅な回復が見られます。
大手半導体メーカーの工場が進出する地域では、関連企業も含めた従業員向けの住宅用地等の需要のほか、関連企業の事務所用地等の需要も旺盛となっており、住宅地、商業地、工業地ともに高い上昇となっています。また、eコマース市場の拡大を背景に、大型物流施設用地等に対する需要が旺盛となっており、高速道路等へのアクセスが良好な工業地では、高い上昇となった地点が見られます。

【地価変動率の推移(年間)】

地価変動率の推移(年間)

国土交通省では国民の土地・不動産の所有・利用・管理に関する意識を調査するため、「土地問題に関する国民の意識調査」(以下「意識調査」)を毎年行っています。2023年度の意識調査によると「土地は預貯金や株式などに比べて有利な資産か」という質問に対し、「そう思う」と回答した者の割合は21.8%、「そうは思わない」と回答した者の割合は23.2%、「どちらともいえない」と答えた者の割合が35.5%となりました。2009年度の調査以降「そうは思わない」の割合が「そう思う」の割合を上回る結果が続いています。

【土地は預貯金や株式などに比べて有利な資産か】

土地は預貯金や株式などに比べて有利な資産か

サステナブル(持続可能)な土地利用・管理に向けた取組

これまでは、人口増加を前提に、農地等から宅地への土地利用転換が行われるとともに、敷地が細分化されてきました。人口減少社会のもと、土地利用転換等を通じたサステナブルな土地利用・管理の取組が広がりつつあります。

●地域における空き地の有効な利活用

○空き地等の広場、緑地としての利活用

空き地等を広場や緑地として整備することで、空き地が雨水浸透等の効果を持つグリーンインフラとしての機能を発揮させることができます。また、空き地をオープンスペースとして利活用することで、地域住民等のコミュニティ形成に寄与し、地域全体の価値の向上が期待できます。地域の空き地を広場、緑地に利活用する取組事例としては、千葉県柏市の「カシニワ制度」や神奈川県川崎市の「カナドコロ」などの事例があります。

【カシニワ(左:千葉県柏市)、カナドコロ(右:川崎市)】

カシニワ(左:千葉県柏市)、カナドコロ(右:川崎市)

○地方公共団体の支援による隣地統合や空き地の地域利用

所有者等が自ら利用する予定のない空き地等について、その活用を促進するため、神戸市では専門家等と連携して、空き地等の適正な活用等による良質な住環境の創出を目指した取組が行われています。具体的には狭小地等を隣地と統合する際の不動産仲介手数料等への補助や空き地の利用希望者とのマッチング支援等が行われています。

【隣地統合補助(兵庫県神戸市)】

隣地統合補助(兵庫県神戸市)

●土地を利活用した賑わいの創出

○空き家対策と空き地対策の一体的・総合的推進

市街地においても、相続等を契機とした空き地や空き家の増加による空洞化や多数の狭あい道路等による住環境の悪化が進行しており、低未利用不動産の有効活用による住環境の向上が必要です。
山形県鶴岡市では、地域で活動する特定非営利法人つるおかランド・バンクが、市と連携して空き家・空き地の利活用に向けた取組を行っています。

【空き家と空き地の一体活用(山形県鶴岡市)】

空き家と空き地の一体活用(山形県鶴岡市)

○未利用の放棄林のオープンスペース化(にぎわいの森)

未利用の放棄林地を活用し、庁舎や商業施設等を整備する際に、自然環境を活かした緑地空間を創出する取組も行われています。三重県いなべ市の「にぎわいの森」では、市庁舎の整備に合わせて、かつて放棄林であった場所を市が買い取り、既存の樹木を活かしつつ、既存の自然環境を活かした施設の整備が行われました。緑地内に整備された商業施設や散策路が賑わいを創出するとともに、緑地はグリーンインフラとしても機能しています。

【にぎわいの森(三重県いなべ市)】

にぎわいの森(三重県いなべ市)

●土地の管理水準の低下への対応

○人口減少社会における国土の適切な管理の推進

我が国は人口減少社会を迎えており、土地需要の減少に伴い、国土の管理水準の低下や非効率な土地利用の増大等が懸念されています。持続可能な国土の形成に向け、人口減少下における国土の適切な管理のあり方を構築し、国土の荒廃を防ぐための取組を進めていくことが急務となっています。
こうした取組の一つとして、都道府県・市町村・地域の各レベルで、人口や土地の管理状況等についての現状把握・将来予測を行い、目指すべき将来像と土地の管理のあり方、必要な取組を盛り込んだ、管理構想の策定を推進することとしています。地域管理構想は、優先的に維持したい土地や管理方法を「管理構想図」として地図化したものですが、その作成過程で、地域住民が話合いに参加し、地域資源や課題、将来像、具体的な取組等を検討・共有することとしています。

【地域管理構想図(長野県長野市中条地区)】

地域管理構想図(長野県長野市中条地区)

○荒廃農地の発生防止・解消に向けた取組

我が国の農業を取り巻く状況としては、農業就業者の5割以上を60歳以上の世代が占めており、今後、高齢化が進行してリタイアしていくことにより、農地等の経営資源や農業技術が適切に継承されずに、農業の生産基盤が一層脆弱化することが危惧されています。また、高齢化が進む中山間地域を中心に農村人口も減少し、農業生産のみならず地域コミュニティの維持が困難になると懸念されています。
食料の安定供給の確保、多面的機能の発揮を図っていくため、今後とも国内農業の基盤である農地を確保する必要があり、農地制度等の適切な運用を図るとともに、荒廃農地の発生防止・解消を着実に推進する必要があります。

【農地面積の推移】

農地面積の推移

●土地の利用・管理を支える基盤

○土地の利活用に向けた資金調達

土地の利活用に際しては資金調達が重要となりますが、制度が確立している事例としてグリーンボンドが注目されています。グリーンボンドとは、企業や地方公共団体等が発行する債券であり、具体的には、①調達資金の使途がグリーンプロジェクトに限定され、②調達資金が確実に追跡管理され、③それらについて発行後のレポーティングを通じ透明性が確保された債券です。
国内では、大阪府大阪市の「うめきた2期区域のまちづくり」や東京都港区の「麻布台ヒルズ」等のプロジェクトにおいて、グリーンボンドが充当されています。

【うめきた2期区域のまちづくり(左:大阪市)、麻布台ヒルズ(右:東京都港区)】

うめきた2期区域のまちづくり(左:大阪市)、麻布台ヒルズ(右:東京都港区)

○土地に関する情報基盤の整備

土地に関する情報基盤の整備のため、ビッグデータ等の活用が模索されています。群馬県前橋市では、市が保有する住民基本台帳データ等を活用した空き家の状況を把握する試みが行われています。これにより、全ての建物を1件ずつ目視で確認することなく、判断に迷う建物のみに焦点を当てた効果的・効率的な調査を実施したり、目的に応じて調査結果を柔軟に活用したりすることができる可能性があることが分かりました。

【空き家の推定(群馬県前橋市)】

空き家の推定(群馬県前橋市)

○土地の利活用・管理に関する専門人材の育成・活用

適正かつ合理的な土地の利用及び管理を図るには、個々の土地の条件に加え、地域の自然的、 社会的、経済的及び文化的諸条件や地域住民の意向等を考慮するとともに、複雑な権利関係や土地利用規制に対応するため、専門知識を有する専門家と連携することが重要です。全国10ブロックに設置された、国、地方公共団体、関係士業団体等で構成される「土地政策推進連携協議会」では、土地に関する諸制度の普及のための講習会・講演会を開催するとともに、土地の利活用・管理に資する実務的な講習、相談対応、ノウハウ提供を実施しています。

【土地政策推進連携協議会における講演会】

土地政策推進連携協議会における講演会

土地白書の公表について

今回は、土地白書のうち第1部「土地に関する動向」について概要を紹介しました。土地白書は、国土交通省ホームページにおいて全文を公表していますので、土地に関する各種統計データや政府の基本的施策について参照する際などに活用いただければと思います。

国土交通省

詳しくは、国土交通省ホームページ「土地白書」を参照ください。

※執筆の時期は、2024年11月末となります。

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