トップ > 国土交通省・最新の動き > VOL.181 「不動産クラウドファンディングに係る実務手引書」の公表について
2023
12.13
国土交通省では、不動産特定共同事業などの不動産証券化手法を活用した不動産投資市場の整備に取り組んでいます。今般、不動産特定共同事業法(以下「不特法」)に基づく「不動産クラウドファンディングに係る実務手引書」を公表しましたので、今回はその内容についてご紹介します。
不動産特定共同事業は、投資家から出資を受けて不動産取引を行い、生じた賃料収入や売却益を投資家に分配する仕組みです。中でも、不特法に定める「電子取引業務」の許可を受けて、不動産特定共同事業に関する投資家との契約手続きをインターネット上で完結する事業を、不特法に基づく「不動産クラウドファンディング」と呼んでいます。
不動産クラウドファンディングの活用により、事務コストを抑えつつ多くの投資家から出資を受ける不動産特定共同事業の組成が可能になります。
不特法に基づく不動産クラウドファンディングの2022年度の利用実績は、件数が419件、出資額が約604.3億円でした。それぞれ、2021年度比で約1.85倍、約2.61倍と利用が拡大しています。地方においても、件数が101件・出資額が約118.3億円(それぞれ2022年度)と利用が進んでおり、不動産クラウドファンディングの活用は全国的な広がりを見せています。
不動産クラウドファンディングは、集合住宅等の住居を中心として、オフィスや商業施設、保育園やヘルスケア施設等の社会福祉施設、物流施設など幅広い用途への不動産投資に活用されています。
また、地方公共団体が保有する古民家などの「公的不動産(PRE)」の改修・再生の案件などの事例も出てきており、多様な活用が広がっています。
不特法に基づく不動産クラウドファンディングは投資家が手軽に投資できる一方、対面での説明を行わないことなどから、投資家保護のために適切な業務管理体制を構築する必要があります。
国土交通省では「不動産特定共同事業法の電子取引ガイドライン」を定め、事業者が構築すべき業務管理体制の水準を示しているなかで、本手引書は、適切な業務管理体制を構築する必要性や、構築のための手順等につき事業者の理解を促進することを目的としています。
本手引書では、当該ガイドラインに示す業務管理体制を構築するためのポイントや具体例等を、実務上のフェーズごとに解説しており、特に、システム構築やクラウドファンディングの経験に乏しい事業者や、情報格差が生じやすい地方の事業者などを対象として想定しています。
適切な業務管理体制の実現のため、検討中の方にも、既に電子取引業務を行っている方にも、本手引書が活用されることを期待しています。
国土交通省では公的不動産(PRE)の活用促進を図っており、地方公共団体が保有するPREに関する売却・貸付情報や提案募集に関するポータルサイトの運営管理を行っています。
前掲事例(公的不動産(PRE)の再生・活用)も、地方公共団体のサウンディング調査から事業の検討が開始されています。PREポータルサイトの情報は地方公共団体からの依頼に基づき随時更新しておりますので、ぜひご活用ください。
詳しくは、国土交通省のホームページ「不動産クラウドファンディングに係る実務手引書を公表します~適切な電子取引業務の管理体制を実現するための具体的な対応例等を整理~」を参照ください。
※執筆の内容は、2023年11月末時点によるものです。
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