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VOL.167住宅のリースバックに関するガイドブックについて

「住宅のリースバックに関するガイドブック」の公表

Report
  • 国土交通省
  • 不動産・建設経済局
  • 不動産業課、住宅局
  • 住宅企画官付

2022

10.12

国土交通省では、住宅のリースバックの適切な活用方法や留意点等について取りまとめた「住宅のリースバックに関するガイドブック」を令和4年6月24日に公表しました。本ガイドブックは、実際の事例を踏まえ、リースバックの主な特徴、リースバックの利用例及びトラブルの例並びに消費者がリースバックを利用する際のポイント等を整理したものです。今回はその内容について紹介します。

住宅のリースバックについて

住宅のリースバックとは、リースバック利用者(売主)が、リースバック事業者(買主)に自宅を売却して現金を得て、売却後は毎月賃料を支払うことで、住んでいた住宅に引き続き住むというサービスです。近年高齢者世帯を中心に住み替え、建て替え資金の確保等を目的として、リースバックを活用した不動産取引が徐々に増加傾向にあります。

このような取引は、多様なライフスタイルの実現や既存住宅流通市場の活性化、空き家の発生防止等につながるものとして期待される一方で、契約内容や将来の収支計画について、消費者の理解が不十分なままでリースバック契約を締結したこと等を理由としたトラブル事例も見られます。こうした状況を踏まえ、国土交通省では、「消費者向けリースバックガイドブック策定に係る検討会」を開催して検討を行い、本ガイドブックの公表に至りました。

【図 リースバックの仕組み
【図 リースバックの仕組み】

リースバックの利用例

リースバックを利用することが、消費者にとってメリットとなる場面として、以下の例が想定されます。

  • 例① 高齢者施設への住み替えに利用した例
  • 例② 実家の建て替え資金の捻出に利用した例

例①は、持ち家から高齢者施設への転居を決意した夫妻が、入居時の一時金を支払うため、まとまった資金を準備する必要が発生したケースです。自宅の売却や各種融資等と比較検討され、「入居可能となるまで生活環境を変えたくない」「施設入居後に自宅の管理や処分を行うのは負担」「入居準備の時点で現金を持ちたい」ことを理由に、家族と相談の上で、2年間の定期借家契約とするリースバック(中途解約条項有)を締結されました。

例②は、高齢の両親と同居するため、両親が居住する実家を建て替えて2世帯住宅にするための建築資金を捻出したケースです。「新居の完成まで、今と同じ環境での生活を続けたい」「(本活用例の場合)借り入れよりリースバックの方が、売買代金から支払賃料を差し引いても資金が多く残る試算となった」ことをメリットに、1年間の定期借家契約とするリースバック契約を締結されました。

リースバックを利用する際のポイント・基本的な注意事項

リースバックを利用する際のポイント・基本的な注意事項としては、以下の内容が挙げられます。

・ポイント① 不動産業者・金融機関など複数の事業者に相談し、自分のライフプランに合った条件・手法を選びましょう。
・ポイント② 解約に多額のお金がかかることもあります。きちんと条件・内容を理解するため、契約を急かす営業トークを鵜呑みにせず、落ち着いて、後で家族に相談して決める、と伝えましょう。
・ポイント③ 住み続ける期間にわたって、毎月賃料を支払うことができるか、一度計算しましょう。
・ポイント④ 提示されている売却価格について、複数の事業者に意見を聞いてみましょう。
・ポイント⑤ 買い戻しは「当然の権利」ではありません。「いつまでに」「いくらで」買い戻せる条件なのか等、契約前に確認しましょう。
・ポイント⑥ 自分が望む期間、本当に住み続けられる契約なのか、更新・再契約の条件など契約書の記載を確認しましょう。
・ポイント⑦ リースバック期間中に、設備が壊れたら直すのは自分・事業者のどちらなのか?自分の好きなように修繕等をしていいのか?等確認しておきましょう。(また、途中で亡くなった場合に、家族が原状回復費用を請求される場合もあります。)

消費者がリースバックの利用を検討する際には、利用例のように、他の手法とも比較し、基本的な注意事項等も踏まえ、その取引の内容が自分のニーズ・ライフプラン等と合致しているかをよく考えることが重要です。
それぞれの契約内容について十分に理解し、急いで契約せず、必要に応じて家族・親族等とも相談しながら、検討を進めるよう記載しています。

公表されたガイドブックには、上記の内容のほか、参照されたトラブルの例や、より詳細な特徴・ポイントの説明文等も掲載されており、より一層リースバックに関する理解が深まる内容になっています。健全なリースバックの普及に向け、本ガイドブックが活用されることを期待しています。

国土交通省

詳しくは、国土交通省のホームページ「住宅のリースバックに関するガイドブック」 を公表しました」を参照ください。

※執筆の内容は、2022年9月末時点によるものです。

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