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VOL.164空き家・空き地バンクについて

空き家・空き地バンク未設置の自治体向け「空き家・空き地バンク導入のポイント集」を策定

Report
  • 国土交通省
  • 不動産・建設経済局
  • 不動産業課

2022

7.13

自治体が空き家対策として設置・運営している空き家・空き地バンクは全国の約7割の自治体が既に設置済みです。一方で、未設置の自治体のうち、特に人口規模の小さい自治体は予算、人員等が不足し設置できていない状況がうかがえます。そのため、空き家・空き地バンクの未設置自治体向けに、先行自治体の取組例などを盛り込んだ空き家・空き地バンクの設置・運営に関するポイント集を策定しました。
今回は2022年6月7日に報道発表した空き家・空き地バンク未設置の自治体向け「空き家・空き地バンク導入のポイント集」について、ご紹介します。

空き家バンク設置の背景

平成30年(2018年)の住宅・土地統計調査によると、全国における空き家率は年々上昇傾向にあり、849万戸(13.6%)が空き家となっています。特に、そのうち、「賃貸用の住宅」「売却用の住宅」「二次的住宅」を除く「その他の住宅」の割合が上昇傾向にあります。

図1 空き家の種類別割合の推移(平成30年住宅・土地統計調査)
図1 空き家の種類別割合の推移(平成30年住宅・土地統計調査)
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空き家バンク設置の目的・体制構築

空き家バンクは、空き家の流通促進を行うことで、地域の空き家対策を進め、かつ、不動産ストックの流通・利活用を促進します。
空き家バンクの設置について、地域内に宅地建物取引業者(以下、宅建業者)が存在する場合、あらかじめ空き家バンクの必要性、有用性及び目的等を含めて情報共有・意見交換することで、自治体と宅建業者の役割分担もイメージしながら作業を進めることができます。空き家の所有者には、公的な主体の関与に安心感を持つ方もおり、自治体と宅建業者とが連携して取り組むことが有効です。
また、空き家バンクの運営に当たっては、宅建業者等の協力事業者と連携しつつ、空き家の募集、相談対応、物件登録、利用者への情報提供等を行う必要があります。小規模の自治体では、限られた人員で、多くの主体との調整を進める必要があるため、庁内の体制構築・外部との連携体制構築を進める必要があります。

図2 空き家バンク運営の例
【図2 空き家バンク運営の例】
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全国版空き家・空き地バンクの利用・登録のために必要な情報の収集

空き家バンクは、物件情報の公表が必要になるため、webサイトを構築する必要があります。自治体独自でサイトを構築する場合はサイトを自由に設計できるメリットがある一方で、予算が必要となります。この他に「全国版空き家・空き地バンク」に参加する方法があります。全国版空き家・空き地バンクとは、自治体が把握・提供している空き家等の情報について、自治体を横断して簡単に検索できるよう国土交通省が2017年10月に構築したもので、株式会社LIFULLとアットホーム株式会社の2社によって、それぞれ運営されています。

全国版空き家・空き地バンクへ物件情報を登録する際に最低限必要な情報として、株式会社LIFULLは、所在地(都道府県・市区町村)、現況、物件名、物件種別、問合せ先、価格・賃料(価格・賃料は要相談とすることが可能)が登録必須項目となっており、アットホーム株式会社は、戸建て売買の場合、所在地、沿線、現況、引渡時期、物件名、建物構造、間取りが登録必須項目となっています。

【図3 全国版空き家・空き地バンク】

空き家・空き地バンクの運営・利用者とのマッチング

空き家バンクの運営においては、空き家に関する相談対応のみならず、地域における空き家を掘り起こして登録を促進すること、物件登録においては利用希望者の興味を引くように物件の特徴等を盛り込むことが有効となっています。空き家は一般的な不動産流通サイトでは買い手が見つからない物件が多いため、これらの不動産流通サイトとは異なる需要層(例えば、地方への移住を目的としており、低廉な価格の物件を望む方)にアプローチする必要があります。

空き家・空き地バンクの設置運営の促進に向けて

国土交通省では、令和4年度(2022年度)において、自治体に向けたオンライン説明会等での本ポイント集の周知により、現在未設置の自治体の空き家・空き地バンクの設置・運営を促進していきます。
今後も、このような国民の未利用資産である空き家・空き地等の不動産ストックについて、需給のミスマッチの解消や新たな需要の創出等により、その流動性を高め、有効活用を促進してまいります。

図4 空き家・空き地バンク導入のポイント集の概要
図4 空き家・空き地バンク導入のポイント集の概要
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※執筆の内容は、2022年6月末時点によるものです。

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