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VOL.73
GX志向型住宅
執筆HFオンウェイ合同会社代表社員/「住宅新報」元編集長 福島康二
2025
2.19
政府は、2050年までに二酸化炭素を含めた温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「2050年カーボンニュートラル」の実現を目標に掲げている。その取り組みの一環として住宅分野では、「長期優良住宅」「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)水準住宅」など、住宅の省エネ化を進める施策を展開。「GX志向型住宅」は、政府が住宅の省エネ化をさらに促進させる施策「子育てグリーン住宅支援事業」のなかで、新たな省エネ性能の基準として打ち出したものだ。対象となる住宅を建てる場合、1戸当たり160万円の補助金を支給する。
| GX志向型住宅 | 断熱等性能等級「6以上」 |
|---|---|
| 一次エネルギー消費量の削減率:35%以上(再エネ除く) | |
| 一次エネルギー消費量の削減率:100%以上(再エネ含む) | |
| ZEH水準住宅 | 断熱等性能等級「5以上」(ZEH強化外皮基準を満たす) |
| 一次エネルギー消費量の削減率:20%以上(再エネ除く) | |
| 長期優良住宅 | 断熱等性能等級「5以上」 |
| 一次エネルギー消費量の削減率:20%以上(再エネ除く) |
名称の頭文字「GX」とは、「Green Transformation(グリーントランスフォーメーション)」を略したもの。脱炭素社会に向けて、化石燃料から太陽光発電や風力発電などの再生可能なクリーンエネルギーに転換する取り組みを示している。こうしたGXの考え方を取り入れた「GX志向型住宅」として認められるための省エネ基準は、政府が2030年以降の新築住宅の「スタンダードな基準」になることを目指している「ZEH水準住宅」の基準を大きく上回るものだ。
「ZEH水準住宅」として認められるには、「断熱等性能で等級5以上」「一次エネルギー消費量で等級6」の省エネ基準を満たす必要がある。一次エネルギー消費量における「等級6」は最高等級で、削減率で表すと「省エネ基準の一次エネルギー消費量から20%以上の削減」である。
一方、「GX志向型住宅」の省エネ基準としては、『断熱等性能で等級6以上』、一次エネルギー消費量については、削減率で表すと「35%以上の削減」が求められており、ZEH水準よりも厳しい基準となっている。さらに、『再生可能エネルギーを含む一次エネルギー消費量の削減率が100%以上』という、ZEH水準にはない基準が加わる。すなわち、太陽光発電システムといった自らエネルギーを創出する「創エネ」設備などを導入し、住宅で消費するエネルギーのすべてを賄えるような住宅であることを要件にあげている。
出所:国土交通省ホームページ資料より、筆者にて赤枠追記
政府は、「2050年カーボンニュートラル」の1つの指標として、2050年には新築・既存住宅を合わせた住宅ストック全体の平均でZEH水準の省エネ性能になることを目指している。現状として、省エネ性能が低い既存住宅が国内に多数あるなか、ZEH水準の省エネ基準を大きく上回る「GX志向型住宅」の普及を促進させることで、住宅ストック全体の省エネ性能を底上げしたい考えがあるようだ。
今回の「子育てグリーン住宅支援事業」では、「GX志向型住宅」のほかにも、「ZEH水準住宅」や「長期優良住宅」に対する支援策も盛り込まれている。「GX志向型住宅」の補助対象世帯はすべての世帯だが、「ZEH水準住宅」「長期優良住宅」は、特に子育て世帯等を対象にしている(上図、赤枠内参照)。前者は1戸当たり40万円、後者は1戸当たり80万円の補助金を支給する。さらに、既存住宅を取り壊して新築する場合は、それぞれ20万円を加算する。
「子育てグリーン住宅支援事業」の「GX志向型住宅」「ZEH水準住宅」「長期優良住宅」は、新築住宅の支援事業だが、今回の補正予算では、既存住宅に対する省エネリフォームの支援事業も各種用意されている。
出所:国土交通省ホームページ資料より抜粋
「先進的窓リノベ2025事業」 では、一定基準の断熱性能を持つ高断熱窓への改修に対して、200万円を上限に費用の2分の1相当を補助する。また、給湯器についても、「給湯省エネ2025事業」のなかで、一定の基準を満たした高効率給湯器を導入する場合、機器・性能ごとに設けられた定額を補助する。既存の賃貸集合住宅については、「賃貸集合給湯省エネ2025事業」のなかで、設置しやすい小型の省エネ型給湯器のうち、一定の基準を満たした機器を導入する場合に支援する。
そのほか、「子育てグリーン住宅支援事業」では、住宅の開口部・躯体等に対する一定の断熱改修や、エコ住宅設備の設置等の省エネリフォームを行う場合に、工事内容に応じて定額を支援する。さらに、これらの工事の実施を条件に、住宅の子育て対応改修、バリアフリー改修等を行う場合、工事内容に応じて定額を支援する。
出所:国土交通省ホームページ資料より抜粋
今回の「新築住宅の省エネ化」「既存住宅の省エネリフォーム」に対する各種支援事業は、国土交通省、環境省、経済産業省がそれぞれ管轄する事業だが、「住宅省エネキャンペーン」として3省連携で取り組みを進める方針だ。そうすることで、利用者が各事業を併用する場合、共通のホームページからの申請や情報入手が可能となり、ワンストップで申請手続きができるようになる。なお、「新築住宅の省エネ化」では、経済産業省における「蓄電池の設置」を組み合わせて併用できるようにする。
※各種事業については、諸々の条件などがある。内容は今後変更となる可能性もある。