トップ>不動産トピックス>耐震補強工事の実施率は3割弱、そのうち9割弱が「内壁側から壁補強」を実施
日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(以下、木耐協)はこのたび、「木耐協調査データ」(平成27年8月27日発表)を発表した。恒例の住宅(木造在来工法)の耐震診断に関する結果分析に加え、今回は、平成23年9月1日~平成27年3月31日に木耐協で耐震診断を実施した人を対象として、「診断後アンケート」(有効回答2,570人・対象住宅は、昭和25年~平成12年5月までに着工された2階建て以下の木造在来工法)を行っている。ここでは、「診断後アンケート」で聞いた、耐震補強工事の実態について紹介する。
補強工事の実施率は28.13%で、昭和55年以前に建てられた旧耐震基準建物(1,149件)では28.11%、昭和56年以降に建てられた新耐震基準建物(1,421件)では28.15%と、旧耐震・新耐震による差は見られなかった。診断対象の住宅の年代別に見ても、「平成3~12年」では25.93%、「昭和56年~平成2年」では29.60%、「昭和46~55年」では28.23%、「昭和45年以前」では27.83%と、年代差は見られなかった。
住宅の耐震性別に見ると、「倒壊しない」(17件)では5.88%、「一応倒壊しない」(147件)では8.16%、「倒壊する可能性がある」(387件)では25.58%、「倒壊する可能性が高い」(2,019件)では30.26%となり(表)、耐震性が低いほど工事の実施率が高かった。木耐協では「住宅の耐震性が補強工事を行う決め手の一つであることがわかる」としている。
※日本木造住宅耐震補強事業者協同組合 「木耐協調査データ」(平成27年8月27日発表)より抜粋して作成
実施した補強工事の内容を見ると、85.48%と最も多かったのが「内壁側から壁補強」で、次いで「基礎補強」(36.51%)となった(図)。木耐協では、壁補強が「最も一般的な耐震補強工事」であり、基礎補強は「壁補強で強くなった耐力壁を支えるために、基礎の補強も必要となるケースが多いため」と見ている。また、「屋根の軽量化」(10.24%)は、診断対象の住宅の年代が古い住宅ほど実施率が高くなっているが、「古い住宅ほど壁の量が不足しているので、屋根の軽量化を行う必要性が高いため」と考えられるという。耐震補強工事は「壁補強」を基本として、築年数・年代に応じた工事が行われていることが確認できる結果となった。
※日本木造住宅耐震補強事業者協同組合 「木耐協調査データ」(平成27年8月27日発表)より抜粋して作成
このサイトに掲載している情報の無断転載を禁止します。著作権は(公財)不動産流通推進センター またはその情報提供者に帰属します。
Copyright 2003 (公財)不動産流通推進センター(旧:(財)不動産流通近代化センター)