トップ>不動産トピックス>2018年度下期の成約賃料は「変化なし」が約6割、首都圏では「増加」比率が高い
2019年7月3日
(公財)日本賃貸住宅管理協会はこのたび、「第21回 賃貸住宅市場景況感調査『日管協短観』」を発表した。同協会の会員(賃貸住宅管理会社)を対象として、賃貸不動産の景況感を半期ごとに調査、把握・分析しており、今回は2018年度下期(2018年10月~2019年3月)のもの。2019年4~5月に、2018年度下期を調査対象期間としてインターネットによるアンケート調査を行い、242社の回答を得た。
2018年度下期の反響効果は、「増加」との回答が52.8%を占め、「ポータルサイト」「自社HP」「SNS」「情報誌」「自社誌」「看板」のうち、特に「ポータルサイト」では59.0%と高かった。DI値※の推移を見ると、前年同期(2017年度下期)と比べ、「ポータルサイト、自社誌で特に上昇」したが、「自社HPは下降」した。
反響数は、59.6%が「増加」と回答しており、「電話・FAX」「メール」「直接来店」のうち、特に「メール」では67.0%と約7割に上った。DI値の推移を見ると、前年同期と比べ、「電話・FAX、メール、直接来店の全てで上昇」した。
成約件数は、賃貸では54.5%(首都圏63.1%、関西圏61.3%、その他エリア45.7%)が「増加」と回答した。一方、売買では49.0%(同50.0%、41.7%、50.0%)が「変化なし」と回答した。DI値の推移を見ると、前年同期と比べ、「賃貸が大きく上昇しているのに対し、売買は下降」する結果となった。
成約賃料は、「変化なし」が57.9%(「1R~1DK」49.3%、「1LDK~2DK」61.2%、「2LDK~」61.0%)と最も多かった(図1)。エリア別に見ると、首都圏では、他の2エリアより、全ての間取りで「増加」比率が高く、特に「1R~1DK」は45.0%と5割弱となった。DI値の推移を見ると、前年同期と比べ、「1R~1DK」「1LDK~2DK」「2LDK~」の全てで「大幅に上昇」する結果となった。
※業況判断指数(DI値)とは、前年よりも増加(≒良い)と感じている企業の割合から減少(≒悪い)と感じている企業の割合を引いたもの。{(「増えた」の回答数×2+「やや増えた」の回答数)-(「やや減った」の回答数+「減った」の回答数×2)}÷全回答数÷2×100で算出される。
※(公財)日本賃貸住宅管理協会 「第21回 賃貸住宅市場景況感調査『日管協短観』」
礼金や敷金(保証金)といった一時金(平均月数)について見ると、礼金は0.98ヶ月(前年同期0.94ヶ月)で、全エリアで増加。一方、敷金(保証金)は1.18ヶ月(同1.27ヶ月)で、全エリアで減少した。家賃保証会社の利用率は97.57%(同95.65%)で、首都圏・関西圏では100.00%だった。機関保証への加入を必須としている割合は81.51%(同74.56%)で、「全エリアで大幅に上昇」した。
入居条件について見ると、全国では「礼金なし物件、敷金(保証金)なし物件、フリーレントの『増加』比率が約4割と高い」という(図2)。エリア別に見ると、関西圏では「礼金なし物件、敷金(保証金)なし物件の『増加』比率が他の2エリアより高く」、その他エリアでは「フリーレントの『増加』比率が約5割と高い」結果となった。DI値の推移を見ると、「礼金なし物件、敷金なし物件、フリーレントが大きく下降」した一方、「敷引き、賃料は上昇」した。
また、今回から新たに「セーフティネット住宅」登録状況や、外国人入居のスタンスについても調査。「セーフティネット住宅」登録状況は、「登録しておらず、今後の登録も考えていない」(全国45.6%、首都圏48.1%、関西圏46.7%、その他エリア43.6%)が最も多かった。外国人入居のスタンスについては、「外国人入居に取り組んでおり、スタンスに変更なし」が全国では50.4%と約5割を占めた。エリア別に見ると、「首都圏と関西圏は『外国人入居に取り組んでいる・取り組んでいく』との回答が約7割」に上った。
※(公財)日本賃貸住宅管理協会 「第21回 賃貸住宅市場景況感調査『日管協短観』」