トップ>不動産トピックス>温熱性能の高い住まいに暮らす人ほど、家事や行動が「億劫でない」傾向に
旭化成建材(株)快適空間研究所と(株)旭リサーチセンターハビトゥス研究所は、このたび、「第4回『住まいの温熱環境の実態と満足度』調査」の結果を発表した。同研究所が、平成28年から、住まいの温熱環境の実態とそれらに対する満足度、生活者の温熱環境に関する意識・行動の実態を調査しているもの。
4回目となる今回は、冬季の温熱環境と生活行動・暮らしの関係等について具体的に調査を実施。平成30年3月16~20日に、10地域25都道府県※1の持ち家一戸建て住宅に2人以上で住む20~60代の既婚男女を対象としてインターネット調査を実施し、1,229人の有効回答を得た。
※1 北海道、宮城県、首都圏(東京都、埼玉県、神奈川県、千葉県)、中京圏(岐阜県、静岡県、愛知県、三重県)、北陸(富山県、石川県、福井県)、阪神圏(京都府、大阪府、兵庫県、奈良県)、山陽・四国(岡山県、広島県、香川県、愛媛県)、福岡県、宮城県・鹿児島県、沖縄県
調査では、住まいの温熱性能別の比較をするために、窓ガラスの種類によって、「シングルガラス」は温熱性能「低」、「複層ガラス」は温熱性能「中」、「Low-E複層ガラス/トリプルガラス」は温熱性能「高」と分類し、解析を行った。その結果、「温熱性能が高い住まいに暮らす人ほど、ムリ・ムダのない合理的な生活をしている傾向がある」ことがわかったという。
冬季の家事行動について聞いたところ、「家の中が寒くて料理をするのが億劫に感じる」「家の中が寒くて掃除をするのが億劫に感じる」「家の中が寒くて洗濯をするのが億劫に感じる」それぞれで「当てはまる」「やや当てはまる」と回答した割合は、温熱性能が高くなるにつれて低くなり、温熱性能が高い住まいに暮らす人は、家事や行動が「億劫でない」傾向にあることがわかる結果となった(図1)。
他にも、冬季の入浴時行動や就寝中・起床時の行動から、入浴時と睡眠・起床時に「不快でない」傾向や、室内での「着衣と布団が少ない」傾向、「起床時すぐに暖房機器でリビングを暖める」「寝る前に暖房機器で部屋を暖めておく」といった寒さを解消するための「手間が少ない」傾向がわかったという。
また、冬季に部屋が寒くて使えない・使いたくない部屋やスペースがあるかを聞いたところ、「ある」の割合は、温熱性能「低」で35.7%、温熱性能「中」で30.9%、温熱性能「高」で27.4%と差が生じた。「居間・食堂のドア・戸を開けたまま、広い空間で生活している」では、「当てはまる」「やや当てはまる」との回答が、温熱性能「低」で24.9%、温熱性能「中」で41.2%、温熱性能「高」で49.6%となり、温熱性能が高い住まいに暮らす人は、空間利用の「無駄がない」傾向にあることがわかった。
これらの結果から、同研究所では、「優れた温熱空間の価値」として、温熱環境の満足度だけでなく「家事や行動、空間利用での5つの生活価値」があると指摘している。
【温熱性能の高い住まいにおける「5つの生活価値」】
温熱性能が高い住まいに暮らす人ほど、次のような傾向がある。
(1)家事や行動が「億劫でない」
(2)入浴時と睡眠・起床時に「不快でない」
(3)室内での「着衣・布団が少ない」
(4)寒さを解消するための「手間が少ない」
(5)空間利用の「無駄がない」
※旭化成建材(株)快適空間研究所・(株)旭リサーチセンターハビトゥス研究所 「第4回『住まいの温熱環境の実態と満足度』調査」
年間を通した家全体の温熱環境(暖かさ、涼しさ)に対する満足度(「たいへん満足」「やや満足」と回答した割合)を、従前の住まい形態別※2に見ると、従前の住まいが「一戸建て住宅」では81.3%、「マンション・アパート」では52.1%となり、約30ポイントの差が生じた。また、「住宅検討時に温熱性能について情報収集、勉強した度合い」別に見ると、「かなり調べた・調べた」では81.1%(図2)、「少し調べた」では62.7%、「あまり調べなかった・調べなかった」では38.4%となり、「従前の住まい形態」と「住宅検討時に温熱性能についてどれくらい調べたのか」が、住まいの温熱環境の満足度に影響することがわかった。
※2 現在の住まいが築10年以内の人に限定して分析
※旭化成建材(株)快適空間研究所・(株)旭リサーチセンターハビトゥス研究所 「第4回『住まいの温熱環境の実態と満足度』調査」