トップ>不動産トピックス>マンションの年収倍率、新築は全国平均7.81倍に、既存(中古)も5.30倍に拡大
(株)東京カンテイはこのたび、「新築・中古マンション価格の年収倍率 2018【改訂版】」を発表した。年収倍率とは、各都道府県で販売された新築マンションおよび築10年の既存(中古)マンションの70㎡換算価格を平均年収で除し、マンション価格が年収の何倍に相当するかを算出したもの。年収倍率が低いほど買いやすく、反対に数値が高いほど買いにくいことを示している。なお、年収は内閣府「県民経済計算」を基に予測値を使用した。
平成29年における新築マンションの年収倍率は、全国平均で7.81倍となり(表1)、前年(平成28年)の7.47倍から0.34拡大した。新築マンション価格(70㎡換算)は3,498万円で、前年の3,309万円より189万円上昇したが、平均年収※1は448万円で、前年の443万円より5万円しか上昇しなかったことから、同社では「平成23年以降続いていた拡大傾向は平成28年に一服していたが、全域的な価格上昇に伴ってマンション購入の経済的な負担が再び増す結果となった」と見ている。全国で最も年収倍率が高いのは東京都の13.26倍で、次いで神奈川県(11.16倍)、埼玉県(10.13倍)の順となった。最も低いのは山口県の5.87倍だった。
圏域別に見ると、首都圏では、マンション価格が5,580万円(前年5,511万円)に上昇し、年収倍率は11.01倍(同10.91倍)に拡大した。「神奈川県や埼玉県ではピークアウトの動きも見られるが、水準自体は依然として高く、買いにくさが本格的に改善されているとは言い難い状況」だという。 近畿圏では、マンション価格が3,922万円(同4,107万円)に下落し、平均年収が475万円(同471万円)に上昇したため、年収倍率は8.26倍(同8.72倍)に縮小した。「特に富裕層向け高額物件の供給が一巡した京都府では大幅に価格水準を下げている」という。 中部圏では、マンション価格が3,620万円(同3,284万円)に上昇し、年収倍率は7.96倍(同7.27倍)に拡大した。「全国平均を上回ったのは平成22年以来」で、「供給戸数が減少する中において、供給先を都市中心部やターミナル駅の至近エリアに絞り込む動きが強まっている」という。
※1 全国の平均年収は、新築分譲実績が確認されていない都道府県の年収を除外して算出
※(株)東京カンテイ 「新築・中古マンション価格の年収倍率 2018【改訂版】」
築10年の既存(中古)マンションの年収倍率は、全国平均で5.30倍となり(表2)、前年(5.16倍)から0.14拡大した。「三大都市圏や地方中枢4都市を有するエリアを中心に引き続き拡大する動きを見せている」という。全国で最も年収倍率が高かったのは東京都の10.46倍で、次いで沖縄県(8.09倍)、神奈川県(7.32倍)の順となった。最も低いのは、山口県の3.76倍だった。
圏域別に見ると、首都圏では、平均年収が507万円(前年505万円)に上昇したが、マンション価格も3,761万円(同3,681万円)に上昇したため、年収倍率は7.42倍(同7.29倍)に拡大した。「価格上昇の頭打ち感が強まりつつある東京都では年収倍率の拡大が鈍化し、神奈川県では横ばい」となる一方、「比較的買いやすい価格水準である埼玉県や千葉県では依然として拡大傾向を示している」という。 近畿圏でも、平均年収が475万円(同471万円)に、マンション価格が2,655万円(同2,589万円)に上昇し、年収倍率は5.59倍(同5.50倍)に拡大した。 中部圏でも、平均年収が455万円(同452万円)に、マンション価格が2,151万円(同2,073万円)に上昇し、年収倍率は4.73倍(同4.59倍)に拡大した。「顕著に価格高騰しているケースは見られず、全国平均に比べても年収水準に対してマンションが買いやすい状況は維持されている」という。
※(株)東京カンテイ 「新築・中古マンション価格の年収倍率 2018【改訂版】」