トップ>不動産トピックス>全国の空き家古民家は約21万軒、修繕・リフォーム市場は約1.8兆円と推計
(株)日本政策投資銀行はこのたび、「古民家の活用に伴う経済的価値創出がもたらす地域活性化」と題するレポートを発表した。昭和25年以前に建てられた木造(防火木造を除く)の住宅及び、防火木造の住宅の総数を「古民家」と定義し、古民家等を活用することで経済的価値の創出を図り、地域活性化に繋げていくために、自治体、不動産事業者、NPO等による地域の連携した取り組みについての提言を取りまとめたもの。古民家の修繕・リフォーム等の潜在的な市場規模と、外国人旅行者の古民家への宿泊が地域へもたらす経済効果についても考察している。ここでは、古民家の活用による試算を中心に紹介する。
「平成25年住宅・土地統計調査」(総務省)によると、全国の昭和25年以前に建てられた木造住宅、つまり古民家の数は、156万6,200軒。このうち空き家は、21万1,437軒と推定される。空き家古民家の修繕・リフォームなどに際しての潜在的な市場規模を試算したところ(図1)、リフォーム金額を838万5,000円※1と仮定すると、あくまでも概算だが「およそ1.8兆円の潜在的な金額規模が推計された」という。同レポートでは、「古民家の特徴として、地元に伝わる技術を持った大工が必要な点や木造建築であるため地元の木材を使いやすい点など人的資源や物的資源の調達次第では地域経済に大きな影響を与える存在となり得る」と分析している。
また、「古民家所有者が自ら住むのではなく、Iターンによる移住者向けや、レストラン等の商業拠点向けとして、古民家の賃貸を希望する人も少なくない」ことから、「古民家がブランド化され、リノベーションによる不動産に付加価値を付けて販売することで流通が促進され、保存・活用がされやすくなる」とも指摘している。
※(株)日本政策投資銀行 「古民家の活用に伴う経済的価値創出がもたらす地域活性化」より抜粋して作成
同レポートでは、古民家の観光への活用についても考察している。
同行が平成26年9月に実施した「『アジア8地域・訪日外国人旅行者』の意向調査(平成26年版」によると、行ってみたい日本の観光地イメージ(複数回答)は「日本的な街並み」(74%)が最も多く、次いで「温泉」(73%)、「富士山」(73%)、「桜」(73%)の順だった。平成26年の訪日外国人旅行者は1,341万3,600人※4、古民家などに泊まりたい外国人の割合は29.2%※5だったことから、訪日外国人旅行者における古民家などへの宿泊希望人数は391万6,771人、かつ、全員が古民家に宿泊するために必要な古民家数は7,390棟と推計される(図2)という。また、訪日外国人1人1泊当たりの旅行中支出額が9,700円※8であることから、同レポートでは、「日本国内での外国人による消費額は380億円程度と試算」している。
さらに、古民家を企業の会議やパーティスペースとして賃貸利用するなど、「今後は既存の建物の用途に縛られず、自由な発想での使い方が保存・活用に求められる」とも指摘している。
※(株)日本政策投資銀行 「古民家の活用に伴う経済的価値創出がもたらす地域活性化」より抜粋して作成