トップ>不動産トピックス>耐震診断依頼者の年齢は平均66.13歳、60代以上が約75%
日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(以下、木耐協)は3月5日、「耐震診断依頼者の年齢と住宅の築年数と耐震性」についての調査結果を発表した。平成22年7月~平成25年12月に木耐協で耐震診断を実施した人のうち、木耐協が住宅所有者の年齢を把握している3,702件について結果を分析したもの。
耐震診断依頼者の平均年齢は66.13歳。年齢分布を見ると、50歳未満が10.70%、50代が13.48%、60代が33.39%、70代が28.96%、80代以上が13.48%となり、依頼者の75.82%が60代以上で、50代以上は約9割を占めた。
耐震診断依頼者の年代と住宅の築年数の関係を見たところ、年代に対して築年数は比例することが分かった(図)。築年数の平均は32.80年だったが、80代以上の依頼者が住んでいる住宅では平均37.82年となり、全体平均より5年ほど経過している。また、年代に対して耐震性は反比例しており、80代以上の依頼者が住んでいる住宅の平均評点※0.45は、全体平均0.51より低い結果となった。木耐協では、「築年数が経過するほど(1)旧耐震基準で建てられた住宅が多くなる、(2)劣化による構造耐力の低減が生じやすい、といった要因により住宅の評点が低くなる傾向」があると見ている。
※1.5以上が「倒壊しない」、1.0~1.5未満が「一応倒壊しない」、0.7~1.0未満が「倒壊する可能性がある」、0.7未満が「倒壊する可能性が高い」
※日本木造住宅耐震補強事業者協同組合 「耐震診断依頼者の年齢と住宅の築年数と耐震性」より抜粋して作成
耐震診断を実施し木耐協が住宅所有者の年齢を把握している3,702件のうち、耐震補強工事の実施状況についてのアンケートに回答した1,109件について分析したところ、補強工事を実施した割合は28.67%となった(表)。年代別に見ても大きな違いは見られなかったが、住宅所有者の年齢が上がるほど住宅の耐震性が低下していることを考え合わせると、木耐協では「評点が下がっているにも関わらず、補強工事の実施率に年代による差がないということは、住宅の耐震性が低くても補強工事を実施しない、あるいはできない高齢者が多いということが推察される」と見ている。
さらに木耐協では、高齢者の住宅耐震化率を向上させるために、「高齢者向け返済特例制度(住宅金融支援機構・高齢者住宅財団)のような、マイホームを元手に耐震補強工事費用を用立てる制度の活用や、工事費用の工面が難しい高齢者世帯でも耐震補強工事が行いやすくなる補助制度等が有効であると考えられる」と指摘している。
※日本木造住宅耐震補強事業者協同組合 「耐震診断依頼者の年齢と住宅の築年数と耐震性」より抜粋