トップ>不動産トピックス>3,500万円未満かつ60.00㎡以上の新築マンション、首都圏でのシェアが19.4%に増加
(株)不動産経済研究所はこのたび、「一次取得者層向け住戸の供給実態調査 首都圏2011年」を発表した。「昨今購入の主力となっている団塊ジュニアやジュニアネクスト等の一次取得者層にとって、比較的買いやすい・手を出しやすい価格の住戸が実際にはどれほど供給されているか」を調査する目的で、首都圏マンションの平成23年1年間における「販売価格3,500万円未満」かつ「専有面積60.00㎡以上」の新築マンションの供給実態を調査したもの。調査対象は、平成23年に首都圏で供給された居住用民間分譲マンション(定期借地権マンション等は含まない)4万4,499戸。
調査は同研究所が、一次取得者層の年収を700万円、マンション価格を年収の5倍の3,500万円と想定し、さらに、ファミリータイプ住戸としての必要とされる最小専有面積を60.00㎡として、「今購入可能な住戸」の供給実態を調査したもの。平成23年に供給された該当する住戸は8,644戸(前年比5.4%増)で、シェアは19.4%(同1.0ポイント増)となった(図)。
同研究所によると、「ここ数年間マンション分譲価格は、素地価格の上昇に加えて、建築コストの大幅アップから上昇を続けて」おり、「コンパクトマンション(専有面積が30.00~59.99㎡の住戸)は増加傾向にあるものの、一次取得者層向けの住戸の供給は減少してきており、シェアも細る一方」だった。調査を開始した平成12年からの動向を見ると、平成13年の38.0%をピークに減少傾向となり、平成18年までの「大量供給時代には30%台のシェアを堅持」していたものの、平成21年には20%を割り込み19.5%、平成22年には18.4%となっていた。しかし平成23年は「都下、神奈川県、埼玉県の供給戸数が増加したのに伴い、一次取得者層向けの戸数も増加」し、「復調していると言えよう」と分析している。
※(株)不動産経済研究所 「一次取得者層向け住戸の供給実態調査 首都圏2011年」より抜粋して作成
エリア別に供給戸数を見てみると、都区部は711戸(前年比41.4%増)、都下は1,091戸(同7.0%増)、神奈川県は2,678戸(同26.0%増)、埼玉県は2,576戸(同25.2%増)、千葉県は1,588戸(同36.4%減)となり、千葉県以外では増加する結果となった。シェアは、都区部では3.7%(同1.2ポイント増)、都下では25.6%(同4.0ポイント減)、神奈川県では23.3%(同2.4ポイント増)、埼玉県では43.9%(同7.1ポイント増)、千葉県では45.9%(同4.9ポイント減)となり、同研究所は「埼玉県のシェアアップが目につく」としている。
各エリアにおける供給数トップの地区は、都区部では足立区(348戸)、都下では小平市(378戸)、神奈川県では横須賀市(342戸)、埼玉県では戸田市(346戸)、千葉県では千葉市美浜区(438戸)となった(表)。都区部では「上位3区(足立区・葛飾区・板橋区)で23区全体の81.7%を、トップの足立区のみで48.9%を占める寡占ぶりは鮮明であり、一次取得者層物件は城東エリアに集中している」という。
なお、今後について同研究所では、「低年収層の購入者が増加することが見込まれることから、立地の郊外化が進み、『一次取得者層向けマンション』の供給戸数およびシェアとも増加傾向に向かうことになろう」と見ている。
※(株)不動産経済研究所 「一次取得者層向け住戸の供給実態調査 首都圏2011年」より抜粋して作成