トップ>不動産トピックス>マンションPBR(資産倍率)、首都圏1位は東京メトロ銀座線の外苑前駅
(株)東京カンテイはこのたび、首都圏(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)、近畿圏(滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)、中部圏(岐阜県、静岡県、愛知県、三重県)の「2012年マンションPBRランキング」を発表した。
「マンションPBR(資産倍率)」とは、一定期間内に分譲されたマンションの資産価値が、新築分譲時の何倍になっているかを示した値のこと。マンションPBRが1を上回れば、新築分譲時よりも価格が上昇していることになり、「新築分譲時の価格が相対的に割安であったという結果指標」となる。今回の調査では、三大都市圏の駅ごとに、平成14~23年の10年間に分譲された新築マンションの平均価格(70㎡換算)を、対象となった新築マンションから発生した中古流通事例の平均価格(70㎡換算)で除して、マンションPBRを算出している。
首都圏におけるマンションPBRの平均は0.93。平成14~23年に分譲された新築マンション平均価格の93%の価格水準を維持していることになる。
駅別に見ると、マンションPBRが1以上となる、つまり新築分譲時の平均価格を上回る駅が都心部を中心に多く見られ、最もマンションPBRが高かった駅は、東京メトロ銀座線の外苑前駅(PBR1.46)だった(表)。新築マンションの10年間の平均価格が8,703万円であるのに対し、中古マンションの10年間の平均価格は1億2,777万円と、大幅に上回った結果だ。2位は東京メトロ有楽町線の銀座一丁目駅(1.40)、3位は東京メトロ銀座線の三越前駅(1.35)となった。ランキング上位の駅について同社では、「いずれも都心に位置し、事業集積性および人口集積性が高く、マンションの“利用価値”も相応に高いため、マンションPBRが良好な水準に保たれる典型」と見ている。
一方、マンションPBRが最も低かった駅は、千葉都市モノレール2号線の作草部駅(PBR0.54、新築価格2,437万円、中古価格1,316円)。次いで、JR高崎線の吹上駅(同0.59、2,369万円、1,419万円)、京成本線の勝田台駅(同0.64、3,046万円、1,957万円)の順となり、同社では「郊外に位置する駅が多く、資産価値を重視するのであれば出口戦略が立てにくいエリアにある駅が並んでいる」と見ている。マンションPBRが低い駅の中には、東京メトロ銀座線の赤坂見附駅(同0.70、1億934万円、7,748万円)や、京王井の頭線の西永福駅(同0.71、7,632万円、5,441万円)など、都心やその周辺の駅も入っており、同社は「これらの駅は結果的にエリアのポテンシャル以上の価格でマンションが分譲されていたことになる」としている。
※(株)東京カンテイ 「2012年マンションPBRランキング」より抜粋
近畿圏におけるマンションPBRの平均は0.91で、首都圏をやや下回った。
マンションPBRが最も高かった駅は、京阪鴨東線の神宮丸太町駅(1.28)と、京都市営地下鉄東西線の京都市役所前駅(1.28)で、ランキングでは、京都市・大阪市の中心部に位置する駅が「上位の大半を占める」結果となった。一方、マンションPBRが最も低かった駅は、京阪京津線の追分駅(PBR0.51、新築価格2,513万円、中古価格1,280万円)。次いで、山陽電鉄本線の人丸前駅(同0.58、2,412万円、1,413万円)、神戸市営地下鉄西神山手線の妙法寺駅(同0.62、2,585万円、1,627万円)が続く。同社はPBRが低い駅について、「郊外に位置する駅が多く、交通利便性と資産性との相関性が高いことが明らか」としている。
中部圏におけるマンションPBRの平均は0.87で、同社は「駅ごとのマンションPBRの差が小さく、資産性が突出して良好な駅が少ない替わりに極端に劣る駅も少ないという資産価値が安定したマーケットという特徴が見られる」と分析している。
マンションPBRが最も高かった駅は、JR東海道本線の名古屋駅(1.38)で、上位には「名城線とその内側エリアの駅を中心に、居住環境と利便性のバランスの良い駅」が並ぶ結果となった。マンションPBRが最も低かったのは、名鉄名古屋本線の今伊勢駅(同0.50、1,785万円、898万円)で、次いで、近鉄名古屋線の川越富洲原駅(同0.66、1,949万円、1,299万円)、名鉄名古屋本線の名鉄岐阜駅(同0.68、2,304万円、1,587万円)の順。同社では、「名古屋市郊外に位置する駅が多く、交通利便性と資産性との相関性は高い」と見ている。