トップ>不動産トピックス>木造住宅の耐震性能、約85%が基準満たさず
日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(以下、木耐協)は8月27日、「既存住宅の長寿命化に関する調査データ」を発表した。木造既存住宅の耐震診断結果や、アンケートによるメンテナンス及びリフォームへの意識調査などの結果を分析し、まとめたもの。今回と次回(9月30日更新)の2回に分けて、この調査結果の主なポイントについて紹介する。今回は、その中から耐震に関する調査結果について紹介したい。
平成18年4月1日から平成21年6月30日まで、3年3ヶ月にわたって木耐協が実施した耐震診断12,332件の耐震診断結果によると、木造一戸建て住宅の84.73%が耐震基準を満たしていないことが分かった(下図)。
診断の対象としたのは、昭和25年~平成12年5月までに着工された木造2階建て以下の建物。その中でも、上部構造評点0.7未満の「倒壊する可能性が高い」と診断されたのは7,346件で全体の59.57%を占める。木耐協では「既存住宅の耐震性の確保は速やかに取り組むべき課題」と指摘している。
図:耐震診断結果
※日本木造住宅耐震補強事業者協同組合 「既存住宅の長寿命化に関する調査データ」より抜粋して作成
耐震診断を実施した12,332件のうち、結果の詳細が判明している案件について建物が持つ強さを建築年度別の平均値で見ると、特に平成5年度以降に数値が急上昇している。これは「木造住宅の性能向上が見直された結果が表れており、建築基準法の改正(昭和56年6月)によらず、近年木造住宅の耐震性能が急上昇していることがわかる」と木耐協は分析している。
また、木耐協は既存住宅の性能を向上させ住宅の長寿命化を推進するためには、「住宅への投資(性能向上リフォーム)を市場が正しく評価する仕組みが必要」とも分析している。