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平成28年版土地白書の公表について 「平成27年度土地に関する動向」及び「平成28年度土地に関する基本的施策」を公表

2016年9月14日

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国土交通省 土地・建設産業局 企画課
 

本年5月に「平成28年版土地白書」が閣議決定されましたので、今回はその内容についてご紹介します。

土地白書とは?

土地白書は、土地基本法(平成元年法律第84号)の規定に基づき、土地に関する動向等について、毎年国会に報告しているものです。

本白書は、「平成27年度土地に関する動向」と「平成28年度土地に関する基本的施策」の2つに分かれております。

「平成27年度土地に関する動向」では、地価が上昇基調で推移していることや、住宅・オフィス市場が堅調であること等について報告しております。加えて、東日本大震災から5年が経過した被災地における土地利用の現状を取り上げるとともに、空き家の増加等の社会状況の変化に対応した既存ストックの有効活用や不動産情報の多様化に向けた取り組み等について報告しております。また、平成27年度に政府が土地に関して講じた施策について記述しております。「平成28年度土地に関する基本的施策」では、平成28年度に政府が土地に関して講じようとする基本的施策について記述しております。

今回は「平成27年度土地に関する動向」の第1部「土地に関する動向」を中心にご紹介します。

第1部第1章 平成27年度の地価・土地取引等の動向の概要

平成27年度の我が国経済は、雇用・所得環境が改善し、原油価格の低下等により交易条件が改善する中で、緩やかな回復基調が続きました。

平成28年地価公示の結果についてみると、全国の平均変動率は、住宅地は下落したものの下落率は縮小し、商業地は横ばい(0.0%)から上昇(0.9%)に転じ、全用途では平成20年以来、8年ぶりに上昇に転じました。三大都市圏の平均変動率で見ると、住宅地はほぼ前年並みの小幅な上昇となっており、商業地は3年間連続して上昇基調にあります。地方圏の平均変動率では、住宅地・商業地ともに下落が続いているものの下落幅は縮小しており、札幌市・仙台市・広島市・福岡市の4市平均で見ると、住宅地・商業地ともに三大都市圏を上回る上昇を示しています。

図表(1) 地価変動率の推移(年間)
図表(1) 地価変動率の推移(年間)

土地取引について、売買による所有権の移転登記の件数でその動向をみると、法務省「法務登記月報」によれば、平成27年の全国の土地取引件数は128.7万件となり、前年比2.4%増となりました。四半期ごとの推移を前年同期比でみると、いずれの圏域でも通期でプラスとなっています。

図表(2) 売買による土地取引件数の推移
図表(2) 売買による土地取引件数の推移

平成27年の新設住宅着工戸数については、約90.9万戸と上昇に転じました。これは、前年と比較すると1.9%増、消費税率引き上げ前の駆け込み需要の影響が大きかった前々年と比較すると7.2%減となっています。平成27年の新規マンション発売戸数については、全国で約7.8万戸(前年比6.1%減)となっています。

図表(3) 利用関係別新設住宅着工戸数の推移
図表(3) 利用関係別新設住宅着工戸数の推移

近年、需要の高まりが見られる施設として宿泊施設の動向をみると、訪日外国人旅行者数の増加等を受け、平成27年の宿泊施設の建築着工面積は、前年比 25.1%増となる92.9 万㎡となっています。また、平成27年はJリートによる物件取得が相次いだこと等から、既存ホテル等の売買件数は196件と、前年の2倍以上となり、平成17年以降で最大となっています。

図表(4) 宿泊施設の建築着工面積
図表(4) 宿泊施設の建築着工面積

図表(5) 既存ホテルの売買件数の推移
図表(5) 既存ホテルの売買件数の推移

この他、各種統計データを用いて経済指標や地価・土地取引等の動向を紹介し、本章では平成26年度の不動産市場の動向を総括しています。

第1部第2章 東日本大震災の発生から5年が経過した被災地における土地利用の現状

平成23年3月11日に発生した東日本大震災から5年が経過し、東北地方を中心とした被災地では、復旧・復興が進みつつあります。そこで、本章では、東日本大震災の被災地における土地利用の現状について取り上げ、復旧・復興に向けた取り組みとこれによる土地利用の変化、各取り組みに見られる土地利用上の様々な工夫等を紹介しています。

例えば、自治体や地域住民、民間企業等が連携することにより土地利用が推進された例として、岩手県釜石市上中島地区における復興公営住宅の整備を取り上げています。これは、官民連携の事業手法として民間企業が建設した建物を市が買い取る「民設市買取型スキーム」を用いたものであり、企画・設計から工事監理等の全ての建設工程を民間企業が担うことで、民間のノウハウを活かしたプランニングの改善、建築コストの削減を行うとともに、震災により人手不足となっていた行政の負担を軽減し、早期かつ低コストでの復興公営住宅整備を実現したものです。その他にも、災害危険度を踏まえた土地利用を行っている例として、宮城県石巻市中央地区における災害対応型マンションの整備を取り上げています。これは、東日本大震災で津波の浸水を受けた既存の中心市街地において、低層部に商業施設を整備しながら、地上約6mの高さに人工地盤を設け、その上に分譲集合住宅等を整備しているもので、津波浸水域内にある既存の中心市街地の活性化に寄与するとともに、災害時には周辺住民の一時避難場所としての活用も期待されるものです。

図表(6) 本章で取り上げている復旧・復興に向けた取り組み
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図表(6) 本章で取り上げている復旧・復興に向けた取り組み

図表(7) 民設市買取型スキームによる復興公営住宅の整備(釜石市)
図表(7) 民設市買取型スキームによる復興公営住宅の整備(釜石市)

図表(8) 人工地盤上の災害対応型マンション(石巻市)
図表(8) 人工地盤上の災害対応型マンション(石巻市)

このように、東日本大震災からの復旧・復興に向けた取り組みによる土地利用の変化と各取り組みに見られる土地利用上の様々な工夫について紹介しているほか、本章では、東日本大震災が不動産市場及び土地利用に与えた影響や東日本大震災が国民の不動産に関する意識に与えた影響についても分析しています。

第1部第3章 社会変化に対応した既存ストックの有効活用と不動産情報の多様化

空き家の増加、住まい選びにおける消費者意識の高まり、産業界におけるIT利活用の進展等、不動産を巡る社会の状況は大きく変化しつつあります。そこで、本章ではこうした変化を概観しつつ、不動産分野における対応について、その動向を紹介しています。
例えば、空き家・空き地の増加については、「既存ストックを重視する社会への対応」として、空き家・空き地の管理代行や活用提案、空き家バンクの普及、空き公共施設を活用した企業誘致の取り組み等を取り上げ、既存ストックの有効活用が展開されつつあることを紹介しています。また、住まい選びにおける消費者意識の高まりや災害の激甚化等については、「多様な不動産情報が流通する社会への対応」として、不動産取引価格情報・指数の提供や不動産取引時にハザードマップ等の災害リスク情報を提供する試み等を取り上げ、多様な不動産情報の流通に向けた取り組みが展開されつつあることを紹介しています。

図表(9) 空き家管理代行サービスの様子(NPO法人・埼玉県所沢市)
図表(9) 空き家管理代行サービスの様子(NPO法人(埼玉県所沢市)

図表(10) 農業生産法人による空き公共施設の活用(千葉県南房総市)
図表(10) 農業生産法人による空き公共施設の活用(千葉県南房総市)

図表(11) 不動産取引時の災害リスク情報の提供(広島宅地建物取引業協会・広島県)
図表(11) 不動産取引時の災害リスク情報の提供(広島宅地建物取引業協会・広島県)

このほか、本章では、ここ数年の特徴的な動向である「先端技術を用いた不動産情報化(Real Estate Tech)」の動向についても紹介しています。

土地白書本文の公開について

今回は、土地に関する動向について概要を紹介しましたが、白書本文では各種統計データを用いたより詳細な分析と、政府の土地に関する基本的施策を記載しています。土地に関する動向や施策について理解を深める際の参考としていただければと思います。

国土交通省土地総合情報ライブラリー「平成28年版土地白書」
(書店等を通じてお買い求めいただくことも可能です。) 

※執筆の内容は、2016年8月末時点によるものです。

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