トップ>国土交通省・最新の動き>VOL.76 「ITを活用した重要事項説明」について
2015年3月11日
宅地建物の取引は、権利関係や取引条件が極めて複雑になることが一般的であり、それらを十分に調査、確認しないで契約を締結すると、当初予定していた利用ができなかったり、契約条件を知らなかったことによる不測の損害を被ることとなります。
そこで、宅地建物取引業法では、購入者等が宅地建物に係る権利関係や取引条件等について十分理解して契約を締結できるようにし、取引に係る紛争を未然に防止するため、宅地建物取引業者に重要事項の説明義務を課しているところです。この重要事項説明については、現在対面で行うこととされていますが、これまで対面以外の方法により実施することについて検討を行って参りましたので、今回はその経緯と検討の結果実施されることとなった社会実験についてご紹介します。
平成25年にIT利活用の裾野拡大等の観点から「IT利活用の裾野拡大のための規制制度改革集中アクションプラン(平成25年12月20日IT総合戦略本部決定)」が策定され、その中で、インターネット等を利用した、対面以外の方法による重要事項説明について、具体的な手法や課題への対応策に関する検討を行うこととされました。
そこで、国土交通省においては、平成26年4月に「ITを活用した重要事項説明等のあり方に係る検討会」を立ち上げ、6回にわたって検討を行って参りました。その結果として、平成27年1月に公表された最終とりまとめにおいては、重要事項説明は、不動産取引におけるトラブル原因の多くを占めており、一般的に慎重な対応が求められる取引過程と考えられることから、今までは対面でのみ行われてきたという状況にも鑑み、ITを活用した重要事項説明については、まずはその効果や課題を実際の取引の中で検証する「社会実験」を行うことで意見の集約がなされました。
ITを活用した重要事項説明について今後実施される社会実験については以下のものを予定しております。
○社会実験の対象
社会実験の対象とする取引は賃貸取引と法人間取引とし、当該取引において、テレビ会議等を利用した重要事項説明についての社会実験を行います。
○社会実験のスケジュール
社会実験を行う期間は、最終とりまとめ以後、最大2年間(6ヶ月程度の準備期間を含む)となります。
○社会実験の具体的な実施方法、手順
事業者の社会実験への参加は登録制とし、登録した事業者は、ITを活用した重要事項説明を行った場合に、その内容の録画・録音、事後の消費者アンケート、国への報告等を行っていただくことになります。最終とりまとめで示された社会実験における登録事業者の責務は以下のとおりです。
※宅地建物取引業法の改正により、平成27年4月1日から「宅地建物取引主任者」の名称は「宅地建物取引士」へ改称されます。宅地建物取引主任者証から宅地建物取引士証への切り替え前の場合は、宅地建物取引主任者証が提示される場合があります。
【重要事項説明後の責務】現在、国土交通省において、社会実験の詳細を検討しており、今後ガイドラインといった形で提示する予定です。
※執筆の内容は、2015年2月末時点によるものです。