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平成26年版土地白書の公表について「平成25年度土地に関する動向」及び「平成26年度土地に関する基本的施策」を公表

2014年7月9日

Report
国土交通省 土地・建設産業局 不動産業課
 

平成26年6月10日、平成26年版土地白書が閣議決定され、国会に報告されましたので、関係資料を公表しています。今回はその内容についてご紹介します。

土地白書とは

土地白書は土地基本法(平成元年法律第84号)第10条第1項及び第2項の規定に基づき、土地に関する動向及び政府が土地に関して講じた基本的な施策並びに土地に関して講じようとする基本的な施策について、毎年国会に報告しているものです。

土地白書の概要

本白書は、「平成25年度土地に関する動向」と「平成26年度土地に関する基本的施策」の2つに分かれています。
「平成25年度土地に関する動向」では、平成25年度の地価・土地取引等の動向について報告しているほか、最近の地価動向を分析するとともに、空き地等の有効利用により地域価値の向上に結びつけている取り組みについて紹介しています。加えて、平成25年度に政府が土地に関して講じた施策についても報告しています。
また、「平成26年度土地に関する基本的施策」では、平成26年度に政府が土地に関して講じようとする基本的施策について記述しています。
今回は「平成25年度土地に関する動向」の第1部「土地に関する動向」を中心にご紹介します。

平成25年度の地価・土地取引等の動向(第1章)

平成25年度の我が国経済は、「大胆な金融政策」、「機動的な財政政策」、「民間投資を喚起する成長戦略」の「三本の矢」による一体的な取り組みの政策効果もあって、家計や企業のマインドが改善し、消費等の内需を中心として景気回復の動きが広がってきたところであり、平成26年地価公示の結果においても、全国平均では、住宅地、商業地ともに下落したものの、下落率は大きく縮小し、全調査地点数に占める上昇地点数の割合が全国的に大幅に増加するなど、回復傾向が見え始めたところです。本章では、各種統計データを用いて地価や土地取引等の動向を紹介し、平成25年度の不動産市場の動向を総括しています。

図表 地価変動率の推移(年間)

資産デフレから脱却しつつある不動産市場の変化(第2章)

本章では、最近の地価回復基調の中での特徴的な動向を分析するとともに、不動産市場の動向についての考察として、不動産投資市場について、特にJリート市場の動向や海外投資家の動向、企業の設備投資の動向、家計の住宅投資の動向について分析しています。

平成26 年地価公示を見ると、三大都市圏、地方圏とも回復基調にありますが、三大都市圏では中心部から周辺部へと地価上昇の動きが拡大した一方、地方圏では、限られた地域での上昇にとどまっており、下落が続いている地域もまだ多い状態です。また、上昇した地点を中心に動きを見ると、最近の地価の動向が、土地の収益性や利便性を重視した実需による変動となっていることが分かります。
我が国の地価は、バブル崩壊以後、長期的に下落傾向が続いてきましたが、今後、我が国経済の持続的な成長に伴い、資産デフレから脱却し、地価の回復の動きが地方圏も含めて全国的に持続的に広がることで、それがマクロ経済にも影響を及ぼし、デフレ脱却を確実なものとすることが期待されます。このため、今後とも土地の流動化・有効利用の促進を図りつつ、地価等の動向については、地価公示や不動産価格指数等により、よく注視していく必要があります。
また、最近の国民の意識の変化や最近の企業投資の動向等を踏まえると、今後、収益性、利便性を重視した土地需要の傾向が更に強まっていくと考えられることから、各地域において、不動産の実質的な価値の向上を図り、土地の収益性や利便性を向上させるための取り組みを講じていくことが重要だとされています。

図表 東京圏の市区町村別地価動向
図表 九州北部の市区町村別地価動向

低・未利用地の有効利用による地域価値の向上(第3章)

本章では、人口減少・少子高齢化、産業構造の変化等の経済社会構造の変化を概観するとともに、低・未利用地の増加の状況及びこれに対する国民の意識について分析しています。また、低・未利用の公有地や空き地・空き家等を有効利用し、不動産価値や地域価値の向上に成果を挙げている各地域の取り組み(岩手県紫波町「オガールプラザ」、長野県長野市「ぱてぃお大門蔵楽庭(くらにわ) 」等)を取り上げ、成果を挙げている要因等について分析しています。

今後、我が国では、人口減少など経済社会構造が大きく変化することが見込まれ、これに伴い、土地に対する需要や土地利用が変化する中で低・未利用地が増加していくことが予想されます。こうした低・未利用地を有効利用し、地域価値の向上に結びつけていくことは、今後の重要な課題となっています。
本章で取り上げた成果を挙げている取り組みに共通しているのは、官民連携の仕組みが、適切な役割分担のもと、効果的に機能している点です。今後、各地で、低・未利用地の有効利用による地域価値の向上の取り組みを一層推進していくためには、民間の活力を十分に活用し得る土台づくりが重要と考えられます。具体的には、組織・資金面での官民連携手法の整備、取り組みを牽引する地域人材の育成や外部人材の活用に関する施策の充実、誰もが容易に把握できる形での土地や不動産情報の整備等が求められます。

土地白書本文の公開について

今回は、土地に関する動向について、概要を紹介しましたが、土地白書本文においては、各種統計データを用いたより詳細な分析と政府における土地に関する基本的施策を記載しております。消費者の皆様におかれましても、内容をご覧いただき、土地に関する動向、土地に関する施策についてのご理解を深める参考にしていただきたいと思います。

 国土交通省「平成25年度土地に関する動向」及び「平成26年度土地に関する基本的施策」(土地白書)について

※執筆の内容は、2014年6月末時点によるものです。

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