トップ>国土交通省・最新の動き>VOL.57 「既存住宅インスペクション・ガイドライン」について
2013年8月14日
国土交通省では、「中古住宅・リフォームトータルプラン」(平成24年3月取りまとめ)※に基づいて、消費者が中古住宅の取引時点の物件の状態・品質を把握できるようにするため、第三者が客観的に住宅の検査・調査を行うインスペクションにつき、検査・調査を行う者の技術的能力の確保や検査・調査の項目・方法等のあり方について検討を行い、今般「既存住宅インスペクション・ガイドライン」を取りまとめました。
今回は、「既存住宅インスペクション・ガイドライン」について説明します。
※「中古住宅・リフォームトータルプラン」については当サイトVol.43を参照
中古住宅は、新築時の品質や性能の違いに加えて、その後の維持管理や経年劣化の状況により物件ごとの品質等に差があることから、消費者は、その品質や性能に不安を感じているといわれています。このような中、中古住宅の売買時点の物件の状態を把握できるインスペクションサービスへのニーズが高まっています。
出典:インスペクションに関する消費者アンケート調査結果(平成24年度)
(既存住宅インスペクション・ガイドライン検討会のために日経BP社において行ったもの)
一方で、現在民間事業者により実施されている「インスペクション」といわれるサービスは、中古住宅の売買時検査のみならず、新築入居時の検査やリフォーム実施時に行うものなど様々です。また、目視等を中心として住宅の現況を把握するために行われる現況検査は、最も基礎的なインスペクションですが、現場で検査等を行う者の技術力や検査基準等は事業者ごとに様々な状況にあります。
このため、本ガイドラインにおいては、中古住宅売買時の利用を前提とした目視等を中心とする基礎的なインスペクションである既存住宅の現況検査について、検査方法やサービス提供に際しての留意事項等について指針を示すこととし、これにより、事業者による適正な業務実施を通じて、既存住宅インスペクションに対する消費者等の信頼の確保と円滑な普及を図ることを目的としました。
以上のような考えに基づき、既存住宅現況検査業務の適正な実施を図るため、検査事業者が業務実施に際して共通して取り組むことが望ましいと考えられる事項を以下の項目に沿って示しました。
今回策定したガイドラインは、中古住宅売買時に行われるインスペクションに関して、共通認識の形成及びその普及を図ろうとするものであり、最近の取組事例等も考慮の上、既存住宅インスペクションの適正な業務実施、トラブルの未然防止の観点から、あくまでも現時点において妥当と考えられる一般的な基準等をとりまとめています。
ガイドラインは、業務の実施内容として必要十分なものを示すものではなく、適正な業務の実施となるよう、共通して実施することが望ましいと考えられる最小限の内容を示そうとするものです。したがって、提供されるサービスの内容等がガイドラインにより拘束的なものとなることは本意ではなく、事業者によって、より質の高いサービスが提供されることを期待しています。
不動産の購入に当たっては、インスペクションを活用して、住宅の売買時点の状況を把握していただくこと、また不動産の売却に当たっては、インスペクションによる検査に積極的に協力いただき、情報開示を行っていただくことが、安心安全な住宅取引を実現するために重要になります。消費者の皆様におかれましては、まずインスペクションとして提供されているサービスの内容を知っていただき、インスペクションの活用をご検討いただきたいと思います。
「既存住宅インスペクション・ガイドライン」担当(問合せ先)
国土交通省住宅局住宅生産課 村上、奥村
TEL:(03)5253-8111 (内線39454、39432)
※執筆の内容は、2013年7月末時点によるものです。