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「ヘルスケア施設供給促進のための不動産証券化手法の活用及び安定利用の確保に関する検討委員会」取りまとめについて ・ヘルスケアリートの設立啓発に向けた環境整備について取りまとめを公表

2013年6月12日

Report
国土交通省 土地・建設産業局 不動産業課
 

国土交通省では、シニア向け住宅等のヘルスケア施設の供給促進に資するヘルスケアリートの活用について、その課題や今後の環境整備の方向性について検討するため、不動産、金融、医療、介護等の関係者を委員として「ヘルスケア施設供給促進のための不動産証券化手法の活用及び安定利用の確保に関する検討委員会」を平成24年10月より4回にわたり開催してきました。本検討委員会での検討結果をもとに、平成25年3月取りまとめを公表しましたので、紹介します。
本検討委員会設置の趣旨等については、当サイトVol.48を参照

取りまとめの概要

ヘルスケア施設の供給・改修を促進するための新たな資金調達手法として、ヘルスケアリートを活用する場合には、従来型のヘルスケア施設運営においては存在しなかった、投資家などの新たな関係者が登場します。このため、本検討委員会では、これらがヘルスケア施設の運営者や利用者に対して不利益を与えないかを慎重に検討することや、ヘルスケアリートの介在が利用者の利便性や提供されるサービスの低下を招くことのないような仕組みや工夫を検討することが、必要とされました。

そこで、関係者を大きく利用者(サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホームの入居者や病院入院患者などヘルスケア施設の利用者)、オペレータ(ヘルスケア施設の賃借人である介護・医療事業者)、投資家(リートを組成・運用する主体である資産運用会社やリートに資金を提供する投資家)の3つに分けて、それぞれの視点からヘルスケアリート設立におけるメリットと課題が整理されました。

図: ヘルスケアリートのスキーム
図: ヘルスケアリートのスキーム

そして、ヘルスケアリートの創設に向けた環境整備の対応の方向性として、以下の4つが取りまとめられました。

(1)普及啓発の実施
(2)ヘルスケアリートが留意すべき事項
  ○オペレータのモニタリング体制の充実
  ○賃貸借契約における合理的な条件設定
  ○リートによる適切なデューデリジェンスと内外への情報開示の実施
(3)オペレータの外部評価の充実
(4)ヘルスケア施設を核とした地域活性化

利用者の懸念

ヘルスケアリートについては、いまだ一般に認知されていないこともあり、ヘルスケアリート施設の利用者においては、「ヘルスケアリートが施設を売却した時にオペレータの変更もありえることから、契約・サービス内容が変わるのではないか」「投資家の求めに応じ、ヘルスケアリートがオペレータの支払う賃料の値上げを決定した場合、その結果として利用者が支払う賃料や利用料が急に引き上げられたりサービス低下が起こったりするのではないか」等の不安や懸念が存在するという認識が、本検討委員会で共有されました。

しかし、この中には必ずしも、ヘルスケアリート固有の課題ではないものも含まれています。また、リートは施設を長期にわたり、安定的かつ適切に維持管理しながら保有するものであり、またヘルスケアリートはヘルスケア施設に投資するという投資方針に基づいて運営がなされるため、施設転用の可能性は小さいという面があります。加えて、ヘルスケアリートがオペレータの事業運営のモニタリングの充実に努めることや、賃貸借契約を解除・解約し、オペレータを交代させることができる要件を明確化したり、交代手続きを事前に確認しておくこと等により、当該物件の長期事業継続の蓋然性が高まり、利用者の安定利用の確保に資すると考えられています。

今後について

今後、ヘルスケア施設が、リート市場における投資対象としてメジャーなものになるには、まだまだ時間はかかるものと思われますが、本検討委員会には傍聴者や報道関係者なども含めて毎回100人以上が集まる等関係者の関心は非常に高く、ヘルスケア施設に関する証券化やヘルスケアリート創設の機運が高まっています。
本検討委員会の開催及び取りまとめが、普段不動産の証券化になじみのない方々の不動産証券化への理解の一助になるとともに、ヘルスケアリートの発展、そして、ヘルスケア施設の安定供給の促進につながることを期待しています。

※執筆の内容は、2013年5月末時点によるものです。

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