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不動産価格指数(住宅)の公表について・全国・ブロック別・都市圏別に毎月の不動産価格を指数化

2012年9月12日

Report
国土交通省 土地・建設産業局 不動産業課
 

平成24年8月29日より、年間約30万件の住宅・マンション等の取引価格情報をもとに、全国・ブロック別・都市圏別に毎月の不動産価格を指数化した「不動産価格指数(住宅)」の試験運用を開始しました。

不動産価格指数作成の経緯

(1)背景
2007年の米国のサブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題に端を発した世界各国での金融市場の混乱は、2008年のリーマン・ブラザーズの破綻により世界的な金融危機へと発展し、さらに実態経済にも危機が拡大しました。また、ヨーロッパではイギリスやスペイン等で2000年代後半以降不動産バブルが崩壊しており、現在のヨーロッパの経済危機の一つの要因となっています。

現在の金融・経済危機は、不動産バブルの問題により危機が表面化して各国へ波及しましたが、これは、不動産価格の変動に関する情報が不十分で、既存の物価指数では不動産の価格変動を適切に把握できなかったことが危機を拡大させた要因の一つと考えられています。このため、不動産価格の動向を、国際共通指針のもとで迅速かつ的確に把握する必要性の認識が各国において共有され、2009年には、国際通貨基金(IMF)等からG20諸国(主要国首脳会議に参加する8カ国、欧州連合、新興経済国11カ国の計20の国と地域)に対して、不動産価格指数(住宅)を公表することの勧告が出されました。

(2)国際的な動向
このことから、IMFやEurostat(欧州委員会統計局)を中心とする多数の国際機関や日本を含む各国の有識者が協力して、2011年5月に不動産価格指数(住宅)の作成に関する国際指針(Residential Property Price Indices Handbook)が作成されました。G20諸国は、この国際指針に従って指数の整備を進めており、主要先進国等は2012年までに運用を開始することを予定しています。

(3)我が国の動向
我が国においても、不動産価格指数(住宅)の整備に向け、国土交通省主導のもと、平成22年度及び23年度に「不動産価格の動向指標の整備に関する研究会」を開催し、有識者や日本銀行、金融庁、内閣府、総務省、法務省等が参加し、国際指針に基づく我が国の不動産価格指数(住宅)の開発に向けて検討を進めてきました。
この結果開発された不動産価格指数(住宅)について、平成24年8月29日に試験運用を開始したところです。

発表内容及び活用方法

今回発表する不動産価格指数(住宅)は、更地・建物付土地及びマンション価格の月次の変動を指数化し、全国・ブロック別・都市圏別に毎月公表するものです。価格のデータについては、国土交通省が不動産の買い主に対しアンケートを行い、個人情報を秘匿した上で年間約30万件を提供している不動産取引価格情報をもとにしております。

本指数は国際指針に基づいて作成しておりますので、経済に大きな影響を及ぼす不動産市場の動向をタイムリーに国際比較することが可能となり、マクロ経済政策・金融政策等に活用されることが期待されるほか、不動産市場の透明性の向上、ひいては国内及び海外からの不動産投資の活性化にも資するものと期待されます。
また、ブロック別・都市圏別の不動産価格の変動がわかりますので、国民の皆さまにとっても住宅やマンションを購入される際に参考にしていただけるものと思います。

不動産価格の指標に関しては、別途東京証券取引所が、平成23年4月26日から、首都圏の既存マンション(中古マンション)の価格水準の動向を表した「東証住宅価格指数」の算出・公表を試験的に開始しております。こちらは、指定流通機構(レインズ)に登録された成約価格情報を活用して、住宅価格指数を策定しております。(詳しくは、当「国土交通省・最新の動き」Vol.30を参照ください。)

国土交通省では、今後も我が国の不動産投資・流通市場の活性化に向けて、国民の皆さまの不動産価格動向把握に資する有用な情報を、広く提供していきます。

【不動産価格指数(住宅)「速報」の概要】
名称
(対象用途)
住宅総合
 ・更地・建物付土地(地目が「宅地」である更地及び建物付土地)
 ・マンション(区分所有建物)
対象地域 ・全国
・ブロック別(北海道、東北、関東、北陸、中部、近畿、中国、四国、九州・沖縄の計9ブロック)
・都市圏別(南関東、名古屋、京阪神)
算出期間 2008年4月より
基準時点 2008年4月より2009年3月までの算術平均値を100として基準化
算出頻度 月次
推計方法 ヘドニック法(時間ダミー変数法)
利用する情報 不動産取引価格情報(アンケート調査による情報)
取引月から公表までの期間 約5ヶ月
公表頻度 毎月
※早い段階で利用可能な情報のみを用いて作成した「速報」と、現地調査による詳細な情報を加えて作成した「確報」(住宅総合、更地、建物付土地、マンションの4系列:取引の約1年後に発表)を公表する予定です。

【例1:種類別(全国)2008年度平均=100】
【例1:種類別(全国)2008年度平均=100】

【例2:種類別(都市圏別・南関東)2008年度平均=100】
【例2:種類別(都市圏別・南関東)2008年度平均=100】

※執筆の内容は、2012年8月末時点によるものです。

国土交通省


不動産価格指数(住宅)について、詳しくは国土交通省の「土地総合情報ライブラリー」を参照


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