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マンションの悪質な勧誘について・マンションの悪質な勧誘については宅建業法や消費者契約法で規制されている

2011年2月9日

Report
国土交通省 総合政策局 不動産業課
 

マンションの勧誘に関する相談が年々増加しています。今回は、マンションの悪質な勧誘について、ご執筆をお願いしました。

国民生活センター及び全国の消費生活センター等に寄せられるマンションの勧誘に関する相談は年々増加しており、2005年から2010年10月末日登録分までの相談総件数は2万2000件を超えています(図参照)。
その多くが強引・強迫による悪質な勧誘に関する相談ですが、今回は、宅地建物取引業者(以下「宅建業者」)が行う宅地建物取引業に係る契約締結の勧誘について、国民生活センターに寄せられた相談事例における宅地建物取引業法(以下「宅建業法」)等による規制内容について説明します。

図:マンション勧誘に関する相談件数の推移
図:マンション勧誘に関する相談件数の推移

出典/国民生活センター調べ

宅建業法による禁止行為
相談事例)
  • 絶対に儲かるといわれて契約したが赤字になり、物件価格も7 割に下落していた。
  • 自己負担はないと言われて契約したが話が違った。
宅建業法第47条は、宅建業者が勧誘をする際に、重要事項説明書の記載内容や、相手方等の判断に重要な影響を及ぼすこととなるもの等の「重要な事項」について故意に事実を告げなかったり、不実のことを告げたりする行為を禁止しています。同様に、宅建業者が不当に高額の報酬を要求する行為や、手付貸与等で契約締結を誘引する行為も禁止しており、これらに違反した宅建業者は行政処分の対象になるだけでなく、罰則規定も適用されます(宅建業法第65条、第66条、第79条の2)。
相談事例)
  • 勧誘を断ると「生コンを流しに行く」「車でひき殺す」と脅された。
  • 朝10 時から15 時間に及ぶ勧誘で無理やり契約させられた。
宅建業法第47条の2、宅建業法施行規則第16条の12は、宅建業者だけでなく、その代理人や従業員に対する禁止行為として、勧誘の相手方等に、(1)将来の利益や環境について誤解させるべき断定的判断の提供、(2)契約の締結を不当に急がせる行為、(3)威迫・困惑させる行為を規定しています。悪質なマンション勧誘の典型例である「電話による長時間の勧誘」といった私生活や業務の平穏を害するような方法によって相手方等を困惑させた場合、当該規定に違反したとして行政処分の対象になります(宅建業法第65条、第66条)。
相談事例)
  • 「契約のことは誰にも言うな!契約書は誰にも見せるな!毎日見張ってやる」と脅迫された。
  • 「クーリング・オフはできない」と言われた。
宅建業法第47条及び第47条の2は宅建業者が契約の申し込みの撤回もしくは解除を妨げるために、故意に事実を告げないこと、不実の事を告げること、相手方等を威迫することを禁止しております。これらに違反した宅建業者は行政処分の対象になるだけでなく、罰則規定も適用されます(宅建業法第65条、第66条、第79条の2)。

消費者契約法による契約の取り消し

一方で、消費者契約法(平成12年法律第61号)において、「事業者」である宅建業者が一定の勧誘行為によって誤認した「消費者」と契約締結した場合、「消費者」は当該契約を取り消すことができるとされています。一定の勧誘行為とは、重要事項について事実と異なることを告げる場合(宅建業法と異なり、「故意」は要件ではない)、断定的判断を提供する場合、利益について告げ、不利益となる事実を故意に告げなかった場合等があります(消費者契約法第4条)。

なお、勧誘がエスカレートして、相手方や相手方の親族に対して生命、身体、自由、名誉や財産へ害を加える旨を告知して脅迫した場合は、刑法第222条の脅迫罪に、脅迫や暴行を用いて契約させた場合は、刑法第223条の強要罪に該当することもあり得ます。

悪質なマンション勧誘への社会的関心が高まっている中、消費者の皆さまにおかれましてはご注意いただくとともに、宅建業者の皆さまにおかれましては、適切な勧誘行為を心掛けるようお願い申し上げます。

※執筆の内容は、2011年1月末時点によるものです。

国土交通省


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