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知っておくとよい宅地建物取引業法(1)・宅地建物取引業法の条文から読み解く 宅地建物の申し込みの撤回はできる?

2010年6月16日

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国土交通省 総合政策局 不動産業課
 

当サイトでも、何度となく登場する「宅地建物取引業法」という法律。今回は、より理解を深めるための“知っておくとよい”条文について、ご担当者にご執筆をお願いしました。

消費者の皆さまは、日常において法律の条文を読むことは少ないかと思います。
実は、不動産取引に関する法律である宅地建物取引業法(以下「宅建業法」)は、不動産取引に売り主や仲介として関与する不動産事業者に対しての規制が主体となっていますが、不動産取引に臨む消費者に関係する条文もあるのです。
今回は、宅建業法の中でも不動産取引に臨む消費者の皆さまにぜひ知っておいていただきたい条文を紹介します。

申し込みの撤回等に関する条文
 (事務所等以外の場所においてした買受けの申込みの撤回等)
第三十七条の二 宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地又は建物の売買契約について、当該宅地建物取引業者の事務所その他国土交通省令・内閣府令で定める場所(以下この条において「事務所等」という。)以外の場所において、当該宅地又は建物の買受けの申込みをした者又は売買契約を締結した買主(事務所等において買受けの申込みをし、事務所等以外の場所において売買契約を締結した買主を除く。)は、次に掲げる場合を除き、書面により、当該買受けの申込みの撤回又は当該売買契約の解除(以下この条において「申込みの撤回等」という。)を行うことができる。この場合において、宅地建物取引業者は、申込みの撤回等に伴う損害賠償又は違約金の支払を請求することができない。
 買受けの申込みをした者又は買主(以下この条において「申込者等」という。)が、国土交通省令・内閣府令の定めるところにより、申込みの撤回等を行うことができる旨及びその申込みの撤回等を行う場合の方法について告げられた場合において、その告げられた日から起算して八日を経過したとき。
 申込者等が、当該宅地又は建物の引渡しを受け、かつ、その代金の全部を支払つたとき。
 申込みの撤回等は、申込者等が前項前段の書面を発した時に、その効力を生ずる。
 申込みの撤回等が行われた場合においては、宅地建物取引業者は、申込者等に対し、速やかに、買受けの申込み又は売買契約の締結に際し受領した手付金その他の金銭を返還しなければならない。
 前三項の規定に反する特約で申込者等に不利なものは、無効とする。


上記条文に関する解説

この条文は、いわゆる「クーリング・オフ制度」に関しての規定です。
宅地建物取引業者(以下「宅建業者」)がみずから売り主となる売買契約において、一定の条件における宅地建物の買い受け申し込みの撤回又は売買契約の解除(以下「申し込みの撤回等」)を認めるものです。

● 宅地建物の申し込みの撤回等を行うための要件

(1)
売り主が宅建業者である取引であること。
(2)
買い受けの申し込み又は売買契約の締結が、宅建業者の事務所その他国土交通省令・内閣府令で定める場所()以外の場所で行われていること。
宅建業法 施行規則第16条の5にて詳細の定義がされています。
(3)
申し込みの撤回又は売買契約の解除を書面で行っていること。

● 宅地建物の申し込みの撤回等ができない場合

(1)
8日が経過した場合
申込者等が申し込みの撤回等を行うことができる旨や申し込みの撤回等を行う場合の方法について売り主の宅建業者から告げられた場合、その告げられた日から起算して8日を経過したときには、申し込みの撤回等を行うことができません。
(2)
契約の履行が完了した場合
申込者等が宅地又は建物の引き渡しを受け、かつ、その代金を支払ったときは、申し込みの撤回等はできません。
(3)
宅建業者間の取引
宅建業法第37条2の規定は消費者の利益を保護するためのものですので、取引の専門知識や経験もある宅建業者が買い主となる取引については、こうした規制の必要もないことから、宅建業者間の取引については適用除外としています。

● 申し込みの撤回等の効果
申込者等が申し込みの撤回等を行った場合には、売り主である宅建業者は、損害賠償又は違約金の支払いを請求することができないこととされており、申込者等に対し、速やかに受領した手付金や内金、申込証拠金などを返還しなければならないとされています。

当サイト内「不動産基礎知識:買うときに知っておきたいこと」の8-1 購入の申し込みをする際の注意点(申し込み後の撤回について)及び売り主が宅地建物取引業者である場合の規制について (クーリングオフについて)も、併せてご確認ください。

※執筆の内容は、2010年5月末時点によるものです。


国土交通省


「宅地建物取引業法」については、国土交通省のHP(宅地建物取引業法関係)でご覧いただけます。


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