トップ国土交通省・最新の動き>VOL.15 賃貸不動産管理業の適正化のための制度について(1)

国土交通省・最新の動き今までの掲載記事

賃貸不動産管理業の適正化のための制度について(1)・賃借人や賃貸人の利益を保護するために、賃貸住宅管理業の登録制度を創設することを検討

2010年3月15日

Report
国土交通省 総合政策局 不動産業課
 

より安心安全な不動産取引及び既存住宅を中心とする不動産流通市場の活性化、その他時代の要請に応えるための宅地建物取引業制度のあり方について検討することを目的として、平成20年9月から、社会資本整備審議会産業分科会不動産部会における議論が進められてきました。
部会では、平成21年4月以降、主に賃貸不動産管理業に関する制度のあり方や簡易・迅速な紛争処理制度について精力的な審議が行われました。これを踏まえ、平成22年2月、「賃貸不動産管理業の適正化のための整理について(これまでの議論を踏まえた整理)」が取りまとめられました。
今回は、その内容についてご担当者にご執筆いただいたものを、vol.15・vol.16の2回に分けて紹介します。

「賃貸住宅管理業の登録制度」創設の趣旨

新たに賃貸住宅管理業の登録制度を設け、登録事業者の業務についてルールを定めることで、その業務の適正な運営を確保し、賃借人及び賃貸人の利益の保護を図ります。

対象範囲

(1)対象とする不動産

賃貸アパート及びマンションに関する相談件数が他の不動産に比べ多いこと、賃貸人には個人の事業者が多く管理業者に対する管理業務の委託率が高いこと、賃借人保護の必要性などを勘案し、賃貸住宅を対象とします。したがって、非住宅については、本制度の対象とはしません。

一方で、不動産投資市場の拡大に伴い、投資対象とされる不動産(オフィスビル、商業施設、賃貸住宅等)の価値の維持・向上のために不動産を適切に維持管理する管理業務の重要性が高まっていることから、オフィスビル・商業施設等の賃貸不動産の管理業務の標準化、高度化等についても、引き続き検討する必要があります。

(2)対象事業者・対象業務について

  1. 賃貸住宅管理業
    賃貸住宅の管理業務の内容は、広範囲にわたっているため、そのすべてについて行政がルールを定めるのではなく、必要な限度に限定するべきです。具体的には、賃料等の徴収業務並びに賃貸借契約の更新業務及び解約業務は、その委託率の高さ及び賃借人等とのトラブルの発生件数などから、管理業務の中でも、特にその適正化が求められる業務であることから、これらいずれかの業務を担う事業者を登録の対象とします。
  2. サブリース業
    住宅を借り上げて転貸するサブリースについては、契約形態は賃貸管理の場合とは異なりますが、その業務内容は上記の管理業務と一致するものが多いことから、サブリース業についても登録制度の対象とします。サブリース業は、他人の不動産を転貸していることから、自らの所有物件の賃貸を行う場合(3. の賃貸業)との比較においても、より適切な業務の確保が求められます。
  3. 賃貸業
    賃貸業についても、管理業と同様、賃料等の徴収業務等が想定されます。しかし、自己で管理業務が行えないような一定規模以上の賃貸業では、管理業務を管理業者に委託しているケースが多いこと、それ以外の小規模の賃貸業の大部分は個人経営であり、所有する物件を自ら賃貸する自己管理が行われていることから、賃貸業においては、賃借人とのトラブル発生の蓋然性が低いと考えられます。このため、賃貸業は登録制度の対象外とします。
登録制度の仕組み
  1. 賃貸住宅管理業を営もうとする者は、国土交通省に備える登録簿に登録ができることとします。
  2. 事業者の登録に当たっては、宅地建物取引業者の免許の基準またはマンション管理業者の登録拒否要件などと同様、人的要件などの登録要件を設けます。
  3. 登録業者は、管理業務に関して定める一定のルール(業務処理準則)を遵守することとします。
  4. 登録業者が、管理業務に関して不正または著しく不当な行為をした場合等においては、登録を消除することとします。この場合、一定期間は、再登録ができないものとします。(業務に関して他の法令に違反する行為や3. のルールが遵守されない場合などを想定)
  5. 登録に当たり、一定の資格者を置くことを要件とはしません。資格者の設置等の管理業務に従事する事業者の資質の確保等を図るための施策については、現在、事業者団体により取り組みが進められている任意の資格制度や講習会などの一層の充実・活用を図ります。(例えば、各事業者団体や事業者において、自主的に、設置されている有資格者情報を公開することなどが考えられます)
登録業者の業務の適正化のためのルール

登録業者については、管理業の業務に関し、以下のルールを定め、管理業務の適正化を図ることで、賃借人及び賃貸人の利益の保護を図ります。
また、行政が定めるルールは必要な限度にとどめ、契約者間の意思や地域の商習慣などに委ねることが望ましい事項については、事業者による自主ルールや標準管理委託契約書による明確化などを活用することとします。

(1)主として賃借人の利益の保護のためのルール

  1. 賃借人に対する管理内容の書面交付
  2. 賃貸借契約に関する重要事項の説明(対サブリース業者向け規制)
  3. 賃貸借契約の成立時の書面交付(対サブリース業者向け規制)
  4. 賃貸借契約の更新時の書面交付
  5. 賃貸借契約の終了時における説明
  6. 管理受託契約等に基づかない賃借人からの金銭受領の禁止
  7. 管理受託契約の終了に伴う通知
  8. 行き過ぎた督促行為の禁止(行き過ぎた督促行為について、別途法規制が行われる場合には、当該法律が優先します)

(2)主として賃貸人の利益の保護のためのルール

  1. 賃貸人に対する管理受託契約内容の重要事項の説明
  2. 賃貸人に対する管理受託契約成立時の書面交付
  3. 財産の分別管理

これらの事項は、直接的には賃貸人の保護にかかわるものですが、これらを通じて、結果として賃借人の保護が図られることが期待されます。

(3)その他

帳簿の備え付け、標識の掲示など登録制度や監督事務の実施に必要な事項について定めます。

図:賃貸住宅の管理の状況

→ VOL.16に続く

※執筆の内容は、2010年2月時点によるものです。

国土交通省


ページトップ