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平成30年版土地白書の公表について 「平成29年度土地に関する動向」及び「平成30年度土地に関する基本的施策」を公表

2018年7月11日

Report
国土交通省 政策統括官付
 

平成30年6月8日、平成30年版土地白書が閣議決定され、国会に報告されましたので、関係資料を公表しています。今回はその内容についてご紹介します。

土地白書とは

土地白書は、土地基本法(平成元年法律第84号)の規定に基づき、土地に関する動向等について、毎年国会に報告しているものです。本白書は、「平成29年度土地に関する動向」と「平成30年度土地に関する基本的施策」の2つに分かれています。
「平成29年度土地に関する動向」では、第1部で平成29年度の地価・土地取引等の動向について報告しているほか、トピックとして、平成30年は元号が明治に改められてから満150年になることから、明治期からの土地に関わる政策の変遷を概観し、今後の政策を考察するとともに、近年問題となっている所有者不明土地に関連して、国民へのアンケート調査結果等を基に、土地所有に対する負担感など国民の土地に関する意識について考察しております。また、第2部では平成29年度に政府が土地に関して講じた施策について記述しております。「平成30年度土地に関する基本的施策」では、平成30年度に政府が土地に関して講じようとする基本的施策について記述しています。
今回は「平成29年度土地に関する動向」の第1部「土地に関する動向」についてご紹介します。

平成29年度の地価・土地取引等の動向の概要(第1部第1章)

国土交通省「地価公示」の結果についてみると、全国の平均変動率では、住宅地が10年ぶりに上昇に転じ、商業地及び全用途については3年連続で上昇しました。
三大都市圏の平均変動率でみると、住宅地はわずかな上昇となる一方、商業地は上昇幅が拡大しました。また、地方圏の平均変動率では、住宅地は下落が続いているものの下落幅は縮小しており、商業地は26年ぶりに上昇に転じ、全用途平均でも下落を脱しました。札幌市・仙台市・広島市・福岡市の4市平均でみると、住宅地・商業地ともに三大都市圏を上回る上昇を示しています。

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図表1 地価変動率の推移(年間)

土地取引について、売買による所有権の移転登記の件数でその動向をみると、平成29年の全国の土地取引件数は132万件となり、前年に比べると2.1%増となりました。増加の内訳は、地方圏で約2万件、東京圏で約1万件となっています。

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図表2 売買による土地取引件数の推移

明治期からの我が国における土地をめぐる状況の変化と土地政策の変遷(第1部第2章)

平成30(2018)年は、1868年に元号が明治に改めてから満150年となります。
本章では、この明治150年という機会をとらえ、まず第1節でこれまで先人たちがどのような時代の要請に対し、どのような対策を講じてきたかを概観します。これは、今後同様の変化が発生した場合の対応を検討する上での参考になると同時に、現在の土地に関わる状況や課題の根源を理解することにもつながります。そういった認識のもと、第2節では、第1節及び土地の財としての特殊性を踏まえつつ、今後の土地政策において対応すべき課題等について考察しています。本稿では、各節における項目等を抜粋して記載するのみとなっていますので、詳細は土地白書の本文をご参照ください。

●第1節 土地政策の変遷 ―明治期からの土地をめぐる状況の変化を踏まえて

第1節では、明治期から現在に至るまでを以下の6つの時代に区分を行い、各時代における時代背景とそれに伴う土地関連政策について、その時々の主要と思われるテーマに絞って記述しています。

  1. 明治初期から中期にかけての近代的土地所有権の形成と土地に関わる情報の整備
  2. 明治期から第2次世界大戦にかけての都市人口の増加と、それに対応した計画的都市整備、借地借家対応
  3. 第2次世界大戦後の戦災復興と土地に関わる新秩序の形成
  4. 昭和20年代後半から50年代にかけての開発の始動と高度経済成長期の諸課題への対応
  5. 昭和60年代から平成10年代にかけてのバブル期及びバブル崩壊後の土地関連政策の展開
  6. 平成20年代における人口減少社会への対応策

●第2節 明治以降150年の変遷を踏まえた今後の土地に関わる政策について

第2節では、第1節で取り上げた明治時代が始まって以降の土地に関わる政策を、その背景に着目して大きく次の4つに分類して概観するとともに、今後の対応について展望しています。

(1)国政全般の改革の一環としての土地に関わる政策
(2)産業、生活の基盤としての土地に関わる政策
 <(2)-1産業構造の変化に伴う都市人口の増加に対応する政策>
 <(2)-2安全・安心で豊かな暮らし、良好な都市形成に関する政策>
 <(2)-3人口減少社会に対応する政策>
(3)地価高騰に対する政策
(4)大きな被害を受けた直後の緊急事態対応の一環としての土地に関わる政策

また、明治以降150年の土地に関わる政策の背景となった事象の中には、土地の他の財と異なる特性が根源の一つとなっている場合があることから、現在も10月を土地月間に定め、地方公共団体や関係団体にも協力を依頼し土地に関する基本理念の普及・啓発活動を展開しているところでありますが、明治以降150年を振り返ると、そのような基礎的かつ地道な活動もきわめて重要と考えられます。

所有者不明土地問題を取り巻く国民の意識と対応(第1部第3章)

人口減少や高齢化の進展に伴う土地利用ニーズの低下等の影響で、所有者不明土地(不動産登記簿等の所有者台帳により、所有者が直ちに判明せず、又は判明しても所有者に連絡がつかない土地)が全国的に増加しています。本章では、国土交通省において実施した国民へのアンケート調査結果等を基に、所有者不明土地問題を取り巻く国民の土地に関する意識について考察しました。

国土交通省では、対象者を無作為に抽出した「土地問題に関する国民の意識調査」(以下、「国民への意識調査」)及び対象者を「宅地、田畑、山林で利用されていない土地」(以下、「空き地」)を所有している者に限定した「利用されていない土地に関するWEBアンケート」(以下、「空き地所有者へのWEBアンケート」)の2つの調査を実施しました。両調査結果を基に、所有者不明土地問題を取り巻く国民の土地に関する意識について考察しましたので、その中のいくつかを紹介します。

図3 土地所有に対する負担感 円グラフ (土地所有に対する負担感)
空き地所有者へのWEBアンケートにおいて、所有する空き地(複数の空き地を所有している場合、居住地から最も遠い空き地を念頭に回答してもらっている)について、「負担を感じたことがある」と回答した者の割合は47.4%となりました。

(負担に感じる空き地の将来に対する意向)
次に、上記の所有に負担を感じたことがあると回答した空き地所有者に「その土地の所有権を手放したいか」について質問したところ、「売れる見込みはないが手放せるものなら手放したい」と回答した者の割合は25.4%を占めました。
図4 負担に感じる空き地の将来に対する意向 円グラフ

図5 土地所有者の責務 円グラフ (土地所有者の責務)
国民への意識調査で「土地の所有者は、仮にその土地を使っていない場合でも、周囲に悪影響を与えないよう草刈等の管理を行う義務を負っていると考えるか」について質問したところ、「管理の義務を負っていると思う」と回答した者の割合が84.9%を占める結果となりました。

(土地所有権の放棄)
国民への意識調査で「所有している土地が不要になった場合、土地の所有権の放棄を認めてもよいと考えるか」について質問を行ったところ、「放棄を認めてもよい」と回答した者の割合が76.6%を占める結果となりました。さらに、「放棄を認めてもよい」と回答した者のうち、「一定の費用を支払えば認めてもよい」と回答した者が59.3%(全体の45.4%)、「費用を支払うことなく認めてもよい」と回答した者が40.7%(全体の31.2%)となりました。
図4 土地所有者の責務 円グラフ

(今後の対応)
所有者不明土地の適切な利用や管理に関しては、新制度を国会に提出したところですが、登記制度や土地所有権の在り方等の中期的課題について引き続き取り組んでいくことが必要です。
今後、所有者不明土地の発生の抑制や解消に向けて、土地所有者の責務の在り方等の土地所有に関する基本制度の見直しや相続登記の義務化の是非や土地所有権の放棄の可否などの登記制度・土地所有権の在り方等について、法務省や国土交通省など関係省庁が連携して検討を進めることとしています。
また、土地所有者情報を円滑に把握する仕組みについても、関係省庁が連携して検討していくこととしています。

土地白書本文の公開について

今回は、土地に関する動向について概要を紹介しましたが、土地白書本文では各種統計データを用いたより詳細な分析と、政府の土地に関する基本的施策を記載しています。土地に関する動向や施策について理解を深める際の参考としていただければと思います。

 詳しくは、国土交通省ホームページ「土地白書」参照

※執筆の内容は、2018年6月末時点によるものです。

国土交通省


詳しくは、国土交通省ホームページ「土地白書」を参照ください。

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