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所有者不明土地、木造建築物の建築基準や都市のスポンジ化等の対策法案について 所有者不明土地、木造建築物の建築基準や都市のスポンジ化等の対策のための3つの法案について閣議決定

2018年5月09日

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国土交通省 土地・建設産業局 不動産業課
 

今般、「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法案」「建築基準法の一部を改正する法律案」「都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案」を閣議決定いたしました。
今回は、3つの法律案について解説します。

所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法案

我が国では、人口減少・高齢化の進展に伴う土地利用ニーズの低下や地方から都市等への人口移動を背景とした土地の所有意識の希薄化等により、所有者不明土地()が全国的に増加しており、今後も、相続機会の増加に伴って増加の一途をたどることが見込まれています。
所有者不明土地は、所有者の特定等に多大なコストを要するため、公共事業の推進等の場面でその用地確保の妨げとなり、事業全体の遅れの一因となっています。
こうしたことから、所有者不明土地を円滑に利用することを目的として、本法律案を国会へ提出し、政府として3月9日に閣議決定しました。
不動産登記簿等の公簿情報等により調査してもなお所有者が判明しない、又は判明しても連絡がつかない土地

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図表1 「所有者不明土地に関する現状と課題」

●法律案の概要

(1)所有者不明土地を円滑に利用する仕組み

反対する権利者がおらず、建築物(簡易な構造で小規模なものを除く)がなく、現に利用されていない所有者不明土地について、以下の仕組みを構築します。

○公共事業における収用手続の合理化・円滑化(所有権の取得)
国、都道府県知事が事業認定した事業について、収用委員会に代わり都道府県知事が裁定します。

○地域福利増進事業の創設(利用権の設定)
地域住民等の福祉・利便の増進に資する事業について、都道府県知事が公益性を確認し、一定期間の公告に付した上で、利用権(上限10年間)を設定(所有者が現れ明け渡しを求めた場合は、期間終了後に原状回復、異議がない場合は延長可能)します。


(2)所有者の探索を合理化する仕組み

○土地の所有者の探索のために必要な公的情報について、行政機関が利用できる制度を創設します。

○長期間、相続登記等がされていない土地について、登記官が、長期相続登記等未了土地である旨等を登記簿に記録すること等ができる制度を創設します。


(3)所有者不明土地を適切に管理する仕組み

○所有者不明土地の適切な管理のために特に必要がある場合に、地方公共団体の長等が家庭裁判所に対し財産管理人の選任等を請求可能にする制度を創設します。


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図表2 「所有者不明土地の公共的目的の利用を可能とする新制度」

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図表3 「今後の取り組み」

建築基準制度の見直し(既存建築ストックの活用等)

建築物において木材利用や新技術導入を促進するための規制緩和、建築関連手続きの合理化、事故・災害対策の徹底など多様な社会経済的要請に的確に対応し、国民の安全・安心の確保と経済活性化を支える環境整備を推進することが急務だという課題があります。こうした課題解消に向け、より合理的かつ実効性の高い建築基準制度を構築するため、木造建築関連基準の見直し、構造計算適合性判定制度の見直し、容積率制限の合理化、建築物の事故等に対する調査体制の強化等の所要の措置を講じることを目的として、本法律案を国会へ提出し、政府として3月7日に閣議決定しました。

●法律案の概要

(1) 木造建築関連基準の見直し
建築物における木材利用の促進を図るため、耐火建築物としなければならないこととされている3階建ての学校等について、一定の防火措置を講じた場合には、主要構造部を準耐火構造等とすることができることとします。
(2) 構造計算適合性判定制度の見直し
構造計算適合性判定を都道府県知事又は指定構造計算適合性判定機関に直接申請できることとするとともに、比較的簡易な構造計算について、一定の要件を満たす者が審査を行う場合には、構造計算適合性判定を不要とすることとします。
(3) 仮使用承認制度における民間活用
特定行政庁等のみが承認することができる工事中の建築物の仮使用について、一定の安全上の要件を満たす場合には、指定確認検査機関が認めたときは仮使用できることとします。
(4) 新技術の円滑な導入に向けた仕組み
現行の建築基準では対応できない新建築材料や新技術について、国土交通大臣の認定制度を創設し、それらの円滑な導入の促進を図ることとします。
(5) 容積率制限の合理化
容積率の算定に当たって、昇降機の昇降路の部分及び老人ホーム等の用途に供する地階の部分の床面積を延べ面積に算入しないこととします。
(6) 定期調査・検査報告制度の強化
建築物や建築設備等についての定期調査・検査報告制度を強化し、防火設備についての検査の徹底などを講じることとします。
(7) 建築物の事故等に対する調査体制の強化
事故・災害対策を徹底するため、国が自ら、関係者からの報告徴収、建築物等への立入検査等をできることとします。

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図表4 「建築基準制度の見直し(既存建築ストックの活用等)」

都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案

人口減少社会を迎えた我が国では、地方都市をはじめとした多くの都市において、空き地・空き家等の低未利用地が時間的・空間的にランダムに発生する「都市のスポンジ化」が進行しており、生活利便性の低下、治安・景観の悪化、地域の魅力が失われる等の支障が生じています。
このような「都市のスポンジ化」に対応するため、関係法律を一括して改正し、低未利用地の集約等による利用の促進、地域コミュニティによる身の回りの公共空間の創出、都市機能のマネジメント等の施策を総合的に講じることを目的として、本法律案を国会へ提出し、政府として2月9日に閣議決定しました。

●都市のスポンジ化対策の概要

(1)低未利用地の集約等による利用の促進(都市再生特別措置法及び都市開発資金の貸し付けに関する法律関係)

○複数の土地や建物に一括して利用権等を設定する「低未利用土地権利設定等促進計画制度」の創設をします。

○都市再生推進法人(まちづくり団体等)の業務に、低未利用地の一時保有等を追加します。

○低未利用地を集約し商業施設等の敷地を確保する土地区画整理事業の集約換地の特例とします。

○「低未利用土地権利設定等促進計画制度」に基づく上記の特例となる土地区画整理事業への都市開発資金の貸し付けをします。

○市町村による低未利用土地利用等指針の作成、低未利用地の管理についての地権者への勧告をします。

(2)身の回りの公共空間の創出(都市再生特別措置法及び都市計画法関係)

○地域コミュニティ等が交流広場等を共同で整備・管理する「立地誘導促進施設協定制度」の創設をします。

○住民団体等をまちづくりの担い手として公的に位置づける「都市計画協力団体制度」の創設をします。

(3)都市機能のマネジメント(都市再生特別措置法及び都市計画法関係)

○民間による都市施設等の確実な整備・維持を図る「都市施設等整備協定制度」の創設をします。

○誘導すべき施設(商業施設、医療施設等)の休廃止届出制度の創設をします。


●都市の遊休空間の活用による安全性・利便性の向上(都市再生特別措置法、都市計画法及び建築基準法関係)の概要

○公共公益施設の転用を柔軟化します。
○駐車施設の附置義務を適正化します。
○立体道路制度の適用対象を拡充します。

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図表5 「都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案」(1/2)

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図表6 「都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案」(2/2)

※執筆の内容は、2018年4月末時点によるものです。

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