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空き家対策等に係る中間とりまとめについて 空き家対策の推進及び今後の不動産業の発展に向けて 新技術の活用等についても審議

2017年9月13日

Report
国土交通省 土地・建設産業局 不動産業課
 

社会資本整備審議会産業分科会不動産部会では、本年2月より4回にわたり、空き家対策の推進及び今後の不動産業の発展に向けて、不動産分野における新技術の活用等について審議を行ってきました。今般、これまでの審議を踏まえ、空き家対策等に係る中間とりまとめを行いました。

社会資本整備審議会産業分科会不動産部会開催の経緯

少子高齢化の進展等により、空き家が年々増加しており、今後もさらなる増加が見込まれ、空き家問題への対応は喫緊の課題となっています。
現在、平成27年に全面施行された空家等対策の推進に関する特別措置法に基づき、空き家対策が全国的に進められつつあります。
こうした現下の社会情勢を背景に社会資本整備審議会産業分科会不動産部会では、増大しつつある空き家等の現状を踏まえた不動産流通の観点から望まれる対応に加え、不動産分野のサービス向上・業務の効率化等に向けた新技術等の活用について審議を行いました。本年2月から地方自治体等からのヒアリングを行いながら、4回の審議を重ねてきたところであり、本年6月29日、中間的整理として、次のとおり提言がとりまとめられました。今後、このとりまとめを踏まえ、国土交通省としても可能なものから速やかに適切な対応を図ってまいります。

空き家の現状

少子高齢化の進展等により、都市部、地方部を問わず、様々な形で空き家が年々増加しています。住宅・土地統計調査(総務省)によれば、空き家の総数は、この20年で1.8倍(448万戸→820万戸)、種類別の内訳では、「賃貸用又は売却用の住宅」等を除いた「その他の住宅」(いわゆる「その他空き家」)が、この20年で2.1倍(149万戸→318万戸)となっています。なお、「その他の住宅」(318万戸)のうち、「一戸建(木造)」(220万戸)が最も多い状況です。

空き家の中には適正な管理が行われていないものがあり、その結果、安全性の低下、公衆衛生の悪化、景観の阻害等の問題が生じており、地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしているものもあります。また、空き家の管理不全は、物件の市場性の低下をもたらし、不動産としての有効活用の機会損失につながる懸念もあります。

戸建て住宅のいわゆる「その他空き家」の取得原因は、相続が半数以上を占めています。空き家の所有者の約4分の1が遠隔地(車・電車などで1時間超)に居住していることから、所有者が日常的に空き家の適正な管理を行うことが難しい面もあります。他方、資産として有効活用できる空き家についても、空き家に関する情報提供媒体や流通・活用に係るノウハウの不足等による需給のミスマッチが生じている等の課題があります。

空き家対策に係る基本的考え方

空き家には、除却すべきものから、資産価値があってそのまま市場に流通させることが可能であるものまで、多様な形態のものが存在しています。このため、空き家の態様に応じて、その所有・利用・管理の各面に留意し、除却、発生予防、適正な管理、市場での流通・活用等、対策を強化していくことが必要です。特に、空き家の再生・流通は、所有者及び我が国の社会経済にとって、国民の貴重な不動産ストックの活用の観点から有意義であり、マーケットでの流通がなされるよう、環境整備を進めていくことが重要です。また、市場での流通が難しいものについては、地域におけるコミュニティスペース等への活用など、新たな需要を創出し、有効活用していくことが求められます。

空き家問題解消に向けた具体的取り組み

以上の基本的考え方に従い、とりまとめにおいては、空き家対策推進の基礎環境の整備を行いつつ、各フェーズに対応した取り組みを進めることとされました。それぞれのフェーズごとの具体的な取り組みは、以下のとおりとなります。

図をクリックすると拡大表示されます
図表1 空き家問題解消に向けた主な取組

なお、これらの具体的取り組みを空き家の態様に応じて、整理したものは以下のとおりとなっております。

図をクリックすると拡大表示されます
図表1 空き家の態様に応じた具体的取組

新技術の活用等の方向性

今後の不動産業の発展に向けては、(1)基盤となる不動産情報(データ)の整備・充実、(2)新技術等を活用した産業の振興、(3)不動産流通や不動産投資促進のための環境整備が重要です。これらの取り組みを進める上では、従来の不動産分野の枠を超えて、産学官の連携のもと、幅広い分野で横断的政策的アプローチを進め、消費者サービスの拡大、業務効率化、新たなビジネスの創出等を実現していくことが求められます。
このため、国、有識者、民間事業者等が連携した、政策研究の推進、政策フォーラムの開催等により、多角的な観点から継続的に検討を進めていくことが重要です。

今後の不動産業の発展に向けて

人口減少、少子高齢化が進展し、建物の老朽化や空き家・空き店舗が増加する中、地域を活性化するまちづくりを進めていくには、見守りサービスや子育てサービスなど、不動産を核としたソフト面での各種サービスの充実と併せ、地域を支える不動産をどのように育て、管理し、流通・活用していくかが極めて重要です。
このために期待される不動産業の役割はますます大きくなるものと考えられ、不動産業は、地域における「場の産業」として、地域の魅力の向上や地域活性化に貢献していくことが求められます。地域における新たなサービスの提供や不動産管理の充実等は、人々の豊かな暮らしやまちづくりの実現に直結するとともに、今後の不動産業の発展につながるものです。

不動産部会では、引き続き、こうした観点から、地域の魅力の向上や地域活性化等に貢献できるよう、不動産業の発展に向けた検討を進めていくこととしています。

※執筆の内容は、2017年8月末時点によるものです。

国土交通省


詳しくは国土交通省ホームページ「空き家対策等に係る中間とりまとめ(提言)」を参照ください。

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