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ここでは、首都圏と近畿圏における既存(中古)マンションと既存(中古)戸建住宅の市況について、四半期ベースで最新トレンドを紹介します。
東日本不動産流通機構※1の調査によると、首都圏における平成30年7~9月期の既存マンション成約件数は8,686件と前年比で1.2%減少し、4期連続で前年同期を下回りました。同じ7~9月期の新規登録(売り出し)件数は50,333件と前年比で6.5%増加し、4期連続で前年同期を上回り、7~9月期としては平成2年の機構発足以来、最大を記録しました。成約件数は減少傾向にありますが、売り出し件数は増加が続いており、既存マンション市場では物件の余剰感が強まっています(図表1)。
これに対して、既存マンションの成約価格は平成24年10~12月期から24期連続で上昇し、新規登録価格も平成26年10~12月期から16期連続で上昇しました。平成30年7~9月期の平均成約価格は3,324万円と前年比で3.7%上昇し、新規登録価格も3,214万円で同2.3%上昇しました。成約価格は平成6年以来の高い水準が続いており、新規登録価格を8期連続で上回るなど、豊富な売り物件の中から比較的潤沢な予算の需要層が高額な物件を取得する動きが目立ちます。
既存戸建住宅の成約件数は、平成30年7~9月期が3,078件と前年比で2.4%増加し、7期ぶりに前年同期を上回りました。同じ期の新規登録件数は16,554件と前年比で9.6%増加し、6期連続で前年同期を上回っています。平成30年7~9月期の成約価格は3,148万円と前年比で2.2%上昇し、4期連続で前年同期を上回りました。同じ期の新規登録価格も3,844万円で前年比プラス0.1%と、ほぼ横ばいながら3期ぶりに前年同期を上回りました。
既存戸建住宅の平均成約価格は8期連続で既存マンション価格を下回っており、土地付き一戸建ての割安感が目立つ状態が続いています。ただ、戸建価格も上昇傾向にあり、取引は増加に転じるなど戸建市場は堅調さを取り戻しつつあります。既存マンション市場では、安価な物件を求める需要層が価格の上昇に追随できなくなる一方で、相対的に割安な既存戸建住宅に注目が集まっています。
近畿圏は、首都圏に比べると既存マンション市場で堅調な動きがみられます。近畿圏不動産流通機構※2が公表した近畿圏の既存マンション成約件数をみると、平成30年7~9月期は4,049件と前年比で1.8%増加し、3期連続で前年同期を上回りました。一方、同じ7~9月期の新規登録件数は15,960件と前年比で9.0%増加し、平成27年4~6月期から14期連続で前年同期を上回っています(図表2)。首都圏と同様に売り物件の増加が目立ち、需給は緩和傾向にあります。
平成30年7~9月期の平均成約価格は2,191万円と前年比で5.4%上昇し、平成25年1~3月期から23期連続で前年同期を上回っています。新規登録価格は2,190万円と前年比で2.6%上昇し、3期連続で前年同期を上回りました。成約価格に対して新規登録価格の伸びが鈍く、平成30年7~9月期は成約価格が新規登録価格をわずかに上回りました。首都圏に比べて価格水準が低く取引は堅調ですが、近畿圏でも比較的高額な既存マンションが選択的に取得される動きがみられます。
既存戸建住宅の成約件数は、平成30年7~9月期が2,826件で前年比マイナス0.6%となり、ほぼ横ばいながら2期連続で前年同期を下回りました。一方、新規登録件数は13,097件と前年比で2.1%増加し、5期連続で前年同期を上回りました。同じ7~9月期の成約価格は1,893万円と前年比で3.7%上昇、新規登録価格は2,420万円で同4.5%上昇し、双方とも上昇しています。既存戸建住宅の成約価格は17期連続でマンション価格を下回っており、既存戸建住宅の割安感は首都圏以上に強いものがあります。
このように、首都圏と近畿圏ともに既存戸建住宅の割安感が目立ちますが、首都圏では既存マンション価格の上昇が顕著となり、安価な物件を求める需要は停滞気味です。マンション・戸建ともに売り圧力は高まっており、今後は売り出し価格の動向や住宅ローン金利の上昇などに目配りが必要です。ちなみに消費税率10%への引き上げに関しては、既存住宅の個人間取引の場合、建物部分は非課税(仲介手数料等は課税対象)ですので、新築物件と異なる点に留意して下さい。
→ 詳しくは「(公財)東日本不動産流通機構ホームページ」及び「(公社)近畿圏不動産流通機構ホームページ」を参照して下さい。
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